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内閣府主催 公共調達マッチングイベント「マッチングピッチ2023」イベントレポート ~UTEC投資先5社が登壇しました~

お久しぶりです。以前インターン生のときにUTEC noteを書いていた野間です!
正式にUTECに入社し、社員としてnote記事を書かせていただきます。
今回は、UTEC投資先5社が登壇した内閣府主催 公共調達マッチングイベント「マッチングピッチ2023」のイベントレポートです。
当日の様子をお届けできれ場と思っています。
ぜひ目次を参照して気になるところだけでもご参照ください✨


概要

2023年11月28日・29日に、内閣府主催で、機動性のあるスタートアップの新技術による社会・行政課題の効率的な解決と公共調達を活用したスタートアップの育成を目指したマッチングピッチイベント「マッチングピッチ2023」が開催されました。

スタートアップ企業と公共調達を促進するための、政府としては初めての試みです。

子育て・教育、医療・福祉、観光・文化、くらし・手続き、インフラ・設備、農林水産、環境、産業・ビジネスのテーマごとに数社ずつが選出され、合計で42社がピッチを行いました。

UTECの投資先からは、issin株式会社、TXP Medical株式会社、スタートバーン株式会社、SWAT Mobility Japan株式会社、株式会社HashPortが登壇しました。

イベントでは社会・行政課題の効率的な解決に資する新技術・新サービスを有し、府省庁・自治体と接点を持ちたいスタートアップ企業の登壇にくわえ、展示ブースも設置され、企業と行政の参加者が活発にコミュニケーションを交わしていました。

開会の挨拶:内閣府副大臣 堀井学氏


堀井学 内閣府副大臣

本イベントの開幕を飾ったのは、内閣府副大臣・堀井氏による熱い挨拶でした。堀井氏は、スタートアップ企業と公共調達を促進するこの重要なイベント「マッチングピッチ2023」への参加者への感謝とともに、政府のスタートアップ育成に対する取り組みを紹介しました。特に注目すべきは、政府が推進する「スタートアップ育成5か年計画」であり、公共調達の活用を通じてスタートアップの成長を支援し、新技術や新サービスが社会に広く普及する自立的なエコシステムを目指しています。
堀井氏はまた、本イベントが政府機関としては初めての試みであり、国や自治体などの行政機関がスタートアップと協力して行政課題の解決を目指すことの意義を強調しました。イベントのハイライトは、42社のスタートアップ企業が新技術やサービスを披露するピッチセッションと、参加企業による展示ブースの設置です。会場とオンラインを合わせて約500名の行政関係者が参加し、参加者間の交流が深まることが期待されます。
そして、スタートアップが社会課題を解決し、持続可能な経済社会を実現するための重要な役割を担うと述べ、今後のスタートアップと行政の協力関係の強化と社会課題解決への進展を期待する旨を表明しました。本イベントが参加者にとって有意義な時間となることを願い、開会の挨拶を締めくくりました。

パネルディスカッション(テーマ:公共調達におけるスタートアップの新技術への期待)

パネルディスカッションでは、公共調達におけるスタートアップの役割と新技術への期待に焦点が当てられました。中小企業基盤整備機構 審議役 経済産業省大臣官房事 石井芳明氏、経済協力開発機構(OECD) 公共ガバナンス局 インフラ公共調達政策課 政策分析官 表将幸氏、Social Policy Lab(株)代表取締役 川澤良子氏、神戸市経済観光局 新產業創造課長 武田卓氏、内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局 企画官 宇田川徹氏の5名のパネリストによる活発な議論が行われました。スタートアップの新技術やサービスが解決できる社会課題や、政策課題の解決に向けた取り組みについての意見交換が行われました。
議論は、スタートアップが社会や政策課題解決にどう貢献できるかという点に焦点を当て、熱い意見交換が行われました。特に注目されたのは、スタートアップが新たな解決策を提供する上で、入札手続きの簡素化や公共調達の専門知識の重要性など、公共調達の現状と課題についての議論でした。また、ヨーロッパの公共調達動向や、SDG推進における公共調達の役割についても活発な話題交換がありました。
スタートアップの革新的な技術やサービスが、これまで解決しきれなかった政策課題に対処する新たな手段として機能する可能性が強調されたのが印象的でした。公共調達とスタートアップの連携によって、社会課題解決への新しいアプローチが模索される、まさにはじまりの場なんだということが感じられるディスカッションでした。

