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【連載童話】ヘンリーと赤いふうせん10


「ヘンリー。
いつか おまえはそう言いだすと 思っていたよ」

パパが そう言いながら あらわれました。
パパのうしろには ママがやさしく わらっています。

そのふたりの手には たくさんのふうせんが!

「パパ!ママ!」

パパとママは そのたくさんのふうせんを
ヘンリーの手に にぎらせてくれました。
それは それは たくさんのふうせんです。
ヘンリーは 今にも飛んで行ってしまいそうでした。

「おっと ヘンリー。
これは いちばん だいじなものだ」

飛んで行ってしまいそうなヘンリーを
つかまえて パパは言いました。
そうして ヘンリーに わたしたものは……

ひときわ大きな 赤いふうせんです。

「これは けっしてわれない ふうせんだよ
いいかい?
どんなことがあっても だいじょうぶだ。
このふうせんが おまえをまもってくれるからね」

「ヘンリー。 あいしているわ。
きっと だいじょうぶよ」

ママがそう言って ふうせんにうもれるヘンリーに
キスをすると ヘンリーのからだは 大空たかく
飛び立って行きました。


〈つづく〉 


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