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3回のうつ、そこから学んだことと以後の再発を防いでいる私の心構え

タイトル通り、17歳・23歳・26歳と3回にわたり調子を崩し、学校に行けなかったり休職したりしました。

17歳と23歳の時は診断がつきませんでしたが、26歳の時にようやくそれらが全て「うつ病」であり、再発していたことが分かり、ようやく謎が解けた気分でした。


26歳のとき、私は初期研修医として総合病院で働いていました。

17歳の時に多忙や睡眠不足は自分にとってよくないと学んだけれども、医師というものは身を削って働くものだと思い込んでいるうちにすっかりそのことを忘れて働いていました。

もっとも、医師の成長にはがむしゃらな時期も必要というのはある意味では本当なのですが、、、

当直続きの中気がついたら頭が働かなくなってしまい、上司が同じ病院の精神科部長に相談した結果診察を受けることとなり、今までのエピソードなどもまとめてお話した結果、再発性うつ病というものだと分かったのです。

当時聞いたことですが、うつ病は3回再発すると90%の人が4回目の再発を起こし、4回再発すると再発予防のため一生の服薬が必要、とのこと(10年前の話なので今は常識が変わっている可能性は多分にあります)。


再発しない残りの10%に入るぞ!!

こう決意して、そこからより精神的に安定して生きるにはどうしたらよいか?ということを勉強する日々が始まりました。

そのおかげか、現在38歳ですが、今のところ4回目を経験していません。

これはまずいかな?ということがあっても、予兆の段階でほぼ察知できるので自分で這い上がることが可能になっています。

これは、経験を多く積んだお陰でしょう。


一度でもうつ病を経験された方は、その時の体の辛さを考えると再発はなんとしても防ぎたいと思って当然です。

経験のない方は、「辛いって、どのくらい辛いの?」とピンとこないと思うのですが、自分の記憶をたどると、産後1日目のほうがよほど体がだるくなかったです。(経産婦にしか伝わらなくて申し訳ない)

胃腸炎で吐き下ししている時の辛さと大体同じな気がします。あの、トイレでうずくまって動けないやつです。


さて、12年間再発なしを記録していますが、これにはいろんな理由があると思います。

どれが一番大事と優劣をつけられるようなものでもありませんが、今思い当たることを書いてみると、

①専門医の治療をきちんと受けた

これは医師目線ですが、実際に私が今仕事でうつ病をもつ患者さんと接すると気がつくのですが、「うつ病」と言われているにもかかわらず精神科医の治療を受けていない人が多くいるということです。

「精神科」の門をたたくことへのハードルの高さがまだまだあるんだなと感じられます。

うつ病の初期の症状として不眠が現れることが多くありますが、この時点で内科など他の科にかかり、「眠れないので睡眠薬をください」で済ませて、以後長きにわたり睡眠薬だけもらっている人が後をたたないのです。

私は眼科医なのですが、精神科にいく必要がある患者さんには「餅は餅屋だ」と説明しています。「私に骨折治せと言わないでしょう?それと同じです」と。

だいたいの精神科クリニックは落ち着いた雰囲気に内装がととのえられておりますし、合う合わないがあるのはどの科も同じですから、合わなかったら変えればいいくらいの気軽な気持ちで行ってみることをお勧めします。


②再発予防のため、寛解後も飲み薬を続けた(1年くらい?)

うつ病が良くなることを、「完治」とはあまり言わず、「寛解」という言葉を使います。イメージとしては、素因はあっても大体よくなって生活できるね、という感じでしょうか。

急性期の苦しい時期を抜けて寛解が見えてくると、少しずつ仕事に戻ったり普通の家事ができるようになって、

早く治りたい私たちとしては「治った!」と思うのですが、

体はしばらく病み上がりであることを感じさせられます。

ここで無理をすると悪化することが多いようです。

この時期に、自覚は悪くなくてもしっかり通院して飲み薬を継続したことも、12年間落ち着いて暮らせている理由の一つになっていると思います。ガイドラインをあたってみたところ、寛解後26か月飲み薬を続けることで再発予防効果があると書かれていました。26か月は私も飲まなかったかなあ、、、。

<日本うつ病学会ガイドライン2016>
https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/iinkai/katsudou/data/20190724-02.pdf


③自分なりの悪化のサインを見逃さない

私の場合は、「物事を完璧にしようとする」「夜中に目が覚める」

こういったことが悪化のサインになっていて、怪しいと思ったら今気になっていることを手放してみるようにしています。

こうした時には、夜の飲み会など不要不急の用事はキャンセルします。

そして、食事を見直します。

多忙な時はとかく炭水化物やジャンクに偏りがち(私の場合)になりますので、もし自炊する余裕がないとしても、スーパーで玄米のパックごはんを購入、納豆を買う、ミニトマトやきゅうり、ベビーリーフなど洗えば食べられるものを用意する、などで栄養バランスを整えていきます。

最近ではコンビニでも煮魚や焼き魚が買えますから、便利な時代になりましたね。

早めに気がつけば、こうしているうちに蟻地獄に落ちずにすみます。


④何かもっとつらいことがあって、体調不良に逃げていないか確認する

元気な時であれば、自分の心の生活全体を見直してみると良いでしょう。

人間は、無意識に病気に逃げ込むことがあります。私の場合も親子の関係性だったり、人とのコミュニケーションに過緊張があったりと日常でストレスや生きづらさを抱えていて、そこから逃げ出すように具合が悪くなることがありました。

こういう根本的な問題と対峙するのは非常に骨の折れる作業ですし、一朝一夕にはいきません。

大変なので、仕事で大忙しの時などはそんな余裕がなく、大体は先送りしているものだと思います。

でも、私が思うには、だいたいこういう根本のところに何か黒い負のエネルギーみたいなものがあって、そこと向き合うことでちょっとずつ人生が好転していくような気がします。


改めて、うつのガイドラインを読み込むと、

非常に重要なことが書いてありました。

非常にバリエーションがあって、経過はひとそれぞれ

なので、私が書いていることはほんの一例のお話になってしまいます。でも、どうやら私のタイプ自体はあまり予後が良くなかったようなので、、、その後元気でおかげ様だなあと思います。

みなさん、ありがとうございます。


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