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みんなで好き勝手推そう褒めよう!  十六夜杯私設賞 上位6句 うつスピ賞


10月26日19時現在、
勝手に賞が着々と増えていまして、
落ち着いてみんなの勝手に賞を見たいのに、
思わぬ形で作者が分かって、発表されてしまう!

(※上位12句を選んだ時点でまだ作者を見ていない。)

ということで、
26日に急ピッチでうつスピ選の上位6句です。

鑑賞は、重複する部分もありますので、お手数ですがこちらをどうぞ。

それでは早速行きます!


6位 355.星月夜大道芸に10万ぶっ込む

迷いました。
5・7・8ですか。ただ、ここを 大道芸に10万円 (7・5※正確には6です)とすると、
作者の言いたかったことや、この句の勢いは削がれますよね。
この句が、例えば競馬、競輪、ボートレースに10万ぶっ込む、
だと意外性が出てきません。
大道芸に大金を入れる作者。
私の人生できっと出会うことはないだろう等考えると、
「意外性」が、上位6句に入れたい。と感じました。

また、私が俳人ならば、
同時投稿の句、 新宿でギターと座る星月夜
の綺麗に収まった句を選んでいたかもしれません。
地名の効果も効果的に表現できています。

・・・と書きながら思ったのですが、
「作者の立ち位置は」という問題が出てきましたね。
私は、「大道芸に10万円を奮発して入れる、応援する人、心から応援したい人を見つけた人」を想像したのですが、
もしかしたら、大道芸人になりたい人が、10万円という資本金・大金で道具を買いそろえたのかもしれません。
夢見る大道芸人見習いの句かもしれません。
これが、17音の奥深さですね!

作者は!

テルテルてる子さんでした!おめでとうございます!


5位 271.鳥渡るリハビリ室のアスリート

綺麗な句ですよね。
これは、季語とフレーズの響き合いを楽しむ句です。
鳥渡る、渡り鳥のことですね。

この作者には、窓の外の渡り鳥と、リハビリ室のアスリートの関連が見えてきたのだと思います。

例えば、プロスポーツ選手のリハビリで、
全治○カ月のけがから復帰していく過程が、渡り鳥のように見えたのかもしれません。
また、日々のリハビリを手伝っていく過程において、
リハビリを終えて街に帰っていく人々が、
鳥が渡っていくように羽ばたいていくように見えるのかもしれません。
リハビリ室の日々が、リアルに浮かんだのでこの句を選びました!

作者は!

すうぷさんでした!おめでとうございます!


4位 85.一本を早めたバスの異世界よ

無季の句ですね。この句の鑑賞は、読んで字のごとしですね。
私はかつてバス通学だったのですが、
○分のバスのメンバーなど、かなり固定化していくものですよね。
それが、一本バスを何か理由があって早めただけで、世界は一変します。

それは、「かすかな違和感」かもしれません。
私には、ちょっといつものメンバーと違うなーという認識止まりでした。

それを、「異世界よ」とまで言い切った作者の発見、言い切り力が素晴らしい!と感じ、この句を選びました!

作者は!

オラヴ153/タロットで人生を詠むさんでした!おめでとうございます!



さて、3位からの発表ですが、
うつスピの十六夜杯の1位タイ(1位ベトナムではないです ※キングオブコント2022コットンきょんさんの言葉より)の句を、
3句にしようか迷いました。

ずっとずーっと眺めているうちに、
少しずつ自分自身の好き度に差を感じたので、
一応順位付けをしていますが、
うつスピの1位タイ、ほぼ1位、的に思っていてもらって構いません。
理由は書いていきます。


3位 229.介護終えこれより我の返り花

この句は、意気込みや思いに打たれました。介護を終えた身であること。
そして、返り花(季節はずれに咲く花)に我が身を例えているという、
季語を活かした素晴らしい句です。

なぜ3位かというと、(※下のリンク内容は読みたい方だけどうぞ)

