ウェルビーイングマネジメント

今回は日本経済新聞出版の「ウェルビーイングマネジメント」の内容について自分なりにまとめようと思います。

昨今「人的資本経営」というワードがとても普及しているように感じます。Z世代やコロナウイルスによる職場環境、生活様式の変化などもあり急速にこの考え方は広まっているなと私自身とても感じます。
英語に直せば少しイメージしやすいこの言葉「Well Being Management」
「どうせ働くなら楽しく、気持ちよく働けた方がいいじゃん」という考えを持っているので現在はITエンジニアというプレイヤーの立場ながらこの領域に興味を持っている次第です。

前置きはこのくらいに本の内容に入ります。

社員体験の重要性

この本の中で最も重要視されているのは社員体験だと私は感じました。
中でも今回は
「成長」
の観点からこの社員体験について述べていこうと思います。

成長

私もそうなのですが同世代や近い世代の方は非常に成長意欲が強いと感じます。一昔前ならば大学卒業後はそれなりに安定した企業へ入り定年まで勤める。これが一般的であり大企業へ就職したとなれば年々給与や待遇も上がり不自由なく生活でき個人としてもそれが幸せであると感じていたと思います。私の親と話していてもそのようなことをよく聞いていたので。
ところが今の20代は就職してからも安定を求めるのではなく「挑戦」、それによる「成長」を求めています。
昔であれば勝ち組だといわれた大手企業に入社したとしても成長できない、この会社のブランドがなくなった自分に価値はあるのか?と自問自答するようになり、自身の市場価値が高められるような環境へ転職していくのです。
このような価値観を一回り上の世代のマネジメント職の方が完全に理解してあげることはほぼ不可能だと私は思います。ではどうすればそういった世代の人を満足させられるのかを私なりに考えました。
結論から言ってしまうと答えは以下の2つ。

  • 個人が今、何に対して興味を持っているのかを知ること

  • 個人の状態について把握すること

まず一つ目はモチベーションの領域になります。その人がどの領域や分野について興味を持っているのかを知ることは戦略人事においてとても大切です。極端な話をすれば営業希望の人に経理担当させるようなものは最悪です。そういったことが起きないようになるべく日ごろからどういったことに興味を示しているのかを知っておく必要があると思います。
しかしマネジメント職の方はどのようにして会社の利益を増やしていくかを考えなければならず各社員を把握する時間など取れないと感じる方は非常に多いと思います。
そういう場合にはタレントマネジメントサービスを使用してみるのも1つの手だと私は思います。
例えばオンライン研修がサービス内で受けられるものであれば直接話さなくてもその研修受講履歴を見ればある程度、その社員が興味のある領域が把握できます。
そして話すタイミングがあればぜひその領域の話を振ってあげてみてください。その社員は自分のことを知ろうとしてくれている、自分を見てくれているという気持ちになり幸福感が増します。そしてタイミングがあれば部署移動など適宜対応してあげることでその社員は成長体験ができます。そしてその循環ができてしまえばよほどのことがない限りある程度社員は職場に定着すると思います。

二つ目はメンター制度などがカバーしている部分になります。
一つ目でお話したのは主にプラスの状態でしたがこちらはマイナスの状態が占める部分。
つまりストレスや健康、メンタル面を指します。
顔を見る機会が減るということはそれまでは出社してその人の外見の変化(体系が著しく変化している、目が疲れ切っている、雰囲気が暗くなったなど)からその信号を自分や周りの人間が察知することができていたことができなくなるということです。
企業側もその対策としてメンター制度などを導入しているとは思います。
しかし上手く機能しているケースとそうでないケースはやはり見受けられます。
メンター制度がうまく機能しない理由としては以下の二点だと私は思います。

  • メンターのアサインが適当

  • メンター制度の意義が浸透していない

メンターのアサインは企業側がすると思うのですがおそらくほとんどの企業はメンターを付けたら終わりと考えている部分が多い気がします。ゆえにメンター面談をした際のレポートが活用されていないのではないでしょうか?
やったら終わり。メンターをつけてるから大丈夫。この考えはかなりまずいと感じています。
現に私の企業ではかなり差があります。毎週行っている方もいれば一度も行ったことがない方まで、、。
これではせっかく個人の状態を知ることができる機会を放棄してしまい、結果として休職や離職といった方向へ向かう社員が増えてしまうのです。
社員の健康状態を確認するというのももちろんメンターの意義の一つですがさらに活用する方法があります。

皆さんはコンフォートゾーン、ストレッチゾーン、パニックゾーンという言葉を聞いたことはありますか?

エンゲージメントや心理的安全性の書籍など読まれた方はご存じだと思いますが以下のような概念があります。

各ゾーンのイメージ図



理想としては、
ストレッチゾーンで活動する⇒コンフォートゾーンが広がる
これを繰り返し自身の能力を向上させること。
しかしこれがなかなか難しい。なぜならばストレッチゾーンとはその時の個人のレベルで達成が少し難しいレベルのタスクに取り組んでいる状態であり、難しすぎればパニックゾーンに逆に簡単すぎるとコンフォートゾーンに入ってしまうからです。筋トレと少し似ていますね(笑)
少し話がそれましたがこのストレッチゾーンにいるかどうかを確認するのにもメンター面談は使えるというのが私の考えです。
ゆえにメンター面談の頻度は2週間に一度程度実施されるのが理想的だと考えています。
毎週であればコンフォートゾーンになってしまう可能性があるからです(刺激が足りない)
そして社員自身もストレッチゾーンでの仕事をこなし、日々その中で成長を実感できるようになれば社員体験も良いイメージとなり結果的に会社にとっても個人にとっても良い結果を生むことにつながるのです

これからの企業と組織

これからの社員や企業は間違いなく絶え間なく「成長」が求められます。
今回は個人の成長、現場の取り組み方について書いてきましたが人的資本経営の浸透ともに人事戦略や組織戦略が経営戦略としてとらえられてきています。人事もこれからは戦略人事と呼ばれる方向へとシフトしこれまでの定常的な管理業務だけでなくマーケティングのようにクリエイティブな機能も求められていくと思います。そしてHR-techにおいても人事だけが使うものではなく現場の社員にとっても利用されるということが予想されます。
結局どれだけテクノロジーが発展しようとそれを使うのも作るのも「ヒト」であることは不変なのだと感じます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。


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