窓越しの世界 2021年1月 第1週
元旦の配信を以って有料のメルマガ「窓越しの世界」を廃刊にしました。2013年から7年間、有料化になり毎日を綴るようになってからは5年になりますが、今年はもう一度、無料にして誰の目にも留まるものにしようと思います。
東京は再びの宣言が出され、不要不急という言葉が往来していますが、今日は気持ち良い冬晴れです。
ある時、表現は「風」です。
誰かの土にタネを運ぶ。たったそれだけの役割。
ある時、表現は「水」です。
誰かの土にそっと潤いを与える。
ある時、表現は「太陽の光」です。
誰かの芽に力をもたらします。
そして、表現は「鏡」です。
人の心は、その中に自分を見つけて、発見して、豊かに育ちます。
不要でも不急でもなく、常にあり続けるもの。
本年より、気持ちを新たに、窓越しの世界をどうぞよろしくお願いします。
1/1【新しい実りを】
早い夕食を済ませ、テレビを見ながらチェロに指を添えた。
ネックを滑る感覚が指に気持ちいい。
トトもこの大きな新顔に慣れてきたのか、割と近くで丸くなっている。
テーブルの上には、国道沿いに不意に現れた中古本屋で手に取ったセロ弾きのゴーシュの文庫本。
熟しそうな物が手の中にあるが、青々とした気持ちが血にあれば新しい実りを心待ちにできるだろう。
1/2【たったそれだけの事を】
落ち葉は土の上にある方がいい。
アスファルトの上では、ただの厄介者。
必要な場所に必要なものがある。たったそれだけの事を大切にしたい。
1/3【土の上を歩く】
土の上を歩く。
ただそれだけで何かが変わる気がした。
特別なことは何もいらない、ただ土の上を歩けばいい。
1/4【選択肢を減らすこと】
首都高速も環状線も、深夜の中を走っているようだった。
車はもういらないと思いつつ、たまにあってよかったと思う。
しかし今は、選択肢を減らすことに心惹かれる。
1/5【直感を信じて】
スタジオに名札をつけた。
日本の言葉を躊躇いなく使える心持ちが嬉しい。
いつからか、自分の直感を振り返り葬る事が増えた。
他人と比べたり、評価を気にすることを消し去ることはできないけれど、
積み上げてきたことは確かだから、
直感を信じて。
1/6【だから僕は】
詞先が僕には向いているのだろう。
言葉はすでにメロディーを持っているから、それに従えばいい。
初めての作曲は確か詞先だった。だから僕はシンガーソングライターになれたのだと思う。
1/7【集中の消費】
午後になって風が強く吹いた。
日が傾き始めてからスタジオで出来たての歌を録音する。
瞬く間に行く時計を見ていると、
時を保存する行為は、時間をその倍のスピードで奪い去っていく気がする。
それだけ集中を消費する。
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