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ふたりのあい
先日父とお出かけをした。
その前の週あたりだったか、「金曜日暇か?」と父から誘われ急遽決まったお出かけ。父とのお出かけは久しぶりで、嬉しすぎて恋人に報告する程だった。
その報告を受けた恋人もまた、とても嬉しそうにしてくれた。
家を出発して数分後。父がふと口を開いた。
「あいつ(恋人)から急に連絡が来たんよ」
話を聞いていくと、私の恋人が父に連絡をしてくれて、父が時間を作ってくれたらしかった。
『詩ちゃんが最近ストレスを抱えていて精神的に不安定だから、時間を作ってあげてください』というような内容の連絡を受けたんだとか。
「あいつやるなぁ笑」と父に笑いながら言ったけれどそれは照れ隠しで、本当に嬉しかった。
私のためを思って父に連絡をしてくれた恋人も、その連絡を受けてちゃんと時間を作って遊んでくれた父も、素敵な人だと思った。
私の恋人は、目上の人や自分より立場が圧倒的に上の人に対してとても慎重だから、踏み込んだ話などできないような人で、いつも相手のことを考えながら受け答えしていたから、父にそういう連絡をするという行為は恋人にとってとても勇気のいる行動だったと思う。
それを私のために幾つもの勇気を出して、父に連絡してくれたということがとても嬉しくて幸せだった。
そして、恋人の地元と私の地元の中間地点で落ち合って、父と恋人と私の3人で夜ご飯を食べに行った。
私から見ると父と恋人は仲が良くて、よく笑い合っている。父は恋人のことをとてもよく思ってくれているし、恋人もまた父のことを尊敬し好いてくれている。
私の大好きなふたりが笑い合っているのを見るのはとても幸せで、優しい空間だなぁとぽかぽかしていた。
父と別れて恋人の実家にふたりで向かっている時に、「お父さんから聞いたよ、ありがとう」と恋人に伝えた。
恋人から話を聞くと、やはりとても緊張していたらしい。
本当にこんな事話していいのか、娘の彼氏からこんな連絡が来たら屈辱ではないか、何様なんだと思われないか、失礼なんじゃないか。
たくさん悩んでたくさん読み返して送ったと話してくれた。
俺は話を聞くことしか出来なくて解決に向けてなんの手助けもしてやれない、と悩んでいたとも話してくれた。
「送った時のLINE見る?」と言われ、正直見たい気持ちがものすごくあったから見せてもらった。
目から入ってきた文章たちは、全てあたたかいものだった。
彼の緊張していた気持ちやちゃんと父の立場を考えた言葉選びを感じて、素敵な人と付き合えたんだと心から思った。
それよりも、彼が私のことを私が思うよりもしっかり見ていてくれてたくさん悩んでくれていたということがとても嬉しかった。
今までそんなことをしてくれた人は居なかった。友達も含め今まで付き合ってきた人の中にも居なかった。
本気で悩んで本気でどうにかしたいと思ってくれていたんだと思うと涙が溢れそうになった。
そして父の返しの中に「最近元気がないけん俺も心配だったんよ」という文章があった。
私はそれを見て耐えられなかった。
悟られないように迷惑をかけないようにと必死に作っていた自分に気づいてくれていたんだとわかった。
そして心配をかけていたことへの申し訳なさも感じた。
ふたりで予定を決めている様子も、決まった後に誘ってくれた父の顔も、何も知らない私が嬉しそうに報告した時の恋人の優しい笑顔も、全てが愛おしく優しく感じて胸がいっぱいになった。
読み終わって感情が涙となって溢れ出た時、恋人は優しく抱きしめてくれてキスをして頭を撫でてくれた。
「大好きだよ」という言葉と共に。
そして日曜日の別れ際。
「貴方は『俺はなにもしてやれない』って言ってたけど、そんなことはないんだよ」と伝えた。
私が今抱えている問題は、何をどう頑張っても解決できないしどうにもならないことなのは事実なわけで。父に話そうにも、これは言わない方がいいかなと飲み込んでしまう言葉もある。
そんな時に全てを言える存在が恋人なのだ。
私の家族とは何も関係の無い人だからこそ、恋人にはなんでも言えるし、聞いてくれるだけで心が救われる。きっと恋人がいなければ誰にも言えずボロボロになって、今頃どうなっていたかわからない。
だから私は貴方にとても助けられているんだよ。いつもありがとう。
と目を見て伝えた。
彼は納得してくれたようで、これからもたくさん聞くよと言ってくれた。
こんなにも私って愛されているんだと実感できた日だった。
結婚すると夫婦は顔が似るらしい。
それは嬉しいことも辛いことも悲しいことも、一緒に経験するからなんだとか。
私たちもそうでありたいねとふたりで話した。
『不味いことも 美味しいことも 一緒に食べていこうよ。僕は君を笑顔にしたいんじゃなくて、君と同じ顔になりたいだけなんだ。』
少し長くなってしまったけれど、ここまで読んでいただいた方、ありがとうございます。
今回の件で、父と恋人のことをより一層好きになりました。
最後に、お父さんと恋人の貴方。
こんな私のためにたくさん考えてくれてありがとう。
元気づけようとしてくれたお父さん、甘やかそう!って気持ちとても伝わったよ。普段からあんまり相談とかしないから心配かけたと思う。それでも何も言わず見守ってくれていてありがとう。久しぶりにふたりではしゃげて嬉しかったよ。また行こうなってLINEもとても嬉しかった。必ずまた行こうね。
どうしたら笑顔になるか考えてくれた恋人の貴方、たくさん泣いていいよって普段から伝えてくれる貴方にいつも支えられてるよ。たくさん悩ませてしまってごめんなさい。無理に元気づけようとせず、父に頼る勇気を振り絞ってくれてありがとう。やっぱり貴方以上の人はいません。これからもたくさん頼らせてね。
本当に私は幸せ者です。
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