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#ビリギャルがまたビリになった日

ビリ(最下位)という概念のない国での話。
人と比べる習慣がなければ、ビリは生まれない。

ビリになりたい人はいない。
でも、ビリはない方がよいかというと、必ずしもそうでもない。
ビリから這い上がるところにドラマがあるし、感動もできる。
1位もビリもない社会が幸せなのかはわからない。

『ビリギャル』