マガジンのカバー画像

笹倉慎介の思考録「窓越しの世界」

150
「窓越しの世界」は、2013年に笹倉慎介のオフィシャルブログで始まった日々を綴るブログ「sketch」の続編です。
運営しているクリエイター

2021年1月の記事一覧

窓越しの世界 2020.1.30

1/30【心地よい分断】 世界は心地よい分断を求めている。 繋がるためのインフラは、緩やかにではあるが分断のために作用し始めている。 伝えることが、伝わり、届くことの折り返しに、世界は来ている。

窓越しの世界 2021.1.24~29

1/24【結露の向こう】 朝。 結露の向こうを恐る恐る覗く。 予報されていた雪は降らなかった。 1/25【今はいい時代ですか?】 古いレコードショップの軒先に積まれたLPたちは日本のフォークと民謡ばかりだった。 当時、黒い盤にだけ刻まれていた音楽も、今では見えない電波に乗ってやってくる。 それはもう聴ききれない程溢れているし、ほとんどタダ同然で手に入る。 あの頃の人たちへ聞きたい。 今はいい時代ですか?と。 1/26【涙ぐましい】 水面で眠る微動だにしないカモ

窓越しの世界2021.1.21~23

1/21【耐えられる寒さ】 我が家の朝食は窓が開け放たれており、寒い。 まるでテラスにいるように寒い。 それから日が落ちて、ストーブに火を入れるまで、寒い。 耐えられる寒さが、一番寒い。 1/22【竹は】 手入れをされた竹藪がこんなにも美しいものだとは。 針葉樹に抱く憧れ、それとは違う。 竹は、そうだな、自分の中の美しさに気がついたとでも言えようか。 1/23【バッハの譜面だけ】 本屋へ行くと、固定された沢山の思考と出会える。 著者にとってはすでに過去のそれが

窓越しの世界 2020.1.19~20

1/19【今というもの】 西日が入る畳の部屋。横たわるチェロが照らされて綺麗だった。 暗くなってから体を温めようと外をぶらぶら歩いたが、一向に体が温まらない。風が強い夜。 ガラス越しの店内はどこも閑散としており、街へ出てようやく今というものに触れた気がする。 畳の部屋で見た美しさも、今に違いないのだが。 1/20【手仕舞いの心】 一つ、悪い知らせが入った。同時に、僕ではない誰かに良い知らせが行った。 この先、僕に入る良い知らせもまた、誰かにとっては悪い知らせになるだろ

窓越しの世界 2020.1.15~18

1/15【体の一部になるまで】 スタジオから自宅までの徒歩10分間。 どうにか手に馴染まないものかと、弓を持って歩く。 ボールを打たない素振りと似た効果があるはずなのだ。 弓の先の重みが体の一部になるまで。 1/16【独奏のそれ】 ただの景色を絵にしてくれる音楽が好きだ。 今夜はそれがあった。 独奏のそれが。 1/17【おしゃべり好きの理由】 無言でいる時間が長いからだろうか。 調律師もエンジニアも、おしゃべり好きの方が多い気がする。 長い沈黙を生業とする人

窓越しの世界 2021年1月第二週

1/8【案外楽だ】 再び夜の街が暗くなった。 何をするにも沢山の選択肢から選ばなければいけないこの時代の休息か、それとも。 仕方がないと諦める。 どうにもできない事があるというのは、案外楽だ。 1/9【歌はそれだけで】 最近わりと胸の奥で 諦めることが増えたかも それは別にいいのだけれど 君の事が気がかり たわいの無い話ばかり と、明け方に口をついてメロディーと出てきた言葉。 歌はそれだけで十分完成している。 1/10【最高の道しるべ】 ここ数日、自分の歌声から

窓越しの世界 2021年1月 第1週

元旦の配信を以って有料のメルマガ「窓越しの世界」を廃刊にしました。2013年から7年間、有料化になり毎日を綴るようになってからは5年になりますが、今年はもう一度、無料にして誰の目にも留まるものにしようと思います。 東京は再びの宣言が出され、不要不急という言葉が往来していますが、今日は気持ち良い冬晴れです。 ある時、表現は「風」です。 誰かの土にタネを運ぶ。たったそれだけの役割。 ある時、表現は「水」です。 誰かの土にそっと潤いを与える。 ある時、表現は「太陽の光」

窓越しの世界2020.12月最終週

2021年がやってきた。 自動車はまだ地を這っている。 想像はまるで空想だったけれど、想像もしなかった未来が手のひらにある。 今、200年も前の曲を演奏したいと思う僕がいる。

有料
210