マッチングピッチの様子

ここからは実際のマッチングピッチの様子をレポートします。

株式会社日本総合研究所 プリンシパル 大阪公立大学 特任教授 東 博暢 氏、株式会社iSGSインベストメントワークス 代表取締役 代表パートナー佐藤 真希子 氏、GLIN Impact Capital 代表パートナー 秦 雅弘 氏の3名の方がコメンテーターとして各企業にコメントをしました。

UTECの投資先である、issin株式会社、TXP Medical株式会社、スタートバーン株式会社、SWAT Mobility Japan株式会社、株式会社HashPortの登壇の様子をお届けします。

issin株式会社

issin株式会社
日常生活に溶け込むヘルスケア機器・サービスで生命力溢れる世界の実現を目指す東大発ベンチャー。
登壇の様子

issin株式会社のピッチでは、彼らのビジネスモデルとして、日常生活に溶け込む製品の開発に注力していることが紹介されました。特にスマートバスマット製品は、体重管理をより手軽にすることを目的としています。
自治体との提携を通じて、健康管理の改善に貢献し、特定保健指導の対象者をはじめとした自治体の住民・在勤者への生活習慣改善のサポートを提供しているというところが強調されてしました。

コメンテーターからは、製品がユーザーフレンドリーであり、日常に自然に馴染む点が評価されており、また、自治体との連携により、健康管理の促進に寄与する可能性があるとのコメントがあり、その効果的な取り組みが期待できると感じました。

TXP Medical株式会社


TXP Medical株式会社
「医療データで命を救う。」をミッションに、現役の救急専門医により、医療現場の情報分断を解決するスタートアップとして2017年に設立。現在、医療データプラットフォーム事業と医療データ事業を展開。
登壇の様子

ピッチでは、救急医療における情報の分断をデジタル化によって解決するという取り組みが紹介されました。救急隊員が患者情報をデジタル化し、効率的に病院に伝えるシステムを開発しています。鎌倉市での実証実験では、このシステムにより、病院と救急隊の搬送調整時間が大幅に短縮されたという報告がありました。

コメンテーターからは、救急医療におけるアナログな情報交換をデジタル化することの重要性が評価されていました。特に、搬送時間の短縮が命に直結するという点が強調され、多くの自治体にとって検討しやすいサービスであるとの意見が述べられていました。

スタートバーン株式会社

スタートバーン株式会社
情報テクノロジーを活用し、人々が安心して芸術・文化を楽しめるよう体験を更新する。それにより芸術・文化従事者や作品そのものが生き続けられる社会を実現。


登壇の様子

ピッチでは、Web3技術を活用して地域活性化に貢献する取り組みを紹介されました。技術とアート作品の申請性を担保するためのブロックチェーン技術の活用例として、下北沢で行われたムーンアートナイトイベントを例に説明がありました。さらに、文化庁との美術品DXプロジェクトや、計算省との日本初のパブリックチェーンを使ったNFTプロジェクトも取り組まれているということでした。
イベントで、NFTを使ったスタンプラリーを通じて、来場者を様々な箇所に誘導し、地域全体の活性化を促進する仕組みが実装されました。こういったアプローチによって、特定の観光地に集中する人々を分散させられるという点は興味深かったです。

コメンテーターからは、スタンプラリーや他のイベントコンテンツが、コンテンツがない地域にも新たな文化を創出し、行政との連携においても魅力的なサービスとなる可能性があるというコメントがありました。特に、行政との協力を通じて未活性化エリアの活性化を促進することが強調されており、その新しい取り組み方法に期待ができます。


SWAT Mobility Japan株式会社

SWAT Mobility Japan株式会社
人・モノの移動に関する課題解決のため、AIオンデマンド交通運行システム、路線バス乗降データ分析システム、物流配送最適化システムを提供しています。SWATはテクノロジーの社会実装を通し、当社ビジョン”Empowering the world to move more with less”の実現を追求。


