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ノアの「あ」 #02

▼前回のお話


「あれ?」確か友達のところにいるはずなのに。
マカは、一か月前に保護した子猫で、最近僕が入院したから猫好きの友達のところに置いてもらっていたのだ。
やっぱり夢だ。入院中、マカに会いたくてたまらんかったしね。退院してきて更に会いたくなってたから、僕の想いが写った夢だと思った。

 なんて可愛いやつなんだと、ニコニコしていると、
「行きますよ」
「!?」
マカの口元は、「ニャー」の形になっている。
「ズマゴ、行きますよ、つかまって」変わらず口元は「ニャーニャー」の形だ。

なんと、マカが話してくれるなんて!今日の夢は面白すぎるとワクワクが止まらなかった。右手をマカの喉元を撫でたと思った瞬間、背景が変わった。
さっきまで自分の部屋だったのが、何か無機質な灰色の部屋にいた。また入院したのかと思った。けど、何か病室と違うな。
いつの間にか、マカは僕の目の前からいなくなっていた。
頭も軽く動かせるようになっていて、探していると、
「ズマゴ、さあ立ち上がって」声の方に目線をやると、マカが直立不動でいた。びっくりした。
猫同士がじゃれ合って後ろ足で立ち上がる感じと違い、普通に人間のように立っている。しかも何か白い鎧のようなものを着て。
産まれて二ヶ月くらいの子猫だから、立ち上がっても僕の膝位の身長だ。

「マカ、それ…」着ているものを指さす。
「ああ、これ、正装みたいなもんですよ」
右前足で、胸のあたりをポンポンと叩く。同時にカツンカツンと爪があたる音がしたから、硬いものでできているのかも。
「せいそう…正装?なんのために?」
「これから会議ですから」
「会議?なんの?」
マカは、一瞬考え込んで、というか考え込む動作をする猫を見たことないから本当のことは分からないが、部屋の一点を見据えながら、
「…この先の地球についてです。」
「はい!?」

〈つづく〉


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