追求するソフトウェアの面白さ | BOCCO emoチームインタビュー
みなさんこんにちは。デザイナーの はらだ です。
現在CAMPFIREにてクラウドファンディング中のBOCCO emo。
残り10日を切りましたが、ありがたいことに現在支援総額は1,100万円を突破しました。
今回はこれまでのインタビューに続いて、BOCCO emoのベースとなるソフトウェア開発について、チームメンバーに話を聞きました。
これまでのBOCCO emoチームインタビュー
#1:ソフトウェア編
#2:デザイン編
#3:ソフトウェア OS編(このnote)
#4:ハードウェア編
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プロフィール
大川 雄平( Okawa Yuhei )- エンジニア
Blogを見たとメールが来て2016年になんとなくユカイ工学に入社。ソフトとハードの狭間をなんとなく担当。なんとなくの流れでBOCCO emoのLinux OS周りも担当した。
里見 充則( Satomi Mitsunori )- ソフトエンジニア
ITベンダーに 20+年勤務後、Gatebox・メルカリを経て2020年にユカイ工学に入社。主にBOCCO emoのソフトとハードの境界付近のややソフト寄りなOSやFirmware周りの開発を担当。
作田 周之( Sakuda Noriyuki )- ソフトエンジニア
院生時代に展示会でユカイ工学を見かけて一目惚れし、1年アルバイトとしてソフトウェア開発に参加。卒業後は自動車メーカーでエンジン制御を担当していたが、ユカイ工学のことが忘れられずに2020年に入社。
僕がやっている範囲は僕しかできないから
----- 大川さんはBOCCO emoの土台となる部分を担当されていますよね。かなり専門性の高い部分だと思いますがいかがでしょうか。
大川
僕はパソコンでいう「Windows」のようなOS部分を担当しています。
専門性というか…情報が多いので、自分で探し回るしかないというだけで、やっていること自体は他のエンジニアがやっていることと変わりはないと思っています。
作田
って大川さんは言うんですけど。すごいんですよ。笑
僕が最初にBOCCO emoプロジェクトに参加した時は本当に驚きました。
emoちゃんのOSを大川さんひとりでみているくらいの勢いで。
最初ソフトをビルドする環境に触った時は「わ!Linux * ビルドしてるよ!」って、本当に驚きました。
Linuxとかのすごい人を " 魔法使い " って意味で " Linux wizard " って言うんですけど、「実在した!!!」って衝撃を受けたのを今でも鮮明に覚えています。
* Linux:OSの一種で、コンピューターのオペレーション(操作・運用・運転)を司るシステムソフトウェア
----- BOCCO emoのOSはどのような構想で作られたのでしょうか?
大川
もともとあるBOCCOの情報があったので、そこをベースにしています。
どのように作って、どう運用していたかを見て、そこに乗りやすいように。
さらにBOCCO emoでやりたいことを実現するために必要な要素を加えていった感じですね。
僕がユカイ工学のエンジニアとしてBOCCOの開発に参加したのが、マイナーバージョンがアップデートされた段階だったので、そこの経験も含めて要素を整頓していきました。
作田
具体的にemoちゃんでやりたいことはチームの定例で話が出てきたりするんですが、それを聞きながら積み重ねてアップデートしていくイメージですね。
大川さんが担当した部分を見れば見るほど驚きが絶えないんですよ。言わばemoちゃん用オーダーメイドOSを作っているわけですから。「わぁ!こんなこともやってたのか!すごいなぁ!」って。
あまり馴染みのない人には想像しづらいかもしれないですが…
大川さんが作ってくれたビルド環境を使って、emoちゃんを動かすためのアプリケーションの開発を進めていくんですよね。
これがないとはじまらない、本当に土台なんです。
里見
僕も一緒に開発をしていて、勉強することが多いなと感じますね。
この土台がしっかりしているから出来るものの幅が広がるんですよね。
未来を見据えた整備
----- そういえば、秘密の合宿があったと風の噂で聞きました。
大川
あ、しましたよ。秘密というか…開発合宿ですね。
ソフトウェアをどう開発するか方向性が不安定だった時期があったので、主要メンバーと合宿しました。
合宿自体は2,3日だったけど、みっちり集中して行ったので、方向性や実装をかなり進められましたね。
作田
僕知らなかったんですよ!笑
でもそこでかなりベースが固まって開発がグンと進めやすくなりましたよね。
大川
今回の開発では色々と整理はできた気がしています。
BOCCOは僕より以前の人もいて、依存関係が曖昧だったり、あまりコード整理ができていない状態があったんですね。
なので、BOCCO emoでは、依存関係もつけて誰でもビルドできる環境が作れたと思います。
----- 以前のインタビューでも未来を見据えた開発環境構築をしたと伺いました。みなさんから未来に向けた強い意志を感じますね。
里見
BOCCO emoではモダンな開発方法を踏襲していますよね。
C++というプログラミング言語で書いているのは、今の若い人には少し学習コストが高いかもしれませんが、そこでベースをしっかり固めていますね。
その上の層はPythonというプログラミング言語で書いて、使いやすいように構築していますよね。
作田
そうですね。
個人的にはC++は奥が深くて難しいです。
大川
僕からしたらPythonの方が難しいんだよねぇ。
ベースのパーツが全部揃っていたら良いんだけど、揃ってないと超面倒臭いな〜って。
作田
Pythonもハマると深いですからね。
たしかにC++で自分で作っちゃった方が早いみたいなところは無きにしも非ずかもしれませんが…大川さんだから言えるって言うのはあるかも…!