登壇の様子

ピッチでは、AIオンデマンド交通システムを通じた地域交通の改善の取り組みが紹介されました。日本の多くの地方で深刻化している交通課題、特に路線バスの赤字化や廃止問題に対して、交通分析とAIを駆使した最適な交通サービスの提案を行っています。大阪の豊野町での事例では、高齢化が進む地域での交通サービスの導入に成功し、実際に住民から高い評価を得ているとのことでした。

コメンテーターからは、サービスが地域のインフラ維持と環境負荷低減に寄与する可能性が高いとのコメントがありました。また、カスタマイズされたルート提案や運営の効率化が地域交通の持続可能性に貢献する点が評価されていました。このサービスがインフラ維持に加え環境負荷の低減にも寄与する可能性があるため、多くの自治体にとって魅力的な解決策であるという応援コメントもありました。

株式会社HashPort

株式会社HashPort
Web3分野への参入・IEOの支援等のWeb3関連コンサルティング事業、Web3ウォレット・ブロックチェーン基盤・NFTマーケットプレイス・NFT活用コンテンツ開発事業を展開するWeb3総合ソリューションプロバイダー。
登壇の様子

ピッチでは、Web3技術を活用したウォレットサービスの取り組みが紹介されました。大阪関西万博でのWeb3ウォレットの無償提供を行っており、来場予定の2800万人のうち、約半数の1400万人にダウンロードしてもらうことを目標としています。この取り組みにより、日本の約10人に1人がWeb3サービスにアクセスできるようになることが期待されているとのことでした。

コメンテーターからは、Web3技術とその実用化に対する興味が示されました。特に、Web3ウォレットを通じて、人々が自己データを管理し、企業や自治体と連携することで地域コミュニティの活性化が可能になるという点が強調されていました。また、教育やボランティア活動におけるNFTの利用が、個人の成果を永続的に記録し、報われる世界を作るための鍵になる可能性が高く、ブロックチェーン技術が提供する新たな可能性について、その革新性と影響力が評価されていました。

閉会の挨拶:内閣府科学技術イノベーション推進事務局企画官 宇田川 徹氏


イベントの締めくくりとして、内閣府科学技術イノベーション推進事務局企画官の宇田川 徹 氏より、心温まる閉会の挨拶がありました。宇川氏は、この2日間にわたるイベントに参加された省庁、実体関係者、スタートアップの皆様に感謝の意を表しました。
宇田川氏は、行政とスタートアップ間の新技術に関する情報共有の重要性を熱く語り、このイベントがその橋渡しの第一歩となったことを強調しました。今回のイベントで紹介された42の技術が将来、多くの課題を解決する可能性があるという展望で締めくくりました。

展示ブースの様子

展示ブースは二日間とも、終始とても盛り上がっていました。
行政と登壇者だけでなく、そのほかの来場者や、登壇者同士でも活発に話がおこなわれていました。

また、展示ブースの近くには、コネクトメッセージという、「どんな人と話したいか」等を来場者や登壇者が記入したものを集めたボードが数か所に置かれ、展示ブースで話しかけるきっかけとして活用されていたようでした。

全体の感想

内閣府主催の公共調達マッチングピッチという新たな取り組みのイベントでしたが、とても盛り上がっていました!
登壇者のピッチを聞いたり、実際に直接ブースで話をしたりした感想としては、率直に「応援したい」というものでした。ピッチイベントというと、いろいろな切り口やテーマのものがありますが、このイベントでの登壇企業はやはり公共調達や自治体との連携を目指すスタートアップのため、社会課題を解決したいという強いパッションを感じました。「このスタートアップで、実際に自治体提携や公共調達が進んでいけば、世の中がよくなりそうだな」というピッチばかりで、非常に印象的なイベントとなったと感じます。

気になった点としては、このイベントを通して実際に商談につながった数などが知りたいと思いました。多くのピッチイベントでは審査員による採点で賞などの結果発表がありますが、今回のイベントでもなにかしらの結果発表があるとよいと感じます。イベントの特徴から、賞でなくとも実際の提携への推進となったという結果が公表されれば、今後こういった同様の公共調達関連のイベントに登壇したいという企業が増えていくいいきっかけになりそうだなと思います。