続・デザイナーのスキルマップは難しい(”ちゃんと使われるスキルマップ” をアップデート!)
お疲れ様です。村田です。
冬来たりなば春遠からじとはいいますが、ここ数日急に春の訪れを感じる気候ですね。
UXDCでは昨年UXデザイナーとして必要となるスキルの可視化と、UXデザイナーとしての成長に役立てることを目的として、スキルマップを作成し、公開しました。
その後、実際に活用していく中で見えてきた課題も踏まえ、より使いやすい、”より使われる” スキルマップにしていくべく修正を行いました。 その背景や修正意図、アップデート版を公開させていただくのが今回の記事です。
ふりかえり:スキルマップを作るに至った経緯
経緯などと書いていますが、実のところはタイトルの通り、世の中にあるものがむずかしくて、使いこなせなかったというのがスタートになります。
スキルの範囲が広すぎたり、詳細であるがゆえに項目が膨大だったり。
スキルマップは評価のためではなく、現状を知って成長につなげていくためのものなのに、ジブンゴト化するのが難しいものだとよくないですよね。
ということで、
自分たちの業務範囲に対応していること
普段の作業との紐づけがイメージできる内容であること
個人として頭に入る量のスキルであること
上記を満たすかたちで検討しました。
“使われるスキルマップ” と利用目的
昨年作成し更改したスキルマップは以下の内容でした。
この11のスキル領域に対して、スキル毎に5段階のLevelを定義し、運用してきました。Levelについてはスキル毎に違いはあるものの、以下の共通点があります。(前述の記事再掲)
Level 1:リーダーの指示に従ってその作業を完遂することができる
Level 2:リーダーの指示の意図をくみ取って単独で作業を完遂することができる
Level 3:関係者と直接やりとりして作業を推進・完遂することができる
Level 4:あるべき姿を描き、関係者との議論を牽引・合意できる
Level 5:制約や前提を超えてあるべき姿を描き、関係者と合意できる
これらについて、
本人の現在地を把握する(マネージャーとデザイナーで合意)
伸ばしたいスキルを明確化する
伸ばすにあたって必要となる取り組みと目標を合意する
上記の用途で活用・運用してきました。
運用してみて分かったこと
まず、効果の側面ですが、みんなにとってわかりやすいスキルマップができたことによって、目標設定や組織内での議論がしやすくなりました。
メンバーとの目標設定では、目指す姿を聞いてどこを伸ばしていくのか議論し合意しています。これによって、目標に合わせたアサインも検討しやすくなりました。相互にとって納得度が高まり、成果につながったものと考えています。
またマネージャーとしては、マップを作ってメンバーを俯瞰することで現在の全体のバランスが把握しやすくなりました。その結果、今後どこを強化していくのかという方向性も、スキルを伴って考えることで解像度を高めることができました。
反面、反省点としてはスキルを組み合わせた先のUXデザイナーとしてのゴールイメージが持ちにくいという点が見えてきました。
もちろんスキルマップには左右の軸(Upstream〜Downstream)も設定しており、その観点で目指す方向性はイメージできるように配慮していました。 しかし、わかりやすさのために構造の表現を削ったことで、全体感よりも個々のスキルに目が向いてしまう状態になっているのかもしれません。
この点を解消して、自分の現状や目指す姿をイメージしやすくするためにアップデートすることにしました。
“使われるスキルマップ” アップデート
見ていただいてわかる通り、かなり大きく変更を加えています。
Business / Design / Researchとしていた縦軸を、Leading / UX Design/ Specialityとしました。UX Designを中心に、「プロジェクトにおいてどうデザインに取り組むか」を含めてリードしていくスキルをLeading。デザインワークの推進に欠かせない、もしくは品質を高める個別具体的なスキルをSpecialityと定義しなおしています。
そしてUX Designについては、よりUXデザイナーとして関わる工程をイメージしやすくするべくUXの5階層モデルを基本に構成しました。(UXデザインセンターにおいては実際の作業として構造設計・骨格設計は分けずに行うことが多いことから統合し、4つのスキルにしています。)
加えて全スキルについて、ダブルダイヤモンドを背景として大きくPlanningとProductionに分けて定義することで、UXデザイナーとして大きく見たときに、どちらの方向に強みを持ちたいのか考えるきっかけにもしてもらえることを目指しています。
このようにマップとしては大きく変わっていますが、従来のスキルマップ上のスキルとの対応関係は照らし合わせられるように作成しています。
またスキルごとのレベル感については、基本的に昨年公開版と同じ考え方を踏襲しています。
マップを公開する理由
一番には、私たち自身が多くの公開されている情報を血肉としてUXデザインに取り組んでいるという想いがあります。
なので自分たちが「使える」と考えるものを作ったのであれば問題のない範囲で更改して、使っていただきたいと考え公開しています。
そのことがUXデザインのより幅広い拡大や、導入にもつながるものと考えています。
是非そのままでも、議論するためのたたき台としてでも活用いただける部分があれば活用していただけたらと思いますし、UXデザイナーの方の考えの整理や、UX組織における何らかの議論の一助になれば幸いです。
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