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摂食と私

言葉というものについて丁寧に紡いだ言葉を用いて話してくれている人たちのあとで、こんな記事を書くのは恐縮なんですけど。
かなり個人的でセンシティブな話をするので、それでもいいよという人だけお読みください。
みんなそれぞれ何かしら人には言いにくいこととか、自分にしかわからないような感覚があると思うんですよ。
今から4年前?もうちょっと前くらい、中3の夏くらいに、拒食症ぽい感じになったんです。
ぽいっていうのは、せいぜい10kgしか減らなかったから。
ちょっと調べればいくらでも出てくるけど、拒食症患者はもとの体重から15〜20kgくらい減ってる場合が多いです。信じられなくないですか?思春期の女子に多いと言われてるので、身長が158cm(日本人女性の平均)、もとの体重が大体50kgとすると、30〜35kgまで下がってしまう。中には30kg切る人もいます。
だから私は幸運な方だったと思う。身長159cm、一瞬40kgを切ったこともあったけど、
大体その辺をうろうろしていました。
きっかけは何だったのかな。誰かに直接「痩せたら?」とか「太ってる」とか言われたわけでは決してない。今振り返ると、中学生になってからそれ以前に比べて体重が増えやすくなって、体つきも丸くなってきたのが自分で許せなかったんだと思う。勉強でも容姿でも性格でも、常に平均より良い方でありたいと思っていた。
食欲がないと思い込んで食べる量を減らせば、みるみる体重は減っていった。栄養が足りてないから毎日お風呂で髪に指を通すだけで、裸眼にもはっきりわかるくらい床の上にごっそり髪の毛が落ちた。雲の上を歩いてるみたいに足がふわふわして、免疫力が落ちたのか季節の変わり目には必ず風邪を引くようになったけど、痩せているというその事実が私を幸せにした。痩せてればみんなチヤホヤしてくれる。痩せてれば羨望の眼差しで見られる。でも決して私は任意の誰かのために痩せてるわけではない。
私は自分が痩せたいから痩せてる。愛されたいとか別に思わないし、さっき言ったみんながチヤホヤしてくれるのがすごく嬉しかったわけでもない。あくまで自分の許せる自分になりたくて、気づいたら10kg痩せてた。まあでも家族が心配してくれるのは嬉しかったかも。最低ですね。
大学に入ってから交友関係が広がって、自分の体型への執着は結構弱くなってきたと感じる。体重はだいぶ戻ったし、食事量も普通くらいにはなった。多分、意識的に食欲をなくしてそれを無意識の領域に無理やり持っていく力が、もう尽きてきたんだろうと思う。
でも、私の中の痩身願望が尽きたわけではない。毎日痩せたいと思ってる。可愛くて細い子を見ると嫉妬してしまう。アイドルも女優も、自分と同じ土俵にいないのに嫉妬の対象になる。自信がない。痩せていないから。痩せてない私には価値がないから。
痩せたいし、食べるのが怖いし、無意識にカロリーを計算してしまうし、食べたいのに食べたくないし、食べたくないのに食べたい。家族以外の人に食べているところを見られるのも、本当は少し怖い。こういうところを見ると、やっぱり拒食症かなぁと。

どうしても言いたいことがあって、それはここに書かれてることも書かれてないことも、私の食に対する気持ちそのすべてに共感しないでほしいということです。安易にわかるよ、私もそういうことあるよ、と言ってほしくない。本当にあなたにそういう時期があって、有意の体重減少を経験したなら別だけど。わかるはずがないし、むしろわかってはいけないと思う。わからないで、受け止めてください。ただそのままの、摂食への恐怖から抜け出せない私を。それだけで救われるんです。実際に救ってくれた人がいます。食に葛藤する私を、まっすぐ受け止めてくれた。ボロボロ涙をこぼして泣いてしまいました。

この心の病は誰でもほんの小さなきっかけでなりうるし、その後の人生に半永久的に影を落とします。私もきっと、ずっと食べることに悩みつまずきながらこの先を生きていくんだと思います。同じような境遇の人がいたら、心から伝えたい。あなたは今日を生きてるだけで本当に偉いです。

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