白玉ユキト

気ままにゲームと音楽を作ってる人。 https://uyokyokusetsu.bex…

白玉ユキト

気ままにゲームと音楽を作ってる人。 https://uyokyokusetsu.bex.jp/

最近の記事

創作大賞2024「雨の日の邂逅」

これは、同一タイトルで人物名や要素が共通する別の物語を展開して、見た人の感想が異なる状態を作ろうという試み、「玉虫企画」の一編です。 (今回は規約のためにタイトル名を分けています) 関連作: 消えた昨日の犯人(ミステリー) はらからの恋(恋愛物語) 本文  今日は朝から雨だった。  窓の外に降りしきる雨を眺めながら、私、月宮明里は憂鬱な溜め息をついた。  梅雨というものは、どうにも気分を重くさせる。どんよりと広がる雲、耳朶を打つ雨音のノイズ。それらはまるで、就活に失

    • 創作大賞2024「はらからの恋」二章後編

      一章前編はこちら。 「明里さんは、ちゃんと自分を勘定に入れてる?」  その言葉は、妙に胸元でつっかえた。ひやりと体が冷たくなった気がした。 「違ったらごめん。でも、人目を気にしないのも、投げやりになってるのも、自分のことを大事にしてないから、だったりしない? 明里さんは、ちゃんと自分の幸せを考えてる?」  言われている意味が上手く掴めなかった。まるで『空を飛べ』とでも言われているかのような。  だって、無理じゃないか、そんなこと。今まで許されなかったじゃないか。挑戦すること

      • 創作大賞2024「はらからの恋」二章中編

        一章前編はこちら。  運動するのが嫌いだった。息が荒くなるから。自分のために多くの酸素を無駄に消費してしまうから。  野菜を食べるのが嫌いだった。シャキシャキと音がするから。自分の立てた音で存在を主張してしまうから。  静かな夜が怖かった。呼吸音が響くから。自分が生きているという事実を嫌でも認識してしまうから。  人と目が合うのが怖かった。自分の存在を意識するから。私を見た相手がどう思うのかを知りたくないから。  それなのに、心のどこかで見つけてほしいと願っていた。  頑張

        • 創作大賞2024「はらからの恋」二章前編

          一章前編はこちら。  私は努力が苦手だった。  嫌いなのではなく、意義が見出せなかった。  思うに、努力できる人というのは環境に恵まれているのだ。  努力をマラソンに例えるなら、まずは走るのを許されていること。挑戦させてもらえること。成果を得られること。失敗しても認めてもらえること。  そして何より、目の前の地面を信じられること。  言うなれば、私の周りは地雷原だった。 「アンタがやりたいって言ったんでしょ?」  挑戦したら責められる。 「だから言ったじゃないの」  失敗

        創作大賞2024「雨の日の邂逅」

          創作大賞2024「はらからの恋」一章後編

          一章前編はこちら。 「今日、親がいないんだ」  次の日、家の前で別れる直前に、僕はつい言ってしまった。昨日の悲しげな顔が、頭から離れなかったから。 「だから、うち来る?」  言ってから思った。  これ、エッチなこと誘う時のヤツじゃん!! 「うん、行く」  照れながらの返事すら、卑猥な意味に思えてくる!  違うんだ! 僕は必死で打ち消した。  明里さんを部屋に通すと、彼女は物珍しそうにきょろきょろと見回していた。 「特に何もない普通の部屋でしょ?」 「そんなことないよ。興味深

          創作大賞2024「はらからの恋」一章後編

          創作大賞2024「はらからの恋」一章前編

          これは、同一タイトルで人物名や要素が共通する別の物語を展開して、見た人の感想が異なる状態を作ろうという試み、「玉虫企画」の一編です。 (今回は規約のためにタイトル名を分けています) 関連作: 消えた昨日の犯人(ミステリー) 雨の日の邂逅(スラップスティック) あらすじ 一章前編 一章後編 二章前編 二章中編 二章後編 了 本文  春。それは出会いの季節。  めでたく高校に進学できた僕こと小日向照真は、なんと高校デビューに失敗し、入学1週間にして早くもクラスで孤立して

          創作大賞2024「はらからの恋」一章前編

          創作大賞2024「消えた昨日の犯人」後編

          前編はこちら。  はっと顔を上げた照真は、しかし、そこが取調室であることに気付いて落胆した。昨日の時点でできる証言はしたと思うが、結果は変わっていない。やはり、気を揉むだけ無駄だったのだ。 「少し気になることがあるんだけど、いいかい?」  星野の問いに視線だけを向ける。特に返事はしなかったが、星野は気にするでもなく話し始めた。 「昨日の話だけど、道を間違えてホテル街を通ったところに、Pコートの男が飛び出して来たんだったよね?」  それは先程、証言したばかりの箇所だった。想像

