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夜灯性タンポポ詩集

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【自作の詩だけを集めました】公開日順に並べてあります。
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テーマパーク   |詩

羊男の頬へキスをしたら後ずさりしたけど彼の手をつかんで テーマパークへ行くの 羊男は首を振るけどわたしの誘いは絶対だからテーマパークへ行くの あたしの車に乗せてあげるわ 羊男の頬にキスをしたからその手をつかんで車にひきずりこんだの 夜の道をドライヴしてるわ そうね あたしが笑うと歯が見えるものね こわいものね、リップだってまっ赤だもの あたしが笑うとこわいのよね 外に出して出してって、するわよね そうよね テーマパークなんか夜中に着いたってあたりまえだ

冬 恋愛 一首

#百人一首恋の巻冬 一首 ふりつもる 白きやまこそ けがすまじ 淡きゆきの音 瞑りてやすく 【解説】 ある歳下のひとに焦がれたときに恩師に相談したところ「だからね? あいつは人間エベレストみたいなもんだからお前みたいな恋愛登山のんびり初級者さんが突然うかつにも世界最高峰極地登山みたいな真似してみろ、どんな装備しようがこっぴどい目にあって比喩でなく死ぬからとにかく止めろ。そもそも君に振り向く筋はまったく無い、いい加減キミは武蔵野丘陵レベルの安全な丘をゆくような恋愛をせめ

連歌「さざなみディスプラグド」 (シロクマ文芸部・お題 [海の日を])

一歌 五首 海の日をADAMの メモリが再現す さざなみの向こうの 素足のひとは 波 消えゆ 夏の この瀬に かの姿 走る けれどさざなみ いま ふたたびに コード断つ 手が触れ会える その前に 「でぐ」が映した その過去の岸辺は スカートのままに瀬に浮き 子らに云う 海に父御は おわすとも 見つめよ 奪いし わが邦の府をとも 唄をきけ その脳髄にこそ 憶えけれ 邦弾に爆ぜる かぞくのうたを お読みいただきありがとうございました。 この作品は #シロクマ文芸部

短歌四首 お題「海の日を」#シロクマ文芸部

四首 海の日を 想いて日記 ひらき見て 贈られし桃色の貝 挟んで潰す * 海の日を、 倦みの日と、 手帖に書きなおす。 君があの子と行く旅は、 とても楽しいことでしょう。 * 海の日を独り サーバールームに篭り修正 フェリー再び出航と聞き 波の音を聴く * 海の日を 心待ちにした夜 ただふたり 揚がる花火の 轟音の影 お読みいただきありがとうございました。 #シロクマ文芸部 さま参加作品となります。 最近疲れ過ぎで(夏が苦手)物語を書く体力ございません。そ

短歌 お題「夏の夜」 #シロクマ文芸部

一首 夏は夜 源氏名(うそつき)の君の腕のなか その肋骨(あばらぼね)を 指でかぞえた #シロクマ文芸部 ・ 白状します、kaoさまの一首をよんでいたら思いついてしまい、つい書いてしまいました。いろいろごめんなさい……。

『透きとおる』  #54字の物語  #シロクマ文芸部

54字を原稿用紙にて。 最終改訂 令和六年一月三日

うつす  #シロクマ文芸部 #詩

詩と暮らすようになりました じぶんが なにかを作れるようなことなど ありません ただ 図書館のかたすみに ひと棚だけある 詩歌の たくさんの前にたち 一冊を手にとります たとえば夜 じぶんをゆるせなくなりくびに手をかけたときに その一冊をおもいだし かばんのなかから とりだすのです  写すのです  お気にいりの万年筆でも 昼につかったボールペンでも  なんでもいいから せんせいたちの詩歌をうつすのです せんせいたちは わたしの知らないことばも使って 詩を

