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宴屋六郎
2020年6月17日 19:46
まとめ読みマガジン:3.姉上の尖った牙城 帰宅して。 姉の部屋を訪ねた。 僕には二つほど歳の離れた姉上がいる。仲は悪くない。かといって特別に良いわけでもなし。 つまりは、普通ってこと。 姉上は僕とは違い、聡明で、けれど変な拘りを持つひとだった。小難しいことを考えていると言うか、変なことばかり言うというか。 たとえば、と例を挙げようとすれば難しい。具体的なエピソードを挙げ
2020年6月18日 19:46
まとめ読みマガジン:4.彼女の症状 翌日、学校には暗い気持ちのまま登校した。 暗いというよりも、もやもやしている。頭の中を靄が覆っているような、そんな感覚。 結局、昨夜は眠りがとても浅かった。特に何か夢を見たという記憶はないが、何度も何度も途中で覚醒しては、無理やり眠ろうとしたことで、変に体力を消費してしまった。 欠伸が何度も出る。目尻に塩水が溜まる。 相変わらずもやりとし
2020年6月20日 20:49
まとめ読みマガジン:6.彼女の奇妙な愛情 僕は自分のことが嫌いだ。 気付けば自分のことを嫌っていた。 自分のことが嫌いだからこそ、誰にも好かれるはずがないと信じている。 普通であることが大嫌いだ。 でも脱却する為の努力をしていない。 ずっと座り込んで、他人を羨んでるだけだ。 他人のことを、下から見上げて、見下している。それだけの醜い人間だ。 僕は普通だけど、その