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Numeric Equalizer / 数値を揃える戦闘ゲーム

こんばんは、白玉ユキトと申します。
これは「Gamedev.js Jam 2024」に参加した「Numeric Equalizer」に関する記事になります。

ジャムのテーマが「Power」ということで、敵のHPにカードのパワーを揃えて倒していく戦闘カードゲームです。StS系統のデッキ構築ローグライクなやつですね。プレイは↓

ジャムのメインページは↓

このゲームを一言で言うと、デッキ構築型のヘビクエストです。パンチとか防御とかはそのまま拝借しました。回避は形を変えての採用。デッキ構築のほうはStSよりも本家のドミニオンから。金貸し相当の斧は、コストを含めてそのままです。




テーマは「Power」

発表されたジャムのテーマは「Power」でした。これは前回のUnity1week並に難しいテーマだと思う。「Power/力」なんて、無いゲームのほうが珍しいだろう。あまりにも広範な一般名詞すぎる。その中で「どれくらいパワーを固有の要素にするか」という話だとは思うんだけど。

一応「Power」を辞書で調べた。物理的な力がその意味するところだけど、そこから派生した強さや能力、また力を生む動力や電力だったり、支配力や権限などの間接的な力も含む。面白いところでは数学の累乗や能天使なんかもパワー。

何でもかんでもパワーということが分かったところで、さあどうしようか、という感じでした。


力を扱ったオーソドックスなアイデア

・ボタン連打で力を溜めて何かを破壊する
・長押しで溜めた力を解放して吹っ飛ばす
・タイミング良くボタンを押すとフルパワー攻撃

どこかで見たことのあるものたち。シンプルすぎて、いにしえからのゲームに存在する。でも「力で何かを破壊するゲーム」を考えると、最初に思い浮かぶのはどうしても「星のカービィ スーパーデラックス」のメガトンパンチなのよ。

なので、まずはここから脱却したかった。


引力や斥力を使ったパズルゲーム

力を単体に作用させずに、その方向全てに作用させたらどうか、と思った。チェス盤のような盤面に自分と敵が存在して、縦一列か横一列をスライドさせて揃えて消すパズルゲーム。強すぎる力は一列全てに作用してしまう、というテーマ「パワー」の扱い方。

敵が2体以上並ぶと消える。敵が3体いる時に2体だけ揃えてしまうと残った1体が消えない。目の前の敵を消そうとしたら向こうの敵が一緒に引っ張られて残ってしまうとか、引っ張りたい位置に壁があって移動できずに悩んだり、壁越しに引っ張ることで、壁のそばにいる敵は動かず、その向こうの敵だけを動かしてくっつけたりする。

試してみたんだけど、これは面白くするのが難しかった。敵を動かせる回数やタイミングを制限しないと簡単すぎるし、それをやろうと思ったら盤面からたった1つの正解を導き出すタイプのパズルゲームになるので、バランス調整がめちゃくちゃ大変なのだ。

面クリア型のパズルゲームは、やっぱり作るのが大変です。


勢力のパワーバランスを均衡に保つゲーム

勇者軍と魔王軍が戦争していて、プレイヤーは神の視点から両者のパワーバランスを釣り合わせて双方が存続するようにするシミュレーションゲーム。一方が強くなりすぎると災害を起こして弱らせたり、逆に弱くなりすぎると神の恵みで立て直させたりする。

アイデア自体はすごく良いと思ったんだけど、どう考えても「これは面白くなるのか?」という疑問が一切消えない。全体を俯瞰するから画面が地味になると思うし、目的が現状維持だから達成感が生まれづらい気がするし。

ということで保留という名のボツに至った。


四則演算で敵の体力に揃えて倒すゲーム

数学の累乗をpowで表現するところから、計算で敵の数値を作る脳トレゲーム。ランダムに配られた数字を足したり引いたりして目的の数を作る。次第に敵が強くなってきて、数値が大きくなってきた頃に累乗のpowが活躍するわけです。

……が、やってみたら手持ちの数字を大きくする必要がない。ひたすら×を使って数を増やし、誤差を足したり引いたりするくらい。÷なんて一切使わない。なんだこのゲーム、ってなった。

なので、演算記号を外して足し算のみのゲームに作り替えた。それが今のものです。


デッキ構築型で敵の体力にパワーを合わせる戦闘ゲーム

正直、ヘビクエストになるから避けたかった所ではあるけど、これを超えるアイデアが思い付けなかったので。先人の発明は偉大ですね。デッキ構築型な部分で一応の差別化ができていることにして、開発を進めました。

ちなみに開発のベースは、前回Unity1weekの「カワルール」のものを流用しました。手札の操作は実装できてたし、実は最初はスライドして出すように作っていたので、そこの再利用もできましたし。

