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きゅうくらりんについて考察を書いていたら約14,000字にもなってしまった

とんでもない作品に出会ってしまいました...。

いよわさんの「きゅうくらりん」という曲です。
(なんで今更...?とか言わんといてな(笑))

初めは「不協和音の音が特徴的で、なんか歌詞はふわふわした曲だなぁ」と正直舐めた印象を持っていました!(笑)
ただ、何回か聴いていても2番以降の歌詞がよくわからなかったため、考察を調べに行ったらイメージがガラリと一変。

今までにミュージカル・アニメ・映画などで、深く心をえぐられた経験はありますが、音楽でここまでされたのは初!
「こんな衝撃を受けて、何か書かずにはいられない!」と揺り動かされて今書いています。

13,700字超えというだいぶアホみたいな文量になってしまったので、暇な人&好きな人だけ読んでください!(笑)
それでは行ってみましょう!

-注意事項-
【!】何かとネタバレ注意です。
【!】ほかの方の考察を参考にした上での記述なので、なぞってしまっている部分もあるかと思います...。(sorry
【!】個人的な見解が主なので、これが正解というわけではないです。妄想もモリモリなので、あくまで1つの解釈として楽しんでいただけると幸いです。
【!】重たいテーマについて扱うため、読んでてしんどくなってきたらnoteは閉じてくださいね。


① 歌詞・あらすじ・感想

いろんな方が書かれてるものと大きくズレはないと思いますが、まずはストーリー全体をザッと書いていきます。

-1番-
うるさく鳴いた 文字盤を見てた
きっときっと鏡越し 8時過ぎのにおい
しらけた顔 変わってなくてよかった

気になる"彼"とスマホでやりとりしながら朝の身支度中。
気もそぞろで片手間だから時間も8時くらいかなー?なんて。
さっきまでニヤけてたけど、鏡越しの自分はいつも通りのしらけた顔に戻れててよかったな。

気になっている人と連絡し合う何気ない日常の微笑ましい一コマ。
にやけ顔なんて誰かに見せたくないし、自分でも見たくはないですよね(笑)

ピンクの植木鉢のぐちょぐちょした心のそばに
大きく育ったもの
結ばれたつぼみが こんなにも愚かしい

好きな気持ちは心の中でこんなに大きくなってる一方で、
未だにつぼみのままだなんて愚かだな。

好きという気持ちが芽生えて育っているけど、まだ付き合えてはいないのでつぼみのようです。
不安定な心で友達以上・恋人未満の関係に葛藤してる様子が伺えます。

ああ 化石になっちまうよ
ああ 取り繕っていたいな
ちゃんと笑えなきゃね 大した取り柄も無いから

"彼"の前だと変になっちゃうからちゃんと取り繕ってたいな。
私の取り柄なんて笑顔くらいしかないから。

言葉にするのが難しいんですが、好きな人の前だとなんかこう、ぎこちなくなってしまう現象はありますよね。
しかも自分でもまったく無意識のうちだったりするので、意識しても取り繕うのはかなり難しい(笑)

空っぽが埋まらないこと
全部ばれてたらどうしよう
ああ あなたの右どなり
わたし きゅうくらりん

空っぽが埋まらないこと=一方的に積もる私の恋心が全部バレちゃってたらどうしよう!?(焦り)
そんな私は今日もあなたの右隣、きゅうくらりん!

「あまーい!」と思わずスピードワゴンばりのツッコミを入れてしまいたくなるほどの歌詞。
期待の風船は日に日に膨らんでいくばかり。
こんな青春、私は知らなんだ...(笑)

-2番-
例えば今夜眠って
目覚めたときに 起きる理由が
ひとつも見つからない
朝が来たら わたしはどうする?

今夜眠って目が覚めた時に
起きる理由がもしひとつも見つからなかったら、私はどうするんだろう?