季語に対する俳人たちの論は少しずつ異なっていて、統一的な見解はありません。季語はなくても構わないとする人もいれば、必須だという人もいます。その中間に様々な条件が提示されていて、いわば百家争鳴の状態です。
あるときNHK文化センターで「まのあたり句会」というイベントがあり、私も参加しました。メンバーは今井聖さん、櫂未知子さん、髙柳克弘さん、それに私。NHK俳句の選者と制作者が一同に会するという企画です。その席で髙柳さんが発表した句。
舞台に幕張るや五月の海として   髙柳克弘
今井さんは「重大な問題意識の隠れた句」と指摘しました。この句の季語は五月の海。しかし舞台の幕は、本物の海ではありません。それを季語と呼ぶことができるのか。今井さんは認められるという立場。勿論、作者の髙柳さんも。こうした立場をひとまず「言葉派」と呼ぶことにしましょう。一方、櫂さんは「私は現物主義」と主張。本物の海でなければ季語とは認めないという立場。私自身は櫂さんを支持しました。二対二。四人の選者の意見が、真っ二つに割れてしまったのです。言葉としての季語に関心を持つのか、あくまで実物の季語にこだわるのか。ここには俳句観の違いがくっきりと現れています。私見ですが、俳壇全体では現物主義が七割くらい。しかし若手になればなるほど、言葉派が増えてゆくように感じられます。結論の出ないこの論争、あなたはどちらに一票を投じますか?

この句は、返り花が本当に咲いているわけではなく、意気込みとして、季語の本意を利用して、自分の意気込みを描いています。
(描いているように感じました。)

私自身は、季語の本意を利用した上での俳句表現を許容しているのですが、

この句を、私の名前の元に、うつスピ賞1位です!と
大々的に推す勇気が無かったという話です。(勇気がいります)

俳句大会として、俳人としての私の顔が少し顔を出した、
有季定型に少し染まっている私でした。(ごめんなさい)
素晴らしい句であることに違いはありません!


作者は!

見据茶(みすてぃ)さんでした!おめでとうございます!


2位 179.お互ひの余生あつめて大花野

もう、言うことない俳句ですね。
これは、花野の華やかなイメージと、やがて枯れてしまうイメージを合わせ、更に大花野とすることで、広がりを見せています。
これは、人間の老齢の鑑賞も出来ますし、

大花野そのものを「一物仕立て」で、
大花野とは、お互いの余生を集めて咲いているんだよ。だから綺麗だし、枯野になっていくんだよ。
という風にも取れる、もう、もはや完璧な句!に思えました。

参加応募句の3句から、
おそらく俳句に親しんでいる俳人の先輩の方の姿が浮かび、
参加していただきありがとうございました。
と思わず思った句でした。

言うことない俳句が、なぜ2位なのか。
今回は、1位の句を見ていただけたらと思いますが、
「私に一番響いた。」という視点で順位をつけさせていただきました。

とても素晴らしい句でした!

作者は

鮎太さんでした!おめでとうございます!



1位 204.この先は長し笑へよ青蜜柑

私は、このメッセージに打たれました。
自分語りになりますが、私はうつ病で長いこと苦戦している日々です。
でもまだまだ人生は長い。そう思えました。
私自身も青蜜柑かもしれないです。
そう思えました。

大きな解説はないです。読んで字のごとしです。
次の句が、 鰯雲産声上げて君のゐる
であったことから、
もしかしたら赤ちゃんへの句であったかもしれませんが、
メッセージが、うつの私に響いた!頑張っていきたい!笑って生きたい!
と思えた!という理由でこの句が1位です!

好きで選ぶ私設賞です。

あえて順位をつけるなら、
私はこの句のメッセージが一番響いたので1位にさせていただきました。

素敵な句をありがとうございました!

作者は!

のんちゃさんです、ありがとうございました!


予選通過句

63.掻き出した子宮は空、残月
68.
風の櫛(くし)ポニーテールの芒かな
124.
秋、風に隠れているね本当が
136.
無免許の後は死だけか秋薔薇
213.
彼岸花愛撫を知らぬ乳房かな
340.
秋の宵赤髪の魔女夜遊びへ


お返事は、出来ておそらく一括になります。

私の選句は本選の選句とは全く関係ありません。
本選結果の発表も楽しみですね!

私設賞は自由になので、
みなさま褒めて褒められていきましょう。

愛を込めて。

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