(うときゅういっきの「これから」同調圧力 デフレ5)

2021/12/3
(うときゅういっきの「これから」同調圧力 デフレ5)
案内に違い、デフレに関して一つ書き忘れていた事がありましたので、今回もデフレについてです。
そのきっかけとなったのは以下の記事でした。
「何故我が国の会社のDXは進まないのか?」
その要因の一つとして
「レガシー(既存システム)から抜けられない」
というのがありました。
では何故既存システムから抜けられないのか?
「発注側は前年同期比で予算オーバーしなくて済むし、オーバーしても上に説明可能な範囲のレベルに止まる。
一方受注側は既存システムのつぎはぎで済むので利益率が高く、つぎはぎの仕方はその会社にしか分からないので容易に顧客の囲い込みが出来る」
と言うものでした。
それで思い出したのがバブル崩壊直後の次年度商品企画提案時のトップの判断基準についてでした。
具体的には
「対前年同期比、損益必ず改善の事(所謂常時右肩上がり)」
是また前回記事の中の「データドリブン」同様、一見すると至極当然で文句の付け様のない指示だと言えそうですが、実は商品価格が上がらない中で是をした場合大きな問題が隠されていたのです。お客様にとっても自社の存続にとっても。
利益=売上高―原価
であるとすれば、バブル崩壊で売上高(商品価格又は数量アップ)が上がらない中では、上記の式から原価を下げる以外はない訳です。
となれば同じ商品価格でありながら、原価ダウンの為に質を落とさざるを得なくなります。無論単純な原価ダウン以外にVA(同じ効用を低価格な素材を開発することによって原価を下げる方法)も考えられますが、それとて事前の投資がいり、投資が出来たとしてもそうそう毎回いいネタが見つかる訳でもありません。
バブル絶頂からバブル崩壊と大転換時期にあっては転換期に往々にしてある事ですが全ては後手、後手に回ってしまうのです。
結果お客様には同一商品価格ながらうたい文句が甘言でしかない手抜き商品がいってしまう事になります。
又自社の最終締め損益や他社との競争を考え今後の存続を維持する上で、企画サイドとしては
「この最小コストで仕様アップをしないと、仕様アップコスト以上に大幅売価ダウンを招き、結果最終損益は計画値以上に大幅に悪化します」
と仕様アップしなかった場合の想定ダウン売価を比較対象に説得に掛かりましたがダメでした。
事業部トップの大前提は
「(言いたいことは分かる。が)鼻から見かけの悪い数字を役員には出せない」
というものだったからです。
そして締めてみれば案の定大幅な売価ダウン。
それが恒例化し、以降デフレスパイラルへと突入していった訳です。
レガシーに囚われDXが進まないのも同じ事が原因の様な。
しかしこの見かけの絵姿に過ぎない「対前年同期比、必ず損益改善の事(常時右肩上がり)」を続けていれば、どんな時代、どんな分野に於いても後は「じり貧」になるだけです。
轍を活かし
「いつか来た道」
はもう止めにしたいものです。

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