見出し画像

ロシアでの子どもの教育について

週に2回ほど、ロシアのこどもと日本語の授業をオンラインで行っています。(私は大阪に住んでいます。)

先日、授業をしていると生徒からこんな質問が。「いま、ロシアと日本の関係は悪いんだね」と。
わたしは少し考えてから、こう答えました。
「それは、だれとだれの関係?国と国かな、政府と政府かな。
あなたと先生は、今ちゃんと面と向かって話しているし、お互いの事をよく知っているよね。それができない人が、日本とロシアの関係が悪いと言っているんだよ。」
「時々、まわりの人とちゃんと接することができない人がいるでしょう、それと同じなのよ」と。

生徒は続けます。「じゃあ、中国と日本の関係は?」
日本語の授業なのに、日本語よりも難しい質問が続けざまに飛んできてめんくらいそうです。
「日本も中国も、人と人だから、仲がいい人もいれば、悪い人もいる。でも、お互いにとって喧嘩してしまったら大変なことになる。ビジネスパートナーとしても大きな存在だから、一緒に働いている人も多いしね。そうならないように努力しないと。」
こどもは、私の意見を聞いてすこし安心したようです。まわりの大人が言わなくても、ニュースなどを通じて「日本とは仲が悪い」という吹聴を聞く機会が多くなってきているのでしょう。
質問のあと、「先生はぼくにとって大切な人です Вы дорогой человек.」と言い出した生徒。
一瞬照れましたが、私も「先生にとっても、あなたは大切な生徒です。」とそのまま返しました。
国は国、人は人。目の前の人との関係は誰にも崩されてはいけないと、日ごろから教えなければならないと気付かされた瞬間でした。

このようなやり取りは現実悲しいですが、今を生きるロシアの子どもたちにとってはごく自然な流れで沸く疑問であり、私にとっても今は一番の関心事かもしれません。
現在、ロシアのごくふつうの公園から、子どもが手にするおやつにまで兵隊のイラストが描かれていて、まさに戦時そのもののようなのです。
先月、生徒が「昨日おおきいチョコレートをもらった!」と見せてくれたパッケージも戦闘車の絵になっていて、おもわずため息がもれました。

また、昨年から学校教育の内容が変更されて、初等教育から歴史や諸外国との関係について学ぶ時間が増やされました。昨年2月以降 国外へ流出した人材を補うためか、情報の時間も追加され、ITに強い人材の育成に力が注がれています。

学校の時間内で軍事と関係する学習をすることもあるそうですが、現場の教育者たちは何とかして侵攻以前と同じ日々を守ろうと必死に闘っているようです。SNSでちらほらそんな様子の書き込みが見られます。2月27日は祖国防衛の日でしたが、3月頭の立春の祭典、マースレニッツァの催しだけ行った学校も多かったそうです。

何とかわたしにできることはないか。
これまでロシアの人たちと関わってきた自分にできること…。
そう思いはするものの、これまで葛藤だけで何もしてこなかったのですが、今後ウクライナの避難民の方への無償オンライン授業を行うことを決めました。
ウクライナの方にしたら、ロシア語には複雑な思いがあるかもしれませんが、日本に移住された方にとってはコミュニケーションできるというだけでも安心されるという意見も聞き、それならばとようやく志願しました。
そして、ロシアを離れて慣れない土地で生活を余儀なくされている若者の生徒にも無償で教えることにしました。(ロシア人に関しては侵攻前までお金を払って授業を受けてくれていた生徒だけですが。)

このことについては、別の記事で自分の気持ちを整理しつつ書きたいと思います。

それでは、また!

#仕事について話そう



この記事が参加している募集

#仕事について話そう

110,014件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?