ふとした疑問から寝られなくなってしまったくらりちゃん。
前段から打って変わっていきなり深刻な始まり方です。
今の「起きる理由」は明らかに"彼"ですが、もしそれが無くなったら...と想像するシーン。
歌詞の終わり部分の「わたしはどうする?」がどことなく他人事で、浮世離れ感を醸し出してきますねー。

ちなみに言うほどのことでもないですが、ここでは[動と静]起きる=生きる ⇔ 寝る=死ぬという対比がされています。
日々を過ごす7枚のイラストは様々なポーズ・表情でせわしなく動いているのに対し、この後もベッドで横になっている時は死体のごとく微動だにしていません。
普通、モヤモヤした気持ちの時ってベッドでゴロゴロしますよね?
(え、私だけ?(笑))
このぼんやりとした不安は、のちに現実のものとなってしまいます。

うるさく鳴いた 文字盤を見てた
一歩一歩あとずさり
「また明日ね」とぽつり

またスマホがうるさく鳴っている。
いきなり告白されたけど、あまりにびっくりして「また明日ね」って言って帰ってきちゃった。

"彼"からの突然の告白に心臓と精神がワニワニパニックです。
告白の返事はそっちのけでなんとか「また明日ね」と言い去って、その場からはひとまず退散!
スマホがうるさいのは、変な空気になっちゃったかもなと"彼"から後追いのメッセージが来てたからかもしれませんね。

喜びより 安堵が先に来ちゃった
思い出 西日越し
うつるこまかなヒビが
こんなにも恐ろしい

付き合える喜びよりも先に、あの場を取り繕えたことにホッとしちゃった。
今日まで"彼"と過ごしてきた日々が、夕日に照らされるように昔のことのように思えるな。
その思い出に映る細かいヒビがこんなにも恐ろしいなんて。

どうやら「やったー!今日から恋人!ハッピー!」という訳にはいかないようです。
いざ告白を受けてみると、懸念していた"彼"の喪失は当然ながら付き合い始めた先にもあるかもしれないことに気づかされます。
ここで注目すべきは、元からヒビが入っていると思われること。
取り繕ってばかりの自分との身の丈に合わない恋が成就しそうになって、ほんとにこれで大丈夫なのかな?と将来を案じています。

ああ あなたが知ってしまう
ああ 取り繕っていたいな
ちゃんと笑えなきゃね 大切が壊れちゃうから

あなたにバレちゃわないようにちゃんと取り繕っていたいな。
作り笑顔でもしてやり過ごせないと、今まで築き上げてきた大切な関係が壊れちゃうから。

"彼"に好きなこと(本音)がバレてしまうと、取り繕って作った大切(建前)が壊れてしまうと気づいたシーン。
一般的には本音で生きろよ!と檄を飛ばしたくなりますが、建前とはいえ自分を犠牲にしてまで手に入れた大切なものだと、そう簡単には捨てられないのでしょう。
それと、1番の歌詞では笑うことくらいしか大した取り柄がないって言ってましたが、それすら作り笑いの取り繕いだったと判明してメッキが剝がれ始めていますね。

幸せな明日を願うけど 底なしの孤独をどうしよう
もう うめき声しか出ない
わたし ぎゅうぐらりん

"彼"との幸せな未来を願うけど、底なしの孤独の中で私は生きられるのかな。
もううめき声しか出ないくらい苦しいよ。

単純に付き合う・付き合わないだけの問題では済まない大きな決断に迫られているようです。
最初は、恋人になりたい本音と友達でいたい建前の葛藤かな?と思ったんですけど、結末からするとそれだけでは物足りなそうです。
(ここはのちほど考察してみます。)
そして、この間奏を経て、ある決断をしてしまいます。

-ラスト-
ああ 虹がかかっている空 きれいと思いたくて
焦がれては逃げられないこと
みんなにはくだらないこと
もう どうしようもないの
わたし きゅうくらりん

虹がかかった空をきれいと思えるほどの心の余裕なんて、今の私にはないな。
恋焦がれる気持ちからは逃れられないって分かってる。
周りのみんなにとっては私が付き合おうと別れようと、どうでもいいことなんだろうけど、
いったい私はどうしたらいいんだろう...。

悩みながら眠りにつき、朝を迎えてしまったくらりちゃん。
散々考えたことでほとんど眠れていないのか、憔悴しきって無気力な寝起き姿がすでに痛ましい...。
うつむきながら虚ろな目をしている横顔のシーンは毎回「ぐるじい...(泣」ってなりますね。
私自身も昔、いろいろあってこういう気持ちに陥ってしまっていたことが思い起されます。
考えて、悩んで、苦しんで、
その結果「もうこんなの、どうしようもないじゃん...」という絶望的な結論に至ってしまった顔な感じがします。
これじゃまるで八方塞がりの窮くらりん...(ボソッ

