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息子に紡ぐ物語

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1男1女の子供を持つ平凡なサラリーマンと、父で作家の「長谷部さかな」は、不思議なキッカケから毎日メールをやりとりすることに。岡山県の山奥にある見渡す限りの土地や山々はどのように手…
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#コロナ入院

【311日目】: 自宅療養

【311日目】: 自宅療養

ご隠居からのメール:【自宅療養】

昨日午後8時頃、医師回診で退院許可が下りた。今日は午前中に退院手続きをすませて帰宅し、自宅療養に切り替える予定。

いろいろありがとう。

返信:【Re_自宅療養】

長い入院生活だったけど、無事退院してよかった。じぶんは、迎えに行けなかったけど、姉さんが付き添ったと聞いたよ。

入院前と様子が随分違うといっていた。目がギラギラしてるって。クスリの副作用かもしれ

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【310日目】退院

【310日目】退院

ご隠居からのメール【退院】

入院期間が19日と長引いた理由は、私がもともと間質性肺炎にかかっていて、現在もなお肺炎の影がすべて消失したわけではないからだと説明された。いわば、仮釈放のような措置だと思う。今後とも、定期的に健康観察を受ける必要がある。

デルタが完治しても、オミクロンに感染する可能性はある。デルタの後遺症にも注意しなければならない。三月十四日には、三回目のワクチン接種を受ける手続き

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【306日目】フェリチン

【306日目】フェリチン

ご隠居からのメール:【フェリチン】

19時30分 医師回診。「フェリチンの値が下がっている。ステロイドを徐々に減らしていきましょう」と医師がいう。意味がわからないので、質問した。

「フェリチンとは何ですか」

「重症化の指標と思っていただいてよいでしょう」

「はあ、そうですか」と、意味はわからないながらも、納得した。私としては、要するに、重症化しなければ、それでよい。どうやら来週火曜日には退

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【305日目】病院食

【305日目】病院食

ご隠居からのメール:【病院食】

体温、血圧などの数値は安定している。点滴の血液ササラにするチューブの投与は中止したが、酸素飽和濃度は相変わらず95%前後を示している。

21時00分、医師回診。肺の炎症は緩急・増減を繰り返しているが、酸素吸入がまだ不十分で、月末退院は難しそうだ。

コロナ患者は、一日三回、病院食を与えられる。朝食は午前8時頃、昼食は正午頃、夕食は18時頃。メニューは栄養バランス

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【304日目】ステロイド効果あり

【304日目】ステロイド効果あり

ご隠居からのメール:【ステロイド効果あり】

医師回診で、点滴のステロイド効果ありと、告げられた。酸素飽和濃度が96%-97%まで改善したという。ステロイドは酸素投与が減少しても、酸素濃度は低下していない。これはよい傾向だーーと言われても、何のことやら意味がわからないが、好材料であることを信じて、結果を待つことにしよう。

どうやら私はハイフロセラピー(鼻に差し込んだチューブによって酸素投与を続け

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【303日目】読書再開

【303日目】読書再開

ご隠居からのメール:【読書再開】

自宅から一冊だけ持参した養老孟司『バカの壁』を読みはじめる。その他に長男が差し入れしてくれた百田尚樹『日本国紀』、瀬戸内寂聴『寂聴九十七歳の遺言』、瀬尾まいこ『そしてバトンは渡された』がある。三女がアマゾンに注文してくれた井上荒野『あちらにいる鬼』、有吉佐和子『非色』もそのうち手元に届くことになっている。

病院に一冊だけ持参を許されたとすれば、どんな書を何を選

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【298日目】ナースコール

【298日目】ナースコール

ご隠居からのメール:【ナースコール】

しゃっくりをとめる薬というメトクロプラミド(プリンペラン)を服用したら、明け方近くになって、ようやく横隔膜痙攣がとまった。これで安眠できる。死の淵をさまよったことなど忘れて、今夜からはぐっすり眠れそうだ。

夜中に尿意をもよおしたので、ナースコールのボタンを押すと、看護師がやってきたので、「おはよう」というと、「おはようじゃないよ」と返された。時計をみると、

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【297日目】重症化させない

【297日目】重症化させない

ご隠居からのメール:【重症化させない】

入院時は青白い顔をしていたが、今は元気に見えると、婦長さんらしき人が言った。入院時の医師の措置が適切だったらしい。あとは重症化しないですむような医療措置をしてくれているのだそうだ。

それよりも、さしせまって気がかりなのは、しゃっくりがとまらないこと。横隔膜が痙攣すると、寝つきが悪くなる。眠れない。
 

返信:【Re_重症化させない】

死の淵をさまよっ

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【296日目】オムツ

【296日目】オムツ

ご隠居からのメール:【オムツ】

体温は36度4分前後で推移し、咳もおさまりつつある。しかし、読書やパソコンに酸素を消費することにつながるので、自粛し、終日テレビをながめている。倦怠感や疲労感、のどの痛み、鼻汁、味覚嗅覚障害などの自覚はないが、しばらくの間は読書とパソコンは控えたほうがよい。

トイレから戻った時、ベッドにドスンと腰をおろしたら、「もっと静かに」と注意された。

シャワーを浴びると

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【295日目】しっかりしている

【295日目】しっかりしている

ご隠居からのメール:【しっかりしている】

寝たきり暮らしを長く続けると、運動不足になる。それでは困ると判断して、ベッドで足腰の屈伸運動をしていると、看護師の声がとんできた。「やめてください。アブないよー」。

ここはおとなしく従うしかない。回診医師は、「ハセベさんはしっかりしている」と言ってくれた。冷静沈着ーーわがままは云わない、グチもこぼさない、足るを知る模範的なコロナ老人をめざすーーという心

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