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うつぼの生涯

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うつぼがこうやって生きてきたよっていうのを暴露しています。暗かったり明るかったり。人生はたのしいことばかりじゃないから面白いし、みんな何かしら抱えて生きてるよねって話。
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2021年5月の記事一覧

退職後の小話

時系列があれなのだが、少しだけ余談を。

この記事を読んでくれている方は、退職前にシンデレラがいた話は覚えておられるだろうか。詳しくは退職の内容を書いた記事に載っているが、なにを隠そう引き継いだ後輩のシンデレラ姫である。

ガラスの靴という平凡をメルヘン城に落としてしまった姫は、魔法も解けてそのあとアップアップしながら運動部的ノリノリ先輩や他の先輩、同僚にサポートを受けながら勤務していたそうだが、

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小話。音楽と労働と家。

これは退職前ではあるが、仕事とは関係ない小話である。

私は働きながら、本番前に地元の恩師の元へレッスンに行ったり、発表会に出たり本番に挑戦していた。

月1はほぼ当たり前で、酷い時は月に続いて本番があったが、世渡りも演奏も優秀な友人がいたので伴奏をさせて貰う事が多かった。今だって本当に助かっている。

合唱の定演で半分と言えど本2冊は弾いたし、何で出来ていたのか今では分からない。気合い。

働い

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濁し。

「ちょっと来て」と言われて呼ばれた部屋に行く。

いや、さっきお話は終えた所だ。何だろうと施設長の部屋に行くと、そこにいらっしゃった人物を見てすぐに勘づいてしまう。時刻は就業10分前。荷物乗せたいんだが。

「いやぁごめんな忙しいのに時間もろて、いける?」何て関西丸出しのご婦人は紛れもなく、私を呼び出した息子の母親である。一応遠いが上司に当たる。

さて、この人に呼び出された理由なんて一つしかない

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退職するまで転々と

相変わらずかの徳川施設長は、そのままであった。

終業時間の過ぎた真っ暗な外は、カーテンで覆われていたが隣の事務所とつながっている。今から言う事は数人には確実に聞こえるし、致し方ないと思わなければならない。

本当はこんなに冷静に言えなかったのだが、



「勉強と演奏と仕事の並行が難しく、一旦集中できる環境に身を置きたい」

「結婚準備も考えているので期間が欲しい」

「この度今年度をもって退

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移り変わるマリンブルー

体調の話の前にいくつか。

そんな初心者丸出しの私も3ヶ月立てば何か変わると思ったが、実質あんまり変わりなかった。新郎の下の名前を呼ぶのにもう少しかかったし、自分の下の名前を呼ばれ慣れるのにも随分時間がかかったからだった。多分電話とか何回途中で切ってしまったか分からない。

更にどうでも良いが、ベタに観覧車でした初チューはBGMの打ち上げ花火が終わった丁度、てっぺんまで登ったゴンドラだった。

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変化する日常と過去

変化する日常と過去

さて、楽しく帰ったは良いが次の日から仕事は変わらずやってくる。

私は「おはようございます」と会って一言真顔で挨拶をするだけでも違和感があった。一応、向こうも普段通りに接してくれる様である。いやそうじゃないと困る。どのみち新郎が相談してしてしまったメンツをのぞいて「職場では隠し通す」と一緒に決めて貰った。新郎が同じ部署とはいえ、現場は違う建物だった事が幸いだった。新郎は特にバラす事に関しては気にし

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心理戦の果てに

心理戦の果てに

京都に行くまで、不安が不安を呼んでロクに眠れなかった。

着付けがちゃんと出来るか、途中で帯がほどけてしまったらレスキューして貰える所はあるのか、それはどこか、どの順で行くと退屈しないのか、見れそうな所はあるのか、トロッコの時間にどう合わせるかなど、悩む事などいくらでもある。

頭がパンクしそうだ。

でも、何となくだが直感的に、何かが起こるとすればこの嵐山だと、本能が言っている気がした。

もし

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バレンタインと心理戦

バレンタインと心理戦

その日はガチガチに緊張していた。いや、仕事はしている。ほんとマジで仕事はしていた。

私達の話す時間は、1時間弱、短ければ30分もない。1日、記録を打つそんだけの時間しかない。

そして、悩みに悩んだ結果、

渡したいが直接渡す勇気がなくて、でも渡したい私が選んだ方法とは

「作ってみたんですけど、あげる予定の子が今日休みで。味見してみてくれませんか?」だった。

ああ、いいよと新郎は穏やかに言う

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