夜のほしぞら瞬くそのとき | シロクマ文芸部

約1700文字 珈琲ともあれ口に含む爺が部屋の隅より観る 「またか御嬢」 ベッドのうえパニエで膨らませたドレスを着てすわる女の子がシーツを握りしめて泣きつづけてまったくうるさい 「こんどのひとほんとうに素敵だったの死にたい信じてすらっとして指がきれいで優しくて素敵で死にたい髪もふわっとしててすっごく撫でてあげたくてお願いしたら触らせてくれてくすぐったいよって言ってくれて死にたい素敵で」 爺がニコチンガムをガシガシと頬張る 「喫っていいわよこんなドレスなんてもう要ら

『スニーカーフェティッシュマイダーリン』   歌詞:かうかう

Hi !! スニーカーフェチなあんたがサイコー! Yeah !! 白でバッシュのローカットだけよね♡ Hi !! スニーカーフェチなあんたがサイコー! Yeah !! 夏でバッシュを素足に履かせて☆ Hi !! スニーカーフェチなあんたがサイコー! Yeah !! 白いバッシュのローカットだけよね♡ Hi !! スニーカーフェチなあんたがサイコー! Yeah !! 冬にタイツでバッシュ履かせて☆ でかいバイクに あたし乗せてて アクセル踏んでさ (ヤダ☆) 考えだして

或る花についての報告   |詩

研究室を閉じその中で照明を消し ひかるその花にぶ厚いガラス壜をかぶせる 待つ 時計は外に置いてきた ただ待つ 表示される時間のない暗闇のなかほど 退屈で長く 時間を感じさせる 眠くなると上司に持たされたアンプルから 注射器で腕の血管に刺す そしてもうねむくはないけれど長い 夜が長い けれど明けようにも 研究室の戸は開かない ずっと夜 ひかるその花の光が 黄から薄緑へ変わっていた 記録はどこかでモニターされてるから僕の問題じゃないよ じっと記録されている

[search : ("碧秋桜")]   |詩

壊れたディスクを格納したローバー『タイニー』が 向かいあう碧秋桜の状況を喫茶店で記録する 日没まであと2時間 碧秋桜は窓際の席で うなだれて椅子に置かれていた 『ポータルのカメラで記録された 30分前の状況』 "ポータル"の喫煙所で、次のようにタイニーは筐体正面のモニターで プロンプトを碧秋桜へ向け表示した [:BlueCosmos 投与(促進剤) & 行く 喫茶店 ] そして30分後 碧秋桜はみずからの車両で喫茶店に到着する そのあとをタイニーが追った 全速力

Not sure anymore   |詩

あくまで 夢 の はなし もう 誰もいない 建物 のなかを ふらふらと歩いていて. 薄暗いなか むこうに あかり が 見えたから. そっちのほうへ 天井が破れていて. たまたま 光の柱が ぼうって あく まで 夢の はな し ひかる が 射す あかり のなかを 無数 に きらめき 粉々に ただよう 塵 両手を差しだし  目 を 閉じる 温度 日 が かげり 薄く ,なり  消える. 破れた 天井 のむこう に  おおきな 空 が あって 雲が

対歌 措置は収容とする   |詩

話を聴いててあたまにきたのでお前の顔を齧った 驚いていたので面白い やっぱり これは わたしがむかついていたのを初めて知りましたって顔か そうだよ 何十分かかってんだよ 何ヶ月かかってんだよ 何年かかってんだよ わたしの知らない女の話で頭がお花畑なのはお前だ馬鹿野郎 呻き声をあげたので 中身に舌をいれてかきまわす お前の首にそえたわたしの手から お前の脈が さらに早く強くなったのがよくわかる わかりやすさはむかしからだね それは わたしうらやましい そういうのわた

あらあら、具合のお悪いことで。   |詩

その子の顔を思いだそうとすると花束になってしまう。まっかなバラの花束とかそんな大げさなものじゃなくて、 ブーケというか、そう、結婚式でほうり投げるようなそんなかんじの、そう、ちんまいかわいいやつ。カラフルな、いろんな明るい花でできた、ちいさなそれ。 いや彼女を別にぽーんと段の上からみんなの頭上へ放り投げたいとか、いますぐなんか、その結婚式をあげたいとか、そんなことはまったくなくて。 いつものふんいき地味めなワンピース姿、たまに長いスカートでブラウス(そういえばパンツルッ