そばにたぐりよせた末路
枯れ落ちたつぼみが こんなにも汚らわしくて
いじらしい

自分で終止符を打った恋の結末。
実ることなく枯れ落ちたつぼみって、こんなにも穢れてて哀れなんだね。

最終的に選んだ"彼"への返事はNo。
もともと自己肯定感が低かったためか、美しかったつぼみは咲くことのないまま一瞬にして朽ちてしまいました。

ああ 呪いになっちまうよ
ああ 「あきらめた」って言わなくちゃ
頭の中で ノイズが鳴りやまないから

心の底から「諦めた」って言えなくちゃ呪いになっちゃうよ。
それでも頭の中で「なんで振ったの?」「どうしてこうなったの?」「ほんとにこれで良かったの?」ってノイズが鳴り止まない。

朽ちたつぼみの腐敗が早速始まってます。
本当は大好きなのに自分から振ったことをめちゃくちゃ後悔してますね。

空っぽが埋まらないこと 全部ばれてたらどうしよう
ああ あの子の言うとおり 終わりなんだ

空っぽが埋まらないこと=振りはしたけどほんとは大好きなことが全部バレちゃってたらどうしよう!?(興奮)
(「周りなんか気にすんなよ!俺とのことだけ考えろよ!」とか言って満たしてくれるのかな?)
でもそんなことは絶対あり得ないから、あの子に言われたとおり、終わりなんだな。

妄想の期待と絶望の現実で振れ幅がすごいことになってきました(笑)
感情のジェットコースターはエンディングまで走り続けます!

ああ 幸せになっちまうよ
ああ 失うのがつらいな
全部ムダになったら 愛した罰を受けるから
ひどく優しいあなたの 胸で泣けたならどうしよう
最後 見たのはそんな夢
わたし ちゅうぶらりん

もし私に付き合うなんて選択ができてたら幸せになっちゃうよ。
でもそしたら別れることになるのがつらいな。
全てが無駄になったとしても、その時はあなたを愛してしまったことへの罰を受けるから。
優しいあなたに抱かれて泣けるなら、これ以上幸せなことなんて無いよね。
最後にそんな夢を見ながら、私はちゅうぶらりん。

うわあああああああ!ここで終わるなあー!!と叫びたくなるような衝撃のラスト。
幸せな夢を見ながらちゅうぶらりんということは、やはり首吊り自殺を選んでしまったのでしょう...。
(ちゅうぶらりんなんて表現、そうそう使わないですしね)

「愛した罰を受けるから~最後見たのはそんな夢」の部分が、最期なんだから幸せな夢くらい見させてよ感があって心にグッときました。
この曲がDDLCというゲーム内のあるキャラクターをモデルにして作曲されている説が濃厚なことからも、同じ結末を迎えてしまったと考えています。
(気持ちがちゅうぶらりんもなくはないですが、他の歌詞との折り合いがつかない点が多く発生することから、個人的にはこっちではないかなぁと思いました。)

また、死ぬこと前提であれば、こんな別解釈もできそうと思ったり思わなかったり?

あなたを好きな気持ちのまま死ねるなんて、私は幸せになっちゃうよ。
でもあなたとの思い出を失うことになるのはつらいな。
この愛してきた気持ちすべてが無駄になるのなら、その時はあの世でひとり罪を償うよ。

こっちの解釈の方が、よりダークで終わりに近い感じがしますね。
ただ、見方によってはあなたへの愛でもって死ぬんだから、私の死があなたにとって何も残らない経験になるわけないよね?的な含みも出てきて、
「ああ呪いになっちまうよ」なのでこれ以上はナシで(笑)

この曲には無限に考察の可能性がありますね!ほんとに面白い!

