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窓越しの世界 2021.1.24~29

1/24【結露の向こう】
朝。

結露の向こうを恐る恐る覗く。

予報されていた雪は降らなかった。

1/25【今はいい時代ですか?】
古いレコードショップの軒先に積まれたLPたちは日本のフォークと民謡ばかりだった。

当時、黒い盤にだけ刻まれていた音楽も、今では見えない電波に乗ってやってくる。

それはもう聴ききれない程溢れているし、ほとんどタダ同然で手に入る。

あの頃の人たちへ聞きたい。

今はいい時代ですか?と。

1/26【涙ぐましい】
水面で眠る微動だにしないカモたち。

不思議で仕方ないので近づくと、浮かんでいるように見えて、実は一本足で立っている。

近づけば、あっけないが、涙ぐましい。

1/27【分かっているのだが】
白い歯が光る異国のシンガー。

異質な響きの秘密はそこにあるのだが、証明することができない。

分かっているのだが、伝えることが難しい。

1/28【トラクターのパレード】
ラジオが伝えるトラクターのパレード。

インドでは、農民がトラクターで100kmにも連なったデモを行った。

生活を脅かされた人々の声は、もちろん届いただろう。

届かなければ変わらないことも、届くだけでは何も変わらないことも、頭を過ぎる。

1/29【ねぼすけ】
明け方、眠れずに曲を書いた。

短3度から始まるメロディーがなんだか新鮮。

明るくなって外が騒がしくなってきた頃、やっと眠気がやってきて、昼まで寝た。

目が覚めると窓から差し込む光の中でトトが毛づくろいをしていて美しい。

君よりねぼすけだったのは久しぶりだよ。

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