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「not」の作用域

塾で教えているときに、自分でもよく疑ってはいなかったところを見つけた。今までずっと目にしていたのに、何故かずっと無視し続けていた。生徒が分からないという状況にあってやっと、その「分からなさ」のおかげで、疑問を持つことができたと思う。ありがとね、生徒よ。こっちが一方的に疑問を感じているだけだけど。

「must not」と「don't have to」という英語の表現は、混同されることがある。訳としては、前者は「~してはいけない/してはならない」であり、後者は「~しなくてもいい/しなくてもかまわない」になる。すっかり区別して覚えている、つまり違う表現だと認識していることに慣れているワタシにとっては、どうして間違えてしまうのか、よく分かっていなかった。間違えたら、「これはこっちだよ」と指摘してあげるのも大事だと思うが、なぜ違う表現なのかということについて、考えことが無いとは、失態失態。

では、なぜ違いが生まれるかについて、考えていくね。個人的に思うたのが、「not」の作用域というもの。つまり、否定の意味合いが、どこまで、どんな風に作用するかということになる。「must not」の「not」の作用域は、どこまでか。それは、「must」という助動詞に対してまでであろう。つまり、「must not」は、「must」という助動詞の意味を、反対のものにするのでは、と考えたが、実は「must」に「not」がかかっているのではなくて、「must(not)」以下の、動詞以下の表現に作用している(かかっている)のではないかと、考えた。

「must」←「not」「do it」ではなく

「must」「not」→「do it」では?(或いは全体に)

「must」「must not」に共通する要素は、「なければならない」という強制に近い表現だろう。「しなくてはならない」「してはいけない」。異なるのは、ある行動をしていいのか、そうでないのか。ということは、「must」自体に、「not」が作用するのではなく、「do it」という動詞を中心とする動詞句に対して、「not」が作用していると考えたほうがいいのではないかと。

「must」は、確かに「must not(must'nt)」という風に表記できるが、よく考えてみると、「しないということに対して、強制力がある」→「しないということ(not do it)を、絶対に守らねばならない(must)」ということではないのだろうか。

そして「must」という助動詞に、「not」という否定の表現が作用するならば、「must」が持つ強制力を無くすことに成り、「する必要は無い」という「don't have to」混同してしまうのではないかと。

では、「don't have to」について。これは、「have to」という「しなければならない」という訳の表現を、「don't」が否定しているだけなので、そんなに難しいということはないだろう。要は、「must not」という表現の、「not」が「must」に作用するという(間違った)考え方でいけば、この「don't have to」は理解できるということでいいと思う。

さて、「must not」と「don't have to」について、「not」の作用域という観点からいろいろ書いてきたけれど、事の本質はなんだろうか。それは、「not」の作用域が、「must not」と、「don't have to」で、異なるということであり、それを混同してしまうからこそ、どちらも似たような表現だと勘違いしまうのではないかということだと考える。もしかすれば、英語の助動詞は、「must」のように、否定の表現が助動詞そのものに作用するのではないのかもしれない。だが、間接的に「not」が作用しているとも言えるので、断ずることはやはり難しいところ。まぁいろいろ考えると、英語の助動詞の見方が、又変わるかも。

とかこんなこと書いているけれど、言語学の統辞論(或いは意味論かな?)をちゃーんと勉強した覚えはないので、もうちょっとちゃんと勉強してからまた考えようと思う。たしかどこかで、英語学の本を見かけた気がするぞ、探す!




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