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首吊り自殺未遂をした話

はじめに

※本記事は決して自殺を助長するために書いたわけではありません
※自殺を考えている方のためのホットライン(厚生労働省)→0570-064-556

ツレとツレがうつになった夫婦の夫、うつ兄さんです。
かれこれ2年ほど、うつと付き合っています。
うつになるまでは、ベンチャーで2年間エンジニアとして普通に働いていました。

現在日本では精神疾患を持つ患者数は増加傾向にあり、2017年の患者調査で約420万人いるとされています。この患者数は、4大疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病)よりも多い状況です。しかし、何らかの精神疾患ないしメンタルヘルス不調を抱えている潜在的な人数を有病率から試算すると、日本国内だけでも1,386万人にも登ると言われております。
我々は自分たちの経験した辛い「うつ病」に罹る人を一人でも減らしたいと思い、うつに関する情報発信を行っています。

今回は皆さんに、私が自殺未遂をしたときの話をさせていただきます。
人によってはショッキングな内容だと思うので、自己責任で読み進めてください。

がんじがらめの日々

重度のうつと診断されてから、ずっと苦しい日々を過ごしていました。
夜になると眠れず、孤独になり、絶望感と悲壮感が心を支配していきます。
日中起きていても何もやる気が出ず、人生から楽しみというものが完全に消え去っていました。
何をしても楽しくなく、毎日毎日絶望が襲ってくる、そんな生活を続けて3ヶ月ほど経ったときのことでした。
回復の兆しが見えず症状は悪化するばかり。苦しみしか感じない日々。
絶望と混沌の間で私はがんじがらめになっていました。
「ここから一刻も早く開放されたい」とただただ願っていました。

真夜中にふと目についたタオル

不眠に悩まされ、中々眠れない午前1時半、トイレに行くために立ち上がりました。
連日絶望と無力感に苛まれている中、すべてがどうでも良くなっていました。
そんな中、ふとタオルが目につきました。
「これで首を吊れば開放される」
そんな考えが頭を過りました。
うつになると視野狭窄に陥り、正常な判断ができなくなってしまいます。
当時の私は、辛い現状から開放されるためには死ぬしか無いとしか考えられなかったのです。

そして首吊りへ

私は何も感じないまま、タオルを手に取り首に巻きつけました。
そしてテーブルの脚にタオルをくくりつけて自殺を試みました。
手にしたタオルが銭湯に持ち込むようなハンドタオルだったせいで、長さが足りず、中々首吊りがうまくいきませんでした。
1回目の首吊りは、無意識につばを飲み込んだせいでむせてしまい失敗に終わりました。
「今度はうまくやろう」。そう思ってもう一度首吊りを試みました。
2回目は上手く首を圧迫することができ、視界に黒い斑点がポツポツと発現し、意識が徐々に遠のいていきました。
「これで楽になれる」。そう思った矢先、妻のことが脳裏を過りました。
自殺した自分の遺体を発見して絶望する妻、自分の葬儀を取り仕切る妻、後追い自殺をして孤独に死んでいく妻。
「妻を悲しませたくない」そう思い、消えゆく意識の中でタオルを緩めました。
すると運良く、間一髪のところで首吊りを止めることができました。
あと3秒首を絞めていたら意識が落ちて死んでいたと思います。
そこからは頭が真っ白になり、リビングでボーッとしていました。
数時間経った後、トイレで起きてきた妻に発見され、何をしてるのかと尋ねられたので「自殺をしようとして失敗した」と伝えると、妻は号泣してその場に崩れ落ちてしまいました。
妻は「自分が悪い」と繰り返し自責をしていました。
「こんなに妻を悲しませるなら、首吊りなんてしなければ良かった」と思いましたが、自殺を試みる前はそんな簡単なことを考えることもできなかったのです。

自殺未遂を経て思うこと

自殺は許され難い行為だと避難する人もいると思います。
親が産んでくれて大切に育ててくれたその生命を粗末にするな。
自殺をして人様に迷惑をかけるな。
周りの人を悲しませるな。
おっしゃることはごもっともかもしれません。
でも、自殺を本気で考える人には、そんなことを考えている余裕はありません。
自分の苦しみ以外直視できないようになり、日常的に感じる絶望感がこの世の全てで、それが永遠に続くと本気で思ってしまいます。
そして、ただそこから逃れたい一心で、他に選択肢がなく、自殺を考えます。

私は連日自殺願望を持っていました。
しかし、実際に自殺をしようとしたのは、真夜中にタオルが目についたからです。
自殺をしようという決意は、突然自分の中に現れ、すぐに行動に移してしまいます。
計画的な自殺もありますが、メンタル状態が悪い人の自殺の中には衝動的なものもあるということを知ってください。
そして、もしあなたの周りに自殺を考えている人がいたら、病院への入院を勧めてあげてください。
その人は、絶望の淵にいて、そこから逃れたい一心で自殺を考えています。
そこから救い出せるのは、周りの人しかいません。
本人は疲弊しきっていて、生きようという意思が灯火のように消えかかっているのです。

自殺を考えている人へ

私は実際に首を吊りました。
死というものに限りなく近づいてしまいました。
そして今は生きています。

当時は死ぬしか無いと思っていたのですが、現実はそうではありませんでした。
死ななくても絶望的な日々から脱することができたのです。
あの永遠のように思えたどん底の日々にも終わりがありました。
どうか、生きてください。
生きる理由なんてどうでもいいです。
そんなものは元気になってから見つければいいのです。

どうしても死にたいと思っている人は、「やろうとおもえばいつでも死ねる」と発想を転換してみてはいかがでしょうか。
「いつでも死ねるんだからもう少し生きてみよう」と、そう思えるかもしれません。
一度死んでしまったら全てが終わります。
その終わらせたい気持ちは痛いほどわかります。
でも、いつでも終わらせれる人生を今終わらせる必要はないと思います。
まずはできることをすべて試してみて、それが全て実を結ばなければそこで死ぬことを考えても遅くはないと思います。

それでも死にたいと思ってしまう人は、自殺ホットラインに電話をかけてみてください。
一本だけの電話でいいので、電話をかけてみてください。

0570-064-556(厚生労働省の自殺ホットライン)

一本だけ電話をした後に死んでも、遅くはないでしょう。

最後に

本記事で気分を悪くさせてしまった人がいたなら、謝ります。
本当に申し訳ございませんでした。
それでも、自分は自殺未遂をした人間として、自殺の現実と、自殺を考えている人へのメッセージを届ける義務があると思っています。
この記事が、少しでも多くの人の目に触れて、自殺という一種タブーな話題について考えるきっかけになればと思います。

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