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テーマパーク   |詩

羊男のほほへキスをしたら後ずさりしたけど彼の手をつかんで

テーマパークへ行くの

羊男は首を振るけどわたしの誘いは絶対だからテーマパークへ行くの

あたしの車に乗せてあげるわ

羊男の頬にキスをしたからその手をつかんで車にひきずりこんだの

夜の道をドライヴしてるわ


そうね

あたしが笑うと歯が見えるものね

こわいものね、リップだってまっだもの

あたしが笑うとこわいのよね

外に出して出してって、するわよね

そうよね


テーマパークなんか夜中に着いたってあたりまえだけどどこもかしこも開いてなくて仕方がないから夜の銀座を流すしかなくて

あなた夜の灯が好きなのね

なんだかわかんないくらいちっちゃく鳴いて

車のまどから夜の景色みてるのね

その黒い大きな瞳で


ねえ

夜の銀座にはわるいひとしかいないわ

あなたを焼かせてお酒といっしょに食べたくてしかたないひとたち

あなたを子供にむしらせてエコなセーターを欲しがっちゃうひとたち

みんなお金であなたを買うのよ


どうして?


でもね?

テーマパークはすてきなところ

たくさんたくさん夢がみれるわ

あたしお金が払えるの

どうしてかなんてあとで言うわね

だから行こうよテーマパーク

朝の銀座はうすぎたないわ

お金を払って夢がみたいの

そして時間でゲートがひらく

それからあたしは

まわりの間抜けな大人たち子供たちをうんとたくさん馬鹿にしたんだ

ジェットコースターに乗ったあなたの顔を写真に撮ってうんとたくさん馬鹿にしたんだ

観覧車に乗ってそこから見えるあたしが知ってるあの街の奴らがしたことをぜんぶぶち撒けてやったんだ

もちろん

あなたの頬にキスもしたのよ

涙なんかなんで流さないで笑って

やわらかな

あなたの頬

そしたらきっともう

つかれちゃうから

夜の蒸気船に乗って

ゆっくりあなたの白い

ふかふかな肩で

居ねむりするの

ビールはだめよ

食べたくなっちゃう

あなたを

ねえ

起こしてね

おわりに

夜のエレクトリカルパレードで

涙を流したいから

たくさん

たくさん

わかってね

わかってね

そうしたいから

あなたと

そうしたいから


終っちゃったら外に出たらまたまっくらだから

だから羊男

車のなかで

つかれちゃった

抱きしめて

低い声で

やさしく鳴いて

いつもみたいに

その低い声で

あたしあなたと

ずうっといたいの

あなたといっしょの夜じゃなきゃ

もうイヤなの

ねえ、わたしの顔をみて、

鳴いて、

羊男。



最終修正 2023年1月11日 夜

初稿公開 2023年1月11日 夜



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