システムのベースはヘビクエストで、ぴったりで倒すと再行動という仕組みは追加のターンとして、行動力を余らせると防御という仕組みは手札の枚数で実装しました。「ずっと俺のターン!」は、やっぱり楽しいんだ。

ちなみに敵の「防御」は簡略化のため1に固定。「回避」も数値をちょうどにできなくなるので形を変えての採用です。回避というよりバリアですね。弓で回避を無視できるのもオマージュさせて頂きました。

そして、もう1つの敵の能力が「再生」です。実はこれがこのゲームのキー要素だったりします。ボスが最後にしかいないので、あまり活用できてはいませんが。


システムとバランスを考える

敵のスタンと「再生」の意義

StSから連なるゲームは結構あるけれど、大抵はどれも防御を上げて守りつつ敵を攻撃していくものばかりで(少なくとも自分にプレイ経験のあるものはそうで)何か違うなぁと思っていました。

基本がパワープレイなんですよね。体力の高いボスを倒すために、デッキを強いカードで固めて、攻撃と防御の両面で推し進める形になる。これは普通のRPGでも言えることなのですが、「被ダメ<回復量」の形にするタイプがやはり圧倒的に多くて。でもテクニックで敵の行動を封じることができれば究極は防御なんか0でも攻略できるゲームが作れるはずなのに、とは常々思っていました。

例えば敵の体力が30だとして、毎ターン10ずつ与えながら防御か回復をするゲームなら、10ごとにスタンするようにすれば防御も回復もいらないんですよ。そうすると、機械的に攻撃と防御/回復を繰り返すゲームから、いかにして敵をスタンさせながら削るか、というゲームに生まれ変わります。

「そっちのほうが楽しいでしょ?」というのが、このゲームに「再生」を組み込んだ理由です。


手札の枚数

最初はドミニオンの通り5枚にしていました。でも5枚あるとめちゃくちゃ安定するんですよね。システム上、選択肢が増えるほど数値を合わせやすくなるので。そこで1枚減らして4枚にしたところ、何だかバランスが良くなった気がしました。ドミニオンも5枚引けますが、1枚は屋敷ですからね。安定するのは4枚ということなのでしょう。

エーテルブレードが「手札の枚数+1」なのはこの調整の名残です。パワー4だと弱いのよ。でも計算しにくい……。


「余った手札で防御」は失敗だったかも

「防御はなくていいはずだ」と先程主張しましたが、このゲームには防御が実装されています。ヘビクエストから拝借したのでね。
分かりやすく「防御=手札の枚数」にしましたが、そうすると敵の攻撃力が4以下なら好きなだけ手札を引き直せるようになってしまいました。

これは良くない。少なくとも、私の望むゲームプレイではない。可能な限り力を尽くして駄目なら被害を受ける、というプレイングであってほしい。

もしかしたら、防御をなくして敵の攻撃力は1か2でも良かったのかもしれないし、強くするのであれば、別の方法で耐久する手段を設けるべきだったのかもしれません。例えば「ダメージを与えると一時的に弱くなる」とか。

そうしたら、開発中に気付いた「敵の数が多いほど選択肢が広がって簡単になる」という問題に対しても、「その分、受けるダメージが増える」という解答として機能するし、今は弱い杖も「敵全体の攻撃力を下げるカード」として機能するし。


ジャムから本開発に移すならば

まずはデッキパターンを増やす必要がありますね。今はローグライクっぽさを出しつつも構築パターンが1つしかないので。斧や鎌でデッキ圧縮して、ナイフやダガーで手札を維持しながら削って、聖剣をぶち込む。それしかできない。

戦略を広げる追加要素には、コピーするカード、表と裏があるカード、ダメージを防ぐ、状態異常を引き起こす、属性魔法で弱点を突いてスタン、などいろいろと考えられますので、本開発に繋がれば実装したいですね。


敵のバリエーションも少なくて、進行に応じて攻撃力が弱中強の3種類に、能力は「防御・回避・再生」だけ。1つ前のランクの敵と混ぜて出すことで頻度をごまかしてはいますが、特徴のある敵はいません。

参考にしたヘビクエストには豊富なパターンの敵がいますので、実装したいものはあります。攻撃したら潜る敵とか、超過すると爆発する敵とか、毒を与える敵とか、仲間を呼ぶ敵とか。


素材に関して

不気味ながらもユニークなモンスターはこちら。

種類は豊富だし動きもあるし、これを無料でリリースされているのは本当に助かりました。ありがとうございます。


無事に間に合った

結構ギリギリだったけれど、何とか無事に間に合いました。期限の5時間前です。

自分でプレイしててもなかなか面白いゲームだと思うので、良かったら遊んでもらえたら嬉しいです。英語なのでハードルは高いかもですが。

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