#002 言葉なき時代の伝達者|先史時代のロックアート
さて、いよいよ初回です。言葉なき時代のアート、ロックアートについて観ていきましょう。
今回の作品
ロックアートはいろんな地域にあり、図鑑中にもいろんな地域のものが紹介されていますが、今回はこちらを観ていこうと思います。
La cueva de Altamira que está a cien metros de la Puerta de Alcalá
画像引用元:jacinta lluch valero|Frickr
Cave Paintings
画像引用元:Graeme Churchard|Frickr
○予備知識なしで知覚的に観る
動物の絵がひび割れた岩の壁面に描かれています。ひび割れる前に描かれたものだとしたら、相当昔に描かれたものになりそうです。そして、描かれている動物の色は赤褐色とこげ茶色があるものの、使える色彩は限られていたようです。
さらに動物に目を向けてみてみると、バイソンと鹿に見えます。横向きで目や口、角、脚が正確に描かれていて、描いた人の観察力と再現力が伺えます。身体全体を描こうとしていることから、動物の特徴が一番分かる形で伝えられるようにしているのかな、と想像できます。
●知識も蓄えて観る
ロックアートとは、有史以前に岩に描かれた絵や彫刻などの総称のことです。”先史”とは、「文字を使用する前の人類の歴史」という意味。共通言語がない時代から、アートは言葉なき伝達者としての役割を担っていたことが伺えます。
今回紹介した写真はどちらも同じ地域で撮影された写真で、スペインのカンタブリア州にあるアルタミラ洞窟壁画といいます。世界有数の多色使いの壁画で、描かれたのは紀元前16,000年~紀元前10,000年頃と、タイムマシンがあってもまず指定しないであろう時代から現代まで残っているものになります。写真にある、バイソン(野牛)や牝鹿以外にも、洞窟内には馬やイノシシなども描かれています。岩という凸凹したものに「バイソンだ!」「鹿だ!」と、認識できるほどの画力があることって、結構すごいことだなと感じます。
ここまで保存状態がいいのは、約13,000年前に落石によって洞窟の入り口が閉ざされたと考えられていて、外気から遮断され保存がされていたようです。ものすごい期間経ってても、こうして現代でも鑑賞できるのが奇跡です。
ここからは妄想ですが、この動物を描いた人は「狩猟するターゲットはこんな形してるぞ」というのを、言葉がなくても伝えるために描いたのではないかなと思います。なんせ、"バイソン"とか"鹿"なんて便利な言葉がなかったのですから。動物のいる現場に行って、直接見てしるのもありだけど、襲われる可能性もある中で、事前に伝える手段としてアートは始まったんだと思います。
生きる知恵の中で生まれた言葉なき時代の伝達者、それが《アート》だったとしたら、言葉よりも身近に感じられるかもしれません。
Santillana del Mar-1
画像引用元:Graeme Churchard|Frickr
最後に
ロックアートは生きるための知恵から生まれてきて、次第に描いたもの自体を楽しむ鑑賞へと発展してきたのかなと感じました。現代のような美意識とかはなくても、そこには次世代に命を繋ぐ血の轍を感じました。
図鑑の画像ってどこまで引用していいものなのか分からず、しばらくはフリー素材で近しい画像を参考に持ってきます。なるべく近しいものを持ってくるよう頑張ってみますが、100%一致とはならないと思います。(著作権について詳しい方いたら、教えてください。。)そこのところの方向性は進めながら変えていくので、ひとつよしなにお願いします。そして、興味が出たら是非、図鑑を手に取って確認してみていただけたら、共通言語ができて結構嬉しいです。
◆作品情報
アルタミラ洞窟壁画(紀元前16,000年~紀元前10,000年頃)
作者不明
スペイン・カンタブリア州
◆参考書籍
世界アート鑑賞図鑑 (日本語) 大型本 – 2015/2/9
東京書籍
スティーヴン ファージング (編集), 樺山 紘一 (その他)
https://amzn.to/2LvUd7l
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