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【連載童話】ヘンリーと赤いふうせん11

パパとママがくれた大きな赤いふうせんと
たくさんの小さなふうせんは
げんきいっぱいふくらんで
きもちよく かぜにのっています。

「ついに 行くんだ!あの山のむこうへ」

ヘンリーのむねも ゆめときぼうで
いっぱいに ふくらんでいました。

くもとおなじ たかさから見おろす村は
いつもとは ずいぶんちがってみえました。
かけまわってあそぶ草原も
ヤギが草をはむ ぼくじょうも
ひろびろとして うつくしく
大地はどこまでも ひろがっています。

手をふるパパとママのすがた 
ヘンリーのおうちが どんどん ちいさくなって
とおざかり やがて見えなくなってしまいました。

すると ヘンリーは
すこしさびしいきもちがしました。
けれど これからまつ けしきへのきたいが
さびしさを けしてくれました。

「村のそとはどうなっているのだろう。
あの山のむこうがわに どんなせかいが
まっているのかな」

ヘンリーはまっすぐに
まだとおいあの山のいただきを 見つめていました。

〈つづく〉


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