見出し画像

【人生のためになる言葉】「微妙」の意味を深掘りしてみた

中高生やギャルの間で「ビミョー」という若者言葉が流行ったのは2000年代になってから。

文化庁調査によると「いいか悪いか」ハッキリ評価しきれないときに「ビミョー」という言葉を使うケースは、10代で96%以上に上ったそうです(2005.7.13共同通信)。

若者に限らず、大人もよく「その点は微妙だね」なんて言いませんか。

そのように、どちらかといえば疑問視するネガティブなイメージで用いられる「微妙」ですが、本来は仏教の教えで「微妙(みみょう)」と読みます。

「微妙(みみょう)」とは「言葉では言い尽くせない不思議で奥深い素晴らしさ」を表わしています。

若者言葉の「ビミョー」が「イマイチだよね」に近い意味で使われるのに対して、「みみょう」は「美しさや味わいが何ともいえずすぐれているさま。 細かい所に複雑な意味や味が含まれていて、何とも言い表しようのないさま」(広辞苑)といったポジティブな意味で使われるのです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

池田雅延さんの回想によると、『考えるヒント』などで知られる文芸評論家の小林秀雄さんは、音楽や絵画と「微妙」の関係に触れていたようです。

「君、そりゃあ、文学は読まなくちゃだめだよ、だがね、文学を読んでいただけではわからない、微妙ということがわからない。音楽を聴けばわかるよ、絵を見ていればわかるよ」
 そのまましばらく口をとざし、そして続けられた。
「齋藤はわかっているよ。微妙ということがわかっている。あいつは、音楽を聴いているからな……」

『考える人』2016年11月15日 随筆 小林秀雄 四 微妙という事 著者: 池田雅延

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

僭越ながらここからは私の考えを述べさせてください。

アナログ録音によるレコードから、音源がデジタル化されてコンパクトディスク(CD)に代わったのは1980年代のこと。

私の稚拙な知識でざっくり説明すると、CDはコンピューターと同様に音楽のアナログデータを「1」と「0」の組み合わせによるデジタルデータに置き換えて音源にしたものです。

「雑音が少ない」、「音質がクリア」だと高く評価されてCDが主流となり、近年ではデジタルデータによるネット配信がサブスクなどで人気を博しています。

しかし、一方ではアナログ音源が見直されてレコードやカセットテープを聴く人も増えてきました。

アナログ音源はデジタル音源にはない「温かみ」というか趣があるからです。

デジタルデータは「1」と「0」の組み合わせですが、アナログデータはレコード盤に溝を掘って録音するため「連続」したデータです。溝には「1」と「0」では表せない「微妙」な音が刻まれていると考えられます。

アナログレコードを聴く人は「言葉では言い尽くせない不思議で奥深い素晴らしさ」を求めているのではないでしょうか。

アナログレコードの魅力について書いた、音楽ブログの記事もご覧いただけると幸いです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「微妙」の奥深い意味を知るほどに、文章や音楽、絵画など表現することの難しさを思わされます。

もしかすると、若者言葉の「ビミョー」でさえ私などには想像もつかない深い意味があるのかも…。

最後までお読みいただきありがとうございました。

【人生のためになる言葉】シリーズでは感銘を受けた言葉や名言を取り上げていく予定です。

#微妙 #仏教 #小林秀雄 #アナログレコード


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?