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♯5 透析(療法)とは?



【概論】
● 腎臓の機能が正常の10%以下に低下すると、尿から老廃物や水分が適切に排泄されなくなり、尿毒症・水分過多による心不全等の症状が出てくる危険性があります。
その際に、本来は腎臓を介して尿に捨てている老廃物・余分な水分を除去していく代替治療が必要になります。
●人工透析は本来の「腎臓の働き」を代行している。
●そもそも「腎臓の働き」とは?
 ・尿をつくる(=老廃物を排泄する)
 ・水分や電解質(Na、K、他)などの、体内のバランスを整える
 ・血圧を調節する
 ・身体で働けるビタミンDを作り(活性化)、骨を丈夫に保つ
 ・赤血球をつくる働きを助ける
●人工透析は大別して2つ。①血液透析と②腹膜透析。


【血液透析】
 ・「体内の血液を透析機に送り込み、きれいにして体内に戻す」
  ※血液中には過剰な水分や不要な老廃物が入っている。
  ※透析機=ダイアライザー=ろ過装置(腎臓でいう「糸球体」の役割)
 ・透析患者の約97%が血液透析を選択。
 ・準備として、腕に血液の入り口(バスキュラーアクセス)を作る為に動脈と
  静脈を繋ぐ手術(内シャント)が必要。
 ・透析時には、手首から前腕にかけて針をさす。
 ・頻度:一回の血液透析の時間は4〜5時間。週に3回程度。仕事後の夕方や
  深夜から透析を開始してくれる施設もあります。


【腹膜透析】
 ・「腹部に挿入した管(カテーテル)から透析液を出し入れする」
 ・腹部の「腹膜」が透析装置の代わりを担う。
  ※腹膜の表面には、毛細血管が網の目のように分布している。
 ・カテーテルを腹部に埋め込む手術が必要。
 ・頻度①:透析液を1回あたり6〜8時間ほど腹腔内に入れておき、1日に4回(朝、昼、夕方、寝る前)交換するCAPD(持続携帯式腹膜透析)という方法。
 ・頻度②:夜眠っている間に、専用の機械で自動的に透析液を交換するAPD(自動腹膜透析)という方法。
 ・通院は月1〜2回でいいので、社会復帰がしやすいメリットがある。


【食生活における注意点】
●K(カリウム)は尿に出ていくので、透析によって高くなりがち。
→高カリウム血症は不整脈になりやすいので注意。
●透析によって体内に入る水分と排出される水分量のバランスが崩れやすい
→体内の水分は過剰になりやすい。
→飲水量の制限が必要。
●塩分の過剰摂取はむくみや高血圧の原因になりやすい。
→心臓への負担も大きい+塩分は喉も乾きやすい
塩分控えめを心掛ける。


【疑問】
●何故、透析をしている人は顔が黒い?
→ 肌が黒くなる(=色素沈着)ことは、一般的な皮膚症状です。 色素沈着にはメラニンという物質が大きく関与している。透析患者は、メラニンを生成するホルモン(β-LPHなど)が、健常者の17倍の血中濃度にも達するといわれている。

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