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「海獣の子供」を読んで、観た。

なんだか懐かしい時間帯のnote更新だ。


今日は一日中父の家に行っていた。2匹のダックスフンド(子犬)をもみくちゃにした。相変わらず可愛かった。

最初は昼ごはんを頂いたり、蟲師の漫画を読ませてもらったりしていたのだが、星野源さんや米津玄師さんの話になり、

「米津さん名義になってからの楽曲では『海の幽霊』が一等好きだ」

と言ったところ、「海獣の子供」の漫画と映画を見せてもらうことができた。

(注釈。私はボカロP時代の「ハチ」名義だった頃の米津さんの音楽が好きで、本人が歌うようになってメジャーデビューしてからの音楽はあまり聞いていないのであった。「Lemon」すらあんまり聞いてない。米津さん名義なら「海の幽霊」が抜群に好きだ。ハチさん名義なら「Christmas Morgue」と「演劇テレプシコーラ」がめちゃくちゃ好きだ。趣味が分かりやすいな。)


先に漫画を一気読みした。なんちゅー作品だと舌を巻いた。

一貫して抽象的だ。いや、暗喩が非常に多く分かりづらい、と言った方がいいか。具体的な説明が少ないのが特徴的である。シンプルに難しい。

哲学的で、なおかつSF的な作品だった。想像していたのとだいぶ違っていたのでかなり面食らった、というのが正直なところ。

だが、とにかく視覚情報が凄まじい。「言葉」ではなく「絵」で強く魅せてくる作品だ。(これは作中においても「言葉」の不完全性の話として触れられている。)

なんだかとんでもないものを見てしまったと思った。


次に映画も見せてもらった。

漫画の濃密な内容を映画サイズに凝縮しているので、原作を読んでからだといくらか説明的で分かりやすくなってはいるかな、とは思ったが……。

「生誕祭」のシーンに入ってからは原作のあの抽象的な部分が一気に全開になっていて、こちらもやはり「絵」でとにかく魅せてくる構成になっていたと思う。「絵」の力でゴリ押ししてくる強さを感じた。


好き嫌いがハッキリ分かれそうな映画だった。

だが、原作があれだけ難しいのだから、そりゃ映像化も難しいに決まっている。

しかし原作のタッチをあそこまで緻密に再現して、あの内容を映画のサイズにきちんと納めて、作品として仕上げていることは本当に凄いことだと感じた。

製作したSTUDIO4℃は「鉄コン筋クリート」も作ったスタジオだが、「鉄コン筋クリート」も素晴らしい作品に仕上がっていたと思うので大変恐れ入った。

「鉄コン筋クリート」もちょっと抽象的で難しい部分があるんだよな。でもあれは良い作品だ。見る者の心を震わせる力のある作品だ。


個人的にすごく気になったのは、原作を読まずにいきなり映画を観た人の感想である。

「生誕祭」のシーンとか、何が起きてるのかさっぱり分からないままただ美しい映像が展開されて、よく分からないまま物語が終わった、という感じだったのではないだろうか。

キャラクターの名前の説明が一切入らないのでそこも分かりづらかっただろう。いきなり当たり前のように「ジム」とか「デデ」という名前が出て来るので「これ初見じゃ絶対分からないだろうな」と思った。


あと、最後のスタッフロールを見るまで音楽が久石譲さんなのに気付けなかったのはちょっと悔しかった。スタッフロール後のシーンで流れる音楽でようやく「久石譲さんだ……」となった。悔しい。

主人公の両親の声が稲垣吾郎&蒼井優だったことにも全く気付けなかった。特に吾郎ちゃんは本当に気付けなかった。「吾郎ちゃんだったのォ!?」という声が出た。

そして、主人公の声を演じていた芦田愛菜ちゃん。俳優さんによる声の演技で、これだけ上手い人がこれまでいただろうか。調べたら海獣の子供が初のアニメ作品ではなかったようだが、いやはや、素晴らしかった。


……。


最後になんだが、非常に俗っぽい感想も言っておこう。

私はアングラードが一番好きだ。

まずビジュアルが完璧。髪の長い中性的な美青年。しかも天才。素晴らしい。原作を読んでいてアングラードが出てくる度にちょっと嬉しくなってしまった。

デレデレじゃねえか。デレデレだよ。

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