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兎がほざく

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ショート•エッセイ、140字以内。毎日投稿、どこまで続く?
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2023年5月の記事一覧

兎がほざく787

兎がほざく787

青空に聳える五重塔を見上げていると、塔が肉声で語りかけている気がしてきました。

仏教では塔とはブッダの身体を表すらしいです。

塔は身体の写実ではないのですが彫刻の仏像よりもなまめかしく感じることがあります。

思い込みですがそれでいいのだと思います。

兎がほざく786

兎がほざく786

いい人を演じればいい人になる、という考え。

長年そう思ってきたのですが、これは願望であっても事実ではないという気が急にしてきました。

コピーが本物になるのにはコピーなしで本物になるのと同じ位の努力と偶然が必要なのです。

初めから本物になろうとするべきなのです。

兎がほざく785

兎がほざく785

いくらネットで調べてもわからないこと。

昔祖母が旅行土産にくれた錦玉羹についていたしおりに、ある歌舞伎役者が喉にいいからと遠方なのに鉄道で取り寄せていたとありました。

未だにどこの土地のものだったかわかりません。

現実でなくディテールの詳しい夢だったのでしょうか?

兎がほざく784

兎がほざく784

アバターを介して世界中の何十億の人とつながるネット社会は空海の世界観に似ています。

お互いのスマホに映り合う世界。

バーチャルやフィクションでないリアルを重視すれば日蓮の世界観に似ています。

身体による行動に身体による行動で作用する世界。

ぼくは迷える衆生です。

兎がほざく783

兎がほざく783

SNS は自分が主人公の話を書くほうがよいといいます。

自分はこう暮らしていているというのがオリジナリティがあって響くというのです。

それは人に言えないつらい事情がある人には難しいのです。

ぼくのアバターは生身で暮らしてはいないけれど書いていることにうそはないです。

兎がほざく782

兎がほざく782

個性は変えられるか?と尋ねられたら、変えられないけれど変わるものと答えるでしょう。

個性は環境と自分との相互関係でできています。

だから自分の意図通りには変えられないですが、環境との相互関係によっては変わります。

環境の兆しをうまくつかまえれば変わると思います。

兎がほざく781

兎がほざく781

眼の前のこの瞬間に対して額縁を与えれば芸術になるだろうか?

写真を芸術にした人はそう思ってやってみたのでしょう。

詩や絵画の作品は現実や夢に額縁を与える試みでもあります。

そして作者は額縁を与えることで自分を現実や夢の渦潮から救い出しているのです。

兎がほざく780

兎がほざく780

眼の前の人を喜ばせることばかりに一生懸命な人は自分が確立できないと聞きましたが、ぼくは最近それでもいいような気がしています。

それはそう簡単な生き方ではないです。

太宰治という人はそういうところがあると思います。

そのために身を削って書いた文ですから痛いです。

兎がほざく779

兎がほざく779

物語と身体。

人の生きた軌跡はそのまま物語です。

フィクションでなくても伝記だって物語です。

たとえ思想がはっきり書かれていなくても生き方で語るということがあります。

その意味でバイブルもお経も物語です。

主人公の生きた身体の行動が雄弁に語ります。

兎がほざく778

兎がほざく778

言葉は聞いたり読んでもらえればしめたもので、それぞれの人なりに受け止めてもらえます。

その聞いたり読んだりしてもらうというところがハードルなのです。

必ずしも目立つものが選ばれるわけでもなさそうです。

選ばれるのは偶然が重なった結果としか言えないのでしょう。

兎がほざく777

兎がほざく777

その人の生き方が自ずと残してゆく文様。

身体がまずあって、それが砂漠に残した軌跡。

そういう言葉が読む人の心に響く。

言葉だけならば乱造偽造できるから、その裏付けは身体しかないでしょう。

一文一文、空回りではない言葉を書きたいです!

兎がほざく776

兎がほざく776

もしも人間の心に等級があって、あなたは特級だと認定されたとします。

特級になっても人生は続きます。
苦しいことも悲しいことも特級らしく対処しなくてはなりません。

それは逃げ場がなくてつらいと思います。

いつも未完成、今日よりは明日、という方が幸せと思います。

兎がほざく775

兎がほざく775

かみさまとのおつきあいの仕方。

言われる通りに振る舞って褒美をもらおうとしないで、

お賽銭を積んで買収しようとしないで、

むやみに寄りかからないで、

まずは願いや悩みをポンと前に置かせていただくのがよさそうです。

信じるとは遠慮がちにお任せすることからでしょう。

兎がほざく774

兎がほざく774

フィクションは虚構の中に真実を浮かび上がらせます。

ところがフィクションを真実らしく書き切るとかえって浮かび上がるはずの真実が見えなくなります。

だから神話は荒唐無稽でいいのだと思います。

ギリシャ神話が実話っぽいものだったとしたら魅力は相当減るでしょう。