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春の訪れと共に、僕らはこれまでとこれからを編む。

備前焼に心奪われた天真爛漫なあなた

気仙沼で出会い、あまり接点のなかったのだけれども、ある作家が好きというを接点に意気投合。それで先程電話をした。

彼女は、記者という道から今は陶芸家のもとで修行をしているとのことだ。なにやら、鎌倉の陶器屋さんで備前焼に心を奪われてしまい、弟子入りの連絡をして決まったそうだ。

備前焼は土と水と炎でできている。そんな原始からあるものからそれらはできている。それらの焼き加減や配分などの化学反応により柄ができているという。一つとして、同じものはできないんだ、と。

そんな備前焼というものに美しさを感じるだけの感受性が彼女にはあり、何かの偶然か必然かでそれらが巡り巡ってきた。そして、彼女はそれを選んだ。

そんなことから始まった僕たちの電話は、今に至るまでの一時間半ほど言葉を交わしていた。その中で、彼女の物語の片鱗を聴くことができたことがなんとも面白くて、嬉しくて、もっと聴いてみたいと思わせる人であった。

「あなたの言葉は死んでいるよ」そこから新しい物語が動き出した

彼女は明るく、天真爛漫ともいえるようなあり方にみえる生き方の背景には、彼女の辿ってきた道がある。そこには転機となるような出会いがある。その過程で、喜びや悲しみがたくさんあった筈だ。

留学中に出会ったホストが心理学者で、会うや否や言い放った言葉。

「あなたの言葉は死んでいるよ」

そこから新たな物語が始まった。
そこで彼女のこれまで生きてきた道を改めて、新しい道を模索し開拓していった。

そうした最中に就活があり、就活というものに違和感に近い心持ちを持っていて、内定を受託するも辞退する決断をする。 そこで選んだのが、気仙沼という土地だ。

中学2年生の時、津波に飲まれる映像をみて衝撃が走った。そんな衝撃は彼女から消え去ることはなく、大学卒業前に脳裏に浮かんだ。

この直感に従い、彼女は待望の気仙沼へ訪れることで新たな物語がスタートした。 気仙沼に訪れ、「もっと早くにくればよかった」と口から溢れた時、そこに居合わせた人から「今がそのタイミングだったんだよ」との言葉を受けたという。

そんなタイミングだったのかもしれない。

そこで彼女は記者という立場で慣れ親しんだ土地を離れて気仙沼へ身を移すことを決めた。 そこで彼女は、気仙沼という土地でさまざまな人と出会い、考え、動いた。

そこから数年の月日を経て、彼女は気仙沼を離れることを決める。
彼女は、オーストラリアへ行くと公言していた道を改め直し、陶芸家のもとへ弟子入りをするに至った。

そんな物語を僕らだって紡ぐことができるんだ

僕が聞いた彼女の物語はこうだ。

もっと細部の、彼女の生きた言葉をもっと聴きたかったけども、それはまた別の日で。

こんな話を聞いて、どうだろうか?

人生というのは、物語のようにある一点から劇的に変わることだってある。

いつだってそんな劇的な一点を導くのは、他の誰かではなく自分なのだ。

自分が引き寄せられているのか、 はたまた引き寄せたのか。

それは後で語ることだ。

ここでわかる真実に近いことは、 そんな物語を僕らは紡げることができるのだってことだ。

彼女の物語は一体どうなっていくのだろうか。
これからどんな人と出会い出会うのだろうか。
どんな経験をして、どんな喜怒哀楽を感じるのだろうか。
そしてどんな選択をしていくのだろうか。

僕はね、わかりません。

けど、だから面白いんじゃないか。
そして、彼女の物語に脇役として、配置できるような間柄になれたらなんて考えいますよ。

これは彼女だけに限ったことではないと思うのです。

自分自身を、さまざまな砥石で磨き、自分が発光しさえすれば、自ずとヒト・モノ・コトは集まってくるものなのだと思っています。

そんな輝きを放つための磨く時間が、今です。
今この瞬間を生きる過程で何を考え、何を紡ぎ、どう在るかが大切なのだと思う。

今僕に語るだけの知恵や技術や趣は少ないかもしれない。

だが、今は、だ。

そんな理想にも近いことを僕は胸に秘めて生きています。

死というのは何も遠いものではなくて、既にそこに在るものと気仙沼での教訓が囁いているように、僕らは死と隣り合わせに生きている

だから、
僕は死というものを傍に置いて懸命に生きる他ないのではないのだろうか。

春の訪れと共に、これまでとこれからを編んでいく


この文章を読んでくれている人は、ワクワクしますか。

それとも、

「こうなるんでしょ」と物語に終りを告げますか。

そんなことを日付が変わる頃に思いました。

春がもう間近だ。

別れと始まりの季節において、
僕らはなにとオサラバして、何に踏み出すのか。

不安と希望を胸に、 また新しい季節がやってくる。

ああ、もう既に春はすぐそこだ。

そして学生の皆さん、卒業おめでとう。
精一杯の花束を。

2023/03/24 田中 慧

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