目に見えないものを扱う難しさ
----- 開発中に苦労したことはありますか?
里見
音声まわりは大変でしたね。BOCCO emoは音声専門のチップを積んでいて、僕はそのまわりを担当しました。
ちゃんと音を拾ったり喋ったりするのって、ソフトウェアもハードウェアも特殊技術が必要なんです。
最初は不具合があったり動かなかったりしました。
それをひとつひとつ分析しながら直していったので、大変だったし印象深いですね。
大川
目に見えないものを扱うって難しいよね。
里見
そうですね。光は目に見えるけど、音とかはきちんと聞こえているか実際聞いたり、波形見ながら判断していくんですけど…結構色々難しい技術が入ってるんだなって。
大川
目に見えないものといえば、音もそうだし、無線もそうだし。
そもそも目に見えない空気読むとかもね。難しいよねぇ。
----- たしかに「エモ」ってなんだ?って最初なりませんでしたか?
大川
う〜ん、思いましたよ。笑
思いましたけど、僕はBOCCO emoの中に入るものが面白そうだと思ってプロジェクトに参加したんです。BOCCO emoがエモであるかというよりその中身。
結果的にみんなが考えるエモを実現させるために必要なものを開発したことになるのかな。
里見
BOCCO emoって、5年前だったら作れていなかっただろうと思うんですよ。
今だからようやくこのサイズで、技術で、この機能で世の中に送り出すことができる。
コストとか考えなければすごいものって作れるんだろうけど、おのずと価格も高くなっちゃう。ユカイ工学が作りたいものってそうじゃないじゃないですよね。
妄想するBOCCO emoの未来
----- みなさんの期待するBOCCO emoの未来ってどんなものがありますか?
大川
BOCCO emoが世の中にたくさん広まって、次のモデルが生まれれば、次の仕事ができる。
作田
ストレートですね。笑
大川さんが次に興味あるハードとかOSとかあるんですか?
大川
次はAIチップとかかな。
あとは…BOCCO emoだと開発キット的なものを出すのはアリな気がする。
里見
それ面白いかもしれないですよね。
こういうのを出しているところって、あるようでなかなか少ないから。ソフトだけじゃなくて、ハードも含めて拡張ができたりすると面白い。
プラットフォームとしても芽が出たりするといいですよね。
大川
そういうとこではPythonかな。
BOCCO emoの良い機能が使えたり、触りやすくできれば良さそうだよね。
作田
たしかに夢が広がりますね。
そこから拡張…色々触れると楽しそうですね。
大川
あとはkonashi連携だよね。
BOCCO emoの独自センサをkonashiで作ろう!とかね。
里見
連携とか拡張で言うと、アプリの広がりも楽しみです。
生活に溶け込むためのアプリケーションは試行錯誤しないといけないところですよね。
生活に目を向ければ日本だけじゃなくて世界に広がるかもしれないし。
視野を広く持って進めていきたいですね。
----- 連携やいじりやすさについては、以前のインタビューでもセバスチャンさんが話してましたね。
作田
そうですね。『BOCCO emo for Biz』などで内部向けにも作りやすく、改造しやすくしていた部分って、裏を返すといじってもらいやすいってことなんですよね。
ぜひ色んな人にBOCCO emoの中を覗いてもらって、大川さんのすごさを体験してもらいたいです。
----- BOCCO emoの続報楽しみにしています!ありがとうございました!
編集後記:純粋な好奇心の強さ
「面白そうだからやったんだよね。」
純粋な動機って何故こんなにも力強いのでしょうか。
何かに興味を持った瞬間、思わず動き出したくなる あの衝動。
きっと誰しも経験したことがある あの疼き。
ただ、彼らはあまりにも衝動に素直で。
たまに子どものような純粋さを感じるのです。
衝動に身を任せていたら、気づけばそれが仕事になっていた。
「だって面白くて。」
私の目にはそう映りました。
興味の探求を飽きず出来る人々がこんなに近くにいるなんて。
楽しくなくては。もちろん、楽しいだけでも。
しかし、ものづくりはそうでなくては。
奥を覗けば覗くほどに、深い楽しみがBOCCO emoには詰まっています。
可愛らしい姿の後ろ側から滲み出る、技術の深さにもぜひ注目してみてください。
BOCCO emoの詳しい情報はこちら
その他のインタビューnoteはこちら
BOCCO emoチームインタビュー
#1:ソフトウェア編
#2:デザイン編
#3:ソフトウェア OS編(このnote)
#4:ハードウェア編
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