          創作大賞2024「消えた昨日の犯人」後編

          創作大賞2024「消えた昨日の犯人」中編

          前編はこちら。  照真は見慣れた自室で、布団にくるまっていた。カーテンの隙間から漏れてくるのは、薄明かりと雀のさえずり。つまりは、いつもの朝である。  ぼんやりとした頭が覚醒していくに連れ、照真はなんだかやるせない気持ちになっていた。むくりと体を起こし、さっとカーテンを開くと、閑散とした見慣れた街並みが目に映った。 「また夢かよ!」  声を出すと、少しだけ気分が軽くなった気がした。一緒に虚しさも増したが、それは無視。  それにしても、殺人犯として警察に疑われる夢なんて――そ

          創作大賞2024「消えた昨日の犯人」中編

          創作大賞2024「消えた昨日の犯人」前編

          これは、同一タイトルで人物名や要素が共通する別の物語を展開して、見た人の感想が異なる状態を作ろうという試み、「玉虫企画」の一編です。 (今回は規約のためにタイトル名を分けています) 関連作: はらからの恋(恋愛物語) 雨の日の邂逅(スラップスティック) あらすじ 前編 中編 後編 了 本文  夜、ベッドに横になった小日向照真は、スマホに表示された12月24日という日付を見て、昂りを抑えるべく深呼吸した。  明日はいよいよクリスマス。月宮明里との約束のデートの日だ。

          創作大賞2024「消えた昨日の犯人」前編

          Numeric Equalizer / 数値を揃える戦闘ゲーム

          こんばんは、白玉ユキトと申します。 これは「Gamedev.js Jam 2024」に参加した「Numeric Equalizer」に関する記事になります。 ジャムのテーマが「Power」ということで、敵のHPにカードのパワーを揃えて倒していく戦闘カードゲームです。StS系統のデッキ構築ローグライクなやつですね。プレイは↓ ジャムのメインページは↓ このゲームを一言で言うと、デッキ構築型のヘビクエストです。パンチとか防御とかはそのまま拝借しました。回避は形を変えての採用

          Numeric Equalizer / 数値を揃える戦闘ゲーム

          Unity1week「かわる」を終えて / カワルール

          Unity1week「かわる」で2度目の参加となりました、白玉です。 今回も無事に結果が発表されました。 参加したタイトルは「カワルール」という、戦うルールが毎回変わるカジュアルな戦闘カードゲームです。 結果発表!総合得点が3.811で、操作性が38位でした! 今作も前作同様「遊びやすくてちょっとハマる」を目指したので「操作性・斬新さ・絵作り」が高めなのは嬉しい評価です。ただ、楽しさが少し凹んでいて、グラフが盾みたいになりました。勝敗(つまりレスポンス)が分かりにくいと

          Unity1week「かわる」を終えて / カワルール

          カワルール / Unity1week「かわる」

          こんにちは、白玉ユキトと申します。 Unity1weekに2度目の参加となりました。テーマが「かわる」ということで、変わったルールで敵を倒す! 戦うルールが毎回変わる! カジュアルな戦闘カードゲーム「カワルール」です。読みやすいタイトル! 敵と対戦ルールに合わせて、手持ちからモンスターを選びます。 力勝負! 頑丈さ勝負! ワクワク勝負!? 勝てそうなカードを選びましょう! 以下はその制作記録です。今回は難産だった……。 ちなみに前回はこちら。 テーマの「かわる」を考え

          カワルール / Unity1week「かわる」

          Unity1week「おくる」を終えて / ←左<宇宙人>右→

          Unity1week「おくる」で初参加した白玉ユキトです。 無事に結果が発表されましたね。 今回、参加したタイトルは「←左<宇宙人>右→」という、赤と青の宇宙人を左右に振り分けて送り返すゲームです。 結果発表!!なんと、操作性の項目で9位を頂きました! ありがとうございます! そして、楽しさの項目でも20位でした! 嬉しいですね。 カジュアルゲームらしく「遊びやすくてちょっとハマる」を目指したので、ありがたい評価です。次は斬新さと雰囲気作りを鍛えないとですね。評価グラフ

          Unity1week「おくる」を終えて / ←左<宇宙人>右→

          ←左<宇宙人>右→ / Unity1week「おくる」

          初めまして、白玉ユキトと申します。 今回、Unity1weekに初参加させていただき、テーマの「おくる」に合わせて「←左<宇宙人>右→」を制作しました。タイトルなんて読むんだろうね。 これは「赤と青の宇宙人を左右に振り分けて送り返すゲーム」で、どんどん時間が短くなっていく中でどこまで行けるかを競います。 以下はその制作記録です。 テーマ「おくる」を考えるまずは「おくる」について、いろいろ考えた。 直球の「送る」「贈る」 「億り人」的な「億る」 「置くル」とか「オ来

          ←左<宇宙人>右→ / Unity1week「おくる」