② 気になった点をピックアップ

続いて、歌の中で私がいくつか気になった点について書いていきます。

・植木鉢
私の読解力のなさゆえだったらごめんなさいなのですが、この部分、
ぐちょぐちょした心という土が入ったピンク色の植木鉢の【そば】に大きく育ったもの(拗らせまくりの恋心)
って書かれてませんかね?
【そば】ということは、この大きく育ったものは植木鉢からは生えておらず、根っこは外にある?
不安定な心の土であっても、その植木鉢から育ったつぼみであれば、最終的には自分の心に従って"彼"を選ぶ選択ができたのかもなーとか思ったりしました。

・あなたの右隣
うーむ...カップルって一般的には"男性が右・女性が左"ですよね?
右側に立つ女性は依存せずにリードしていきたいという心理があるらしい(?)のですが、くらりちゃんと"彼"の関係はどう見ても完全に逆ですよね(笑)
"彼"の前で取り繕って右側を演じているつもりでも、実際のところは頼りきりで引っ張っていく自信もないからそうはなれない。
そういった気持ちと行動のちぐはぐさを表したいのでしょうか。
何らかの理由で右側にされてるとは思うんですけど、真相は闇の中って感じですね。

・虹がかかっている空
寝起きの朝から虹がかかっているなんて、まずありえないですよね?
なので、この辺りから妄想と現実の区別がつかなくなってきてるのかもなーくらいに考えてました。
それでもちょっと引っかかったので、まさかこんな言葉なんて無いよな?って軽い気持ちで調べてみたら...驚愕しました。
"朝虹は雨 夕虹は晴れ"という諺があるらしいです。
これストーリー展開的にもエンディングに向けて雨が降ることの暗示ではないでしょうか?
意図的に歌詞に組み込んだとしたら、ほんとにいよわさん天才すぎんか...(笑)

③ 物語の重要なポイントについて考察

次に、映像の中で重要と思われる点を見ていきます。

1. 時計を止める動作

始まりからたびたび時計を止める描写があります。
これらは全部で8回ありました。
   [1] 1回目:曲の始まり
   [2] 2~7回目:1サビ後
   [3] 8回目:曲の終わり
この動作について、2つの切り口から考えていきましょう。

1つの切り口は、単純に時間の経過です。(対象範囲:[1]~[3])
[1]は物語の始まりなので、そのままの意味でしょう。
[2]では、6回普通に止める→その後止めずにちょっと間が空く→悩みモードに突入→だんだん明るくなっていく→そのまま朝を迎えています。
(アハ体験かな?って思うくらいにゆっくり明るくなっていくので、最初はこの変化にまったく気づきませんでした(笑))

このことから、それまでは起床のタイミングで時計を止めて学校に行っていますが、[2]の最後は寝ずにそのまま学校へ行って告白を受けてしまっているようです。
そして長い一日を過ごした後、[3]で物語の終わりとなっています。

もう1つの切り口は、恋心の経過です。(対象範囲:[2]~[3])
7枚のイラストと対応させると、[2]の途中までは滞りなく時計を止めているため、日々の経過とともに"彼"との仲を深めて右隣に来れるくらいに順調だったのでしょう。
しかし、生きる理由について悩んで眠れなかった当日に"彼"から告白を受けてしまい、散々悩んだ末に[3]で自殺により終止符を打っています。

これらから、物語の終わりと恋の終わりを8回目の時計を止める動作に重ね掛けして、きれいに纏めているように感じました。

2. 7枚のイラスト

冒頭から登場してくる7枚のイラストですが、スライドするのは8人分なのに降りてくるのは7人なところが最初にこのMVを見た時から違和感しかなかったです。
7日で1週間だから7人で1サイクル?と当初考えましたが、それなら8回目にスライドさせる意味がないですよね。

これは先述の時計の件を絡めて考えると、7日目に時計を止める動作で人生が終わってしまったため8人目のイラストは降りてこず、
その後もスライドしているのは亡くなった8日目以降も時間が過ぎていくことの表現と取りました。

それで、個人的にはいよわさんはこの「8」という数字に大きい意味を込めて使っている印象を受けました。
・時計を止めるのが8回
・日常のスライドが8回分
・2人で抱き合うイラストも8枚

特に最後の抱き合うのが8枚については、8=∞とも取れるため「8日目の幸せな明日は迎えられず私は死んでしまうけど、あなたへの気持ちはずっとこのまま変わらないよ」という暗喩ではないでしょうか!?
(これはちょっとこじつけが過ぎるかもですね(笑))

何の意図もなしにこんな多用はしないはず(?)なので、ぜひ考えてみてください!(思考放棄)

3. 明るさの変化

MV映像の中ではわかりやすい色の使い分けがされています。
それは生きることに前向きな時は明るく、後ろ向きな時は暗く描かれているということです。

1番では暗い描写は一度もなくずっと明るいままなのに対し、2番では露骨に暗い描写が増えており、ラストにかけては明暗が交錯していることから、激しい気持ちの浮き沈みを表していると取りました。

こういった色の使い分けっては鬱アニメではよくある手法かなと思います。
(例えば、何も起こらないうちはパステルなどの淡い色を多用するが、不穏なシーンあたりからビビット・ダークな色が急増する的な)

一番最後のシーンの2人が抱き合うイラストも暗いまま終わっていることからも、やはり暗い終わりを迎えてしまったのかなと思いました。

④最大の謎「なぜ自殺を選んだのか?」

そして、結末は自殺エンドと判断しましたが、その理由について考察していきます。

1. 材料集め

そもそも自殺を思い至るには、追い詰められた末それしか選びようがなくなったというような、切迫した心境の発生と視野狭窄がセットで起きていると考えられるため、まずはストーリーから材料を洗い直していきたいと思います。

【主人公の特徴】
可愛い(←重要!)が、精神的に不安定な部分を持っており、自己肯定感も低い。完璧主義的な側面があるため、足りない部分はなんでも覆い隠して取り繕ってしまう癖がある。一方、それは自分を守るための防衛本能によるものでしかないことを自覚しており、その空っぽが埋まらないことにコンプレックスを抱いている。このようにメンタルはギリギリな状態で日々の生活を送っている。

【事のきっかけ】
"彼"からの告白

【心の不安】
起きる理由がひとつも見つからなくなること=生きる理由が何ひとつなくなってしまうこと

【曲中で頻繁に繰り返される言葉】
「取り繕う」「空っぽが埋まらない」

【与えられた選択肢】
①付き合う ②諦める

2. 恋人になるか・友達でいるか

では次に、実際にどういう心理となったかイメージしていきましょう。

 選択肢① 付き合って恋人になる

・「底なしの孤独」を迎える
真っ先に思い浮かんだのは完全な孤独になることのようです。
取り繕いがちな性格からして友達付き合いも同様で、本質的には「空っぽ」だと考えられます。
(「みんなにはくだらないこと」と言ってるあたり、付き合い始めても喜んだり応援してくれるような本当の友達ではないと内心思ってる感が滲み出てますね(笑))
女子はコミュニティの生き物なのでクラスの人気者の"彼"と付き合うなんてことしてしまったら、まず間違いなく干されてしまうでしょう。

加えて、底なしと言うくらいなので、親との関係も元々良好ではないのかもしれません。
最後の砦として話せる存在もいないとなると1人で抱えざるを得なくなり、悩みはひとり頭の中で渦巻くばかりですね。

・「幸せな明日」は長続きしない
今でこそ"彼"により幸せを感じられているものの、それがずっと続く保証はどこにもありません。
・"彼"が好いてくれているのは取り繕えている自分なのかもしれない。
・付き合ってもボロを出さずにうまくやっていけるか自信がない。
・心を許して取り繕うのをやめてしまったら幻滅されて振られるかもしれない。
そういった面で付き合い始めても「空っぽ」が埋まらない恐怖との戦いは続きそうです。

また、歌詞で「幸せな明日」と表現はしているものの、あまり将来に楽観的ではありません。
むしろ逆で、直感的には付き合っても「空っぽ」は埋められないであろうことを予感しているものと思われます。
2人でなら乗り越えていけるという希望や自信が勝るのなら、たとえ50/50の賭けだとしても付き合っていく選択に全力でベットできますよね?
結果的に振っていることからも、これから先に埋まっていく見込みの方が薄いと判断したと考えるのが妥当な気がします。

 選択肢② 諦めて友達でいる

・自己喪失で廃人になる
取り繕いなんかじゃなく、初めて正直な気持ちで好きなれた"彼"。
今の起きる理由にすらなってしまっている"彼"を失う。
しかも、その決断を自らしなければならないとなれば、そのダメージは計り知れないでしょう。
・これまでの楽しかった日々ってなんだったんだろう?
・付き合えなくなった今、これから先どうやって私は生きていくんだろう?
心にぽっかり穴が空いてしまい、抜け殻の廃人のようになってしまうのではないでしょうか?

また、燃え尽きたことでより一層「空っぽ」への感情が強まっているので、私ってなんで生きているんだっけ?という沼に沈んでいく危うさすらはらんでいる感じもあります。

・「焦がれては逃げられない」
振った直後に「諦めたって言わなくちゃ」って泣いて後悔するくらいです。
本心では大好きなので、これからも友達として取り繕っていくなんて到底できないことは百も承知の助ですよね。

仮に友達としてやっていくにしても、その後に"彼"に別の彼女ができてしまうかもしれない...のような、
悶々とした気持ちをひた隠しにしつつ、これまで通りの取り繕いができるのかという点にもいささか疑問が残ります。

恋焦がれる気持ちをそのままにはできないけど、"彼"の居ない「空っぽ」の自分になんて戻りたくない。
そうは思いながら最終的には振っているので、ここには何か別の思惑がありそうですね。

3. 埋まらない「空っぽ」

ここで、いずれのケースでも全ての事柄にかかってくる言葉がありますよね?
それがキーワードの「空っぽ」です。

この曲を恋愛先行で考えると、生きる理由が無くなる=彼と付き合えない・別れることで「空っぽ」になるとまず頭に浮かびますが、それだけで自殺の理由になるでしょうか?
(上述のとおり、生きる意味全振りなので相当なダメージはあるでしょうが、まだ付き合ってもないですし、長く続いた幸せからの絶望といった自殺に直結するほどの落差はないように思いました)

そうすると問題はもっと根が深く、生き方全体に関わるくらい大きいのでは?と立ち返ってみて、
最も恐れているのは"取り繕ってばかりの自分の人生に価値を見出せず、その空虚さが埋まらないこと"ではないか?という考えが浮かびました。

容姿・性格・趣味、"彼"の前での自分、友達付き合い、勉強・部活への熱意、将来の夢etc...意思なく周りに合わせまくって中身はぜーんぶ空っぽ。
「こんなに空っぽな人生、何が楽しくて生きてるんだろう?」という闇が芽生えてしまったそんな折、"彼"からの告白という大事件が発生。

どうするか憔悴しきるまで悩みに悩み、
「焦がれては逃げられないこと」(どんな形であってもこの恋に決着をつけないまま生きるなんてできない→選択肢②の消滅)
「みんなにはくだらないこと」(頭ではくだらないことと分かっていながら空っぽへの恐怖で決断する度胸もない→選択肢①の消滅)
「もう どうしようもないの」と行き詰まってしまう。

結局どんな選択をしたところで、取り繕ってばかりの私の人生の「空っぽ」は永遠に埋まることがないんだと悟ってしまったら、
もう疲れたし、死んじゃってもいいやという第三の選択肢が浮かんでくるのもなんかわかる気がしませんか?

この時点でもう十分にお腹いっぱいの絶望なわけですが、これだけでは終わりません。
追い打ちをかけるように「あの子」が現れます。

4. 「あの子」の存在

終盤になって突然登場する「あの子」。
これはいったい誰のことを指しているのでしょうか?まったく説明はされてませんよね。
"彼"については歌詞中でも「あなた」と表現されているので、あの子=思い人ではなさそうです。
そうすると、もう1つ考えられるのは親友の女の子でしょうか?
歌詞からも「あの子の言うとおり~」と、以前にあの子と"終わり"について話したことを思い出しているので、こんな会話を想像しました。

くらり「...自信ないよ。彼とうまくいかなかったら、わたしどうなっちゃうんだろう?」
あの子(くらりって空っぽだしなぁ...いま依存しっぱなしの"彼"を失ったら)
   「うーん、それこそ"終わり"なんじゃない?」
くらり「あはは...そうだよね...。」
あの子「うそうそ、冗談だってば~!マジにしないでよ(笑)
    あたしがいるじゃん!」

女子ならこういう感じの恋バナ、普通にありますよね!?(ゴリ押す勇気)
しかしだとしても、曲でも物語でもかなり終盤のラスサビ部分。
こんなタイミングで、友達とのそんなふとした会話を思い出すか?と違和感を覚えたと同時に、なーんか嫌な予感がしてきました。

まさか...
「あの子」も"彼"のことが好きなのでは?

くっそドロドロ展開ですが、
・付き合ったらなぜ「底なしの孤独」になるんだろう?
・付き合わなくてもなぜ現状維持に戻るだけでなく「起きる理由がひとつも見つからない」ことになるんだろう?
と、なかなか答えが出ずに詰まっていた部分の辻褄が合ってしまうと感じました。

"彼"と付き合う選択をしてしまったら、
取り繕ってなんとか保っている学校での友人関係はもちろん、唯一の親友であるあの子すら失ってしまうことになる。
逆に"彼"と付き合わない選択をしてしまったら、
あの子に"彼"をとられてしまい、なんとか取り繕いで繋ぎとめている自分の精神が壊れてしまうことになる。

こんな究極の二択、どちらも選べないし耐えられないです。
なら、私が死ねば...という気持ちに拍車がかかってしまったとしても不思議ではないでしょう。

また、取り繕うことがこの曲のテーマであることからも、あの子とくらりちゃんとの関係にもこれが掛けられているとも取れますよね。
(こういう騙し合いがチャメシ・インシデントだとしたら、ほんと女子ってコワいデス...。)

5. まとめ

最後に「空っぽが埋まらないこと」のシーンの2枚のイラストをもう一度確認してみましょう。

きゅうくらりんMVより

明るい描写で憂鬱な表情。
手で無理やり口角を上げて「きっと大丈夫」と自分に言い聞かせている感じがします。
無理はしつつもまだ取り繕えている状態のようです。

きゅうくらりんMVより

暗い描写で眉の下がった作り笑顔。
目元こそ袖で隠されていますが、1つ前のイラストからしても明らかに泣きはらした後ですよね。
仮面がボロボロと崩れてしまい「もう取り繕えないや」と完全に心が折れてしまったように見えます。
これまでは「笑えなきゃね」と、義務感で取り繕いの笑顔をしてきたせいか、絶望して素の感情を出しても良くなった今でも作り笑いの演技しちゃってるのがむっちゃ皮肉すぎて好きです(語彙力)

こういった背景を踏まえると、自死を選んでしまったとしても止むなしだったのかもですね。
自らの命を絶つことで「"彼"への愛情」と「あの子との友情」を両立させようとしたのかなというのが、私の最終的な見解となりました。

⑤おわりに

この曲は途中で音のズレが挟み込まれています。

発生は2番スタートの「例えば今夜眠って~私はどうする」と思索にふけっているところで、解消は2番サビの「ああ 取り繕っていたいな」と日常に戻っていくところでした。
この部分、おいおい...遅れた分を取り繕って回収するってバチクソリアルすぎんか!?ってなりました(笑)

さらにここなんですが、よーく見ていると2番Aメロで降りてくる7人も1番Aメロの時と比べてビミョーにタイミングがずらされています。
それに気づいた時「うげー!歌詞・イラスト・音づくりだけじゃなくて、演出へのこだわりもエギィ!変態だァー!」って爆笑しながらゲロ吐きました(笑)
いよわさん、どんな脳みそしてるんだ...。

話が脱線してしまったので戻りますが、この話のように闇を感じても日々に忙殺されて無理やり取り繕って生きていくことは、結構あるあるではないかと思います。
これむちゃくちゃ疲れるし、しんどいですよね。

自論ですが「取り繕い」というのは劇薬で、その場しのぎのハリボテとして使う分には問題ないです。
しかしそれが常態化してしまうと、自分で自分が分からなくなってきて、気づいた頃にはもはや手遅れになっていることがあります。
嘘つきは信用を失いますが、取り繕いはアイデンティティを失います。

ふと我に返って「ほんとの自分ってどうしたいんだっけ?」「あれ、なんで生きてるんだっけ?」と蓋が外れた瞬間に、実態は穴だらけの絶望感に襲われてしまうようなイメージです。
(「実に空虚な人生じゃありゃあせんか?」と濃い顔の広島弁おじさんが脳内に語り掛けてきます(笑))

闇を抱えること自体が悪いとは思いません。むしろ自分の人生と向き合う際の大きな糧になると思います。
誰しも多かれ少なかれそういう部分は持っていますし、それを気にしてしまう機会が多いか少ないかの差でしかないような気がします。

悩んでしまっている方とその周りの方にちょっとばかり書かせてください。

≪当事者の方へ≫
私も過去に悪いことが同時に重なって精神的にかなり弱った時期がありましたが、乗り越えられた身として当時を振り返ると、
①体力的・精神的になんか疲れている
②お腹が空いていたり、虚しさを感じている
③何もやることのない時間がある
これらが重なった時に、得てしていらんこと考えることが多かったように思うので、どこかにメモっといてください。

それで、私からできるアドバイスはこの2つです。

・話せる人に相談しよう
超絶ありきたりな回答になってしまいますが、限界を迎える前に誰かに相談しましょう。
ただし、理解してくれるという期待ありきで話すのはやめた方がいいかもしれません(笑)
私は親と親友に相談しましたが、片やそんなん知らねえよと言われ、片やそういうのもあるよなぁと言ってくれました。

そんなん言い出したら誰に話せばいいんじゃ!と怒られそうなものですが、別にそこまで仲のいい人じゃなくてもSNSの友達でもよくて、
自分が気づかないだけで味方になってくれる人は割とどこにでもいるみたいです。
(ただ、味方のフリして利用しようとしてくる輩がたまにいるので気を付けよう!)

"A friend in need is a friend indeed."と中学か高校の卒業時に贈る言葉で言われたの思い出して、ほんとその通りだなーとつらい経験を経て実感しました。

おそらく自分で思っているほど、世の中は世知辛くはなかったりします。
どうにもならなくなったらHELP!と助けを求めれば誰かは味方で手を差し伸べてくれるので、無理せず弱みは吐き出しましょう。

・自分を知ろう
すごい突き放した言い方をすると、極論自分の問題は自分でしか解決できません。
そのうえで自分を知るのはかなり重要だと思います。

勝手な宣伝になりますが、くらりちゃんはこちらのタイプにガッツリ当てはまっている気がしてならないです。

https://www.youtube.com/watch?v=WDJYaQUntdU

このように今や動画でも悩みの手がかりや原因を知ることができます。
私はこういうところを取っ掛かりに、本を読み漁って過去を振り返ったり医者に通って話を聞いたりして、ある程度自分の傾向を知ることができました。

傾向を理解してこれからの方針・対策を考えることで、今までよりかは幾分か楽に生きていけると思います。
将来の自分のためと思って、余裕があるときに取り組んでみてください。

≪周りの方へ≫
よく"人はなかなか死なない"って言われますけど、死ぬ時は簡単に死にます。
ここ数年でも友達がバイク事故で急死したり、会社の先輩がすい臓がんと判明して半年で病死したり、学生時代の後輩が精神を病んで首吊り自殺したり、今年に至っては幼稚園からの同級生が30歳の若さで亡くなりました。

さっきのズレのように、日々の中に変化は小さいながらも確実に起きてくると思います。
遅刻したり、ごはんを抜いたり、休みがちだったり、しんどそうだったり、話し方に違和感があったり、表情がなかったり。
そういった変化に気づけるのは最も近くにいるあなただけかもしれません。

そして、頼られた時にはぜひ力になってあげてください。
助けよう!なんて大きいことは思わなくていいので、話を聞いてあげてください。
大抵の場合、死にたい気持ちよりも逃げたい・楽になりたいが本音だと思うので、それだけでも当人はだいぶ救われるはずです。

自分の人生、自分のものなんだ。
いっぱい笑って強く生きよう!

以上でこちらのクソ長投稿を終わろうと思います。(チカレタ)
お読みいただきありがとうございました!

~余談①~
考察を進めていく中で、12年ぶりにあのトラウマアニメが思いっきり頭をよぎっていきました。
・絶望の突然死エンド(黄色の人)
・穢れが呪いに変わる(青い人)
・自分のための選択をしてるはずなのに満たされない人生(赤い人)
・どんな選択をしても同じ結末を迎えてしまう(紫色の人)
頭の中で、これさ...もはやあのアニメじゃん!ってノイズが鳴りやまなかったです(笑)
ちょうど1年後の今頃には新作が上映されるらしいので楽しみですね!
オススメではありますが、こっちもだいぶ鬱になるので心に余裕があるときに見てくださいねー。

~余談②~
この曲、私が中学生(?)の頃、進研ゼミの付録CDに収録されてたメレンゲさんの「カメレオン」って曲にすごく似ているなぁと思いました。
当時死ぬほど聴いたくらいにいい曲なので、気になった方はぜひ調べてみてください!

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