分解してよりわかるハードウェアの奥深さ | BOCCO emoチームインタビュー
みなさんこんにちは。デザイナーの はらだ です。
現在CAMPFIREにてクラウドファンディング中のBOCCO emo。
ラスト3日となりました!
ありがたいことに現在支援総額は1,200万円を突破しました。
今回はこれまでのインタビューに続いて、BOCCO emoのハードウェア開発について、チームメンバーに話を聞きました。
BOCCO emoチームインタビュー
#1:ソフトウェア編
#2:デザイン編
#3:ソフトウェア OS編
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プロフィール
山田 康太( Yamada Kota )- ハードウェアエンジニア
2011年、ロボットを作る時間欲しさに学校を中退。ニートをしながらロボットをひたすらに作り続ける生活を送る。2016年、ユカイ工学に拾ってもらい今に至る。BOCCO emoでは主に回路設計を担当。
池戸 憲夫( Ikedo Norio )- 元チーフエンジニア
2015年7月に入社。数多くのプロジェクトでディレクションから筐体や電子回路設計を行う。また、組み込みFWやスマホアプリといったソフト開発にも携わる。BOCCO emoでは筐体設計に従事。
高岡 亜輝( Takaoka Aki )- メカエンジニア
2019年2月に入社。元 模型金型メーカーに勤める。ユカイ社内では筐体設計と試作筐体の内製作業を行っている。BOCCO emoではモーターの検証やぼんぼりの機構検討、筐体樹脂の選定を担当。
細部まで気を配った機械設計
----- 今回はBOCCO emoを分解しながらお話いただけるんですね!
池戸
そうですね。やはりハードウェアについて語るなら中を見ながらじゃないと…!
BOCCO emoは上からどんどん重ねていけば組み上がるように設計しているんですよ。
では、早速分解していきましょうか…
\ パカッ /
ネジを締める順番もわかりやすいようにガイドを基板にプリントしてあります。この順番で締めると、だいたい同じような位置にくるようになるんですよ。
それと、細かいけど…この4つのネジ穴。よ〜く見ると全部違うサイズにしているんです。
高岡
違うサイズにすることで、誰が組んでも傾いたりせずに、毎回同じように組み立てができるように配慮されているんです。
こういうところはメンテナンス性にも繋がる部分ですね。
こういった細かい設計を池戸さんはしてくれているんですよ。
池戸
細かい部分まで気を回して設計するのが機械設計者の仕事ですから。
現場を知っているからこそ、現場の人がやりやすいように設計しないと。
いかにノイズを減らして、エラーが起こりづらい基板にしていくかを常に意識して設計しています。
BOCCO emoのインターフェースとなるボード
山田
これがBOCCO emoのなかで唯一センサが乗っているボードなんですよ。
つまり、インターフェースになる部分ですね。
外から見るとわかりませんが、中を見るとBOCCO emoには色んなセンサが乗っているんです。…照度センサ、レーダーセンサ、加速度センサ。
池戸
BOCCO emoは話しかけても楽しめるけど、近づいただけでもインタラクションが得られるようになってるのはこのボードのおかげ。重要なボードですよね。
山田
このボード、よく見ると4層なんです。
これが結構大変で…。
それぞれの層に迷路のように線が通っているんですけど、線の太さや配置も細かく調整しながら作り上げました。
この基板を動作させるソフトウェアを書くのが、ソフトウェアインタビューにも出ていたセバスチャンさん。彼を困らせないように「頑張って動いてくれ…!」と思いながら作っていました。
----- なるほど!ハードとソフトの繋がりが理解できてきました…!
高岡
ちなみにこっちがメインボード。言うなれば頭脳のボードですね。
インターネットに繋ぐとか、音声認識とかが全部まとめられています。
山田
音声認識といえば、マイク部分も修正を重ねています。
これまでいろんな展示会にemoちゃんを連れて行って、たくさんの方に直接見ていただくことができましたが、マイクがよく壊れてしまっていたんです。
高岡
静電気にやられちゃうんですよね。
山田
そうなんですよ。emoちゃんに使われているマイクって少し繊細で。
どうしても外から静電気が入ってくるんです。
静電気って数千ボルトはあるから…壊れちゃうんですよね。
CTOの鷺坂さんや池戸さん、外部アドバイザーの九頭龍さんに相談しながら改良を重ねました。
今のemoちゃんに乗っているマイクは静電気に強いものになっています。
試験場で静電気を与える装置を使って何度もテストを行いましたが、バッチリ動いてくれました。
BOCCO emoの表現を支えるハードウェア
池戸
BOCCO emoのプロモーション動画を見てもらうとわかると思うのですが、首元が結構動くんですよ。
これ、BOCCO感を狙って、あえてカタカタ動くようにしているんです。
BOCCO emoってBOCCOの次世代機なので、ちょっとした関連性を持たせたくて。
----- たしかにBOCCOを連想しますね!可愛い!
池戸
ちょっと頭が浮いているようなアソビがあって僕も好きなんですよね。
子どもたちがemoちゃんをツンツンしているシーンも見ていて楽しいです。
山田
僕emoちゃんのほっぺも可愛くて好きです。
内側を見るとLEDがキレイに光るような構造に設計されているんですよ。
池戸
目の部分が導光板の役割を担うように設計したので、ほっぺ部分の穴から均一に光るようになっているんです。
逆に体の方は、ボタン部分以外に光が漏れないようにしています。
山田
そうそう!ボタンごとに光の個室になっているんですよね。
----- 分解しないと見えない部分ですが、随所に工夫が施されていますね!
山田
ボタンの硬さとか、鼻の大きさや構造とか…本当色々工夫したところがあって。ここでは語りきれないですね。笑
池戸
みなさん普段見る機会がないと思いますが、構造的に無駄が無いようにすることでコストダウンにも繋がるんですよね。
結果的に、手に取ってもらいやすい価格になることにも繋がるので、可能な限りスマートな構造になるようにしています。
トライアンドエラーを繰り返すから前に進む
----- 開発中特に苦労した部分はどこでしたか?
高岡
僕が担当した部分だと、ボディの着色でしょうか。
BOCCO emoって、顔も体も同じように見えますが、それぞれ素材を変えているんです。どちらも元は透明な樹脂で、そこに顔料を混ぜて色をつけています。
顔パーツは、ほっぺの光が外からも見えるように。逆に、体は光を通さないように樹脂に顔料の配合を調整しています。
ただ、この配合が結構大変で…。
山田
最初、青い光を中々通してくれなかったんですよね。
高岡
BOCCO emoはBOCCOと同じベージュカラーなんですが、暖色寄りの色なので寒色の発色が悪くて。樹脂と顔料の配分ラインを探るのは苦労しました。
基板側を調整してみたり、樹脂の種類を変えてみたり…。
結果的には、顔と違う材料にして色味が揃うように顔料を調整しました。
山田
本当、トライアンドエラーですよね。
ぼんぼりを動かすためのコイル部分も何度もトライしましたね。
ぼんぼりは基板に接着されている電磁石と、本体についている磁石の力で動いているんですね。基板にはコイルもついていて、そこに流す電流の向きによってN極S極と切り替えるんです。それによって磁石同士が引かれ合ったり反発したりして、ぼんぼりがプルプル動くんですけど…。
池戸
色々調整していく中でパワーが足りなくなったんだよね。
コイルを変えてみたりしたけど、火傷するくらい熱々になっちゃったり…。
高岡
そうでしたね!
誰かがふと「芯入れたら良いんじゃない?」って言ったのをきっかけに、「あ!たしかに!」って、コイルに芯を入れたんですよね。
池戸
そうそう。基本的なことだけど、案外見落としていて。
芯を入れたら問題なく動くようになりました。
山田
ぼんぼり自体も結構試作しましたよね。
高岡
そうですね。今のぼんぼりになるまでに7種類くらい試作しました。
これは、ぼんぼりを動かすためのテストで作ったものですね。
柔らかくない樹脂で作って動かしています。
細かいところもトライアンドエラーの繰り返しですよね。
池戸
そう。でもエラーを出すのが大事で。
エラーが出ることで越えるべき課題が見えてくるよね。
あとはひたすら「じゃあどうする?」ってトライしていくだけ。
ものづくりってその繰り返しじゃないかな。
高岡
たしかに…そうですね!
----- ありがとうございました!BOCCO emoの続報楽しみにしています!
編集後記:当たり前を設計する難しさ
BOCCO emo内部構造の第一印象は「なんだかすごそう」。
今の印象は「当たり前がきちんと設計されている」。
この感覚どこかで…と、美術館に行った時のことを思い出しました。
まず目の前にある作品を見つめて、観察しては想像を膨らませて楽しむ。
そこから音声ガイドで解説を聞いたり、関連知識を仕入れて再度作品に向き合えば、また印象が変わるもので。
ずぶり、と奥に足を踏み入れてみれば、なんと面白いことでしょう。
当たり前を設計するには、それを理解していなければなりません。
「知っている」から「実装できる」までにどれだけ高い壁があることか。
本当にこの子はデザインされているのだと実感しました。
彼らの丁寧で直向きな仕事ぶりに、感動を覚えずにはいられません。
どうぞみなさんも、BOCCO emoの内側の奥深さに注目してみてください。
BOCCO emoの詳しい情報はこちら
その他のインタビューnoteはこちら
BOCCO emoチームインタビュー
#1:ソフトウェア編
#2:デザイン編
#3:ソフトウェア OS編
#4:ハードウェア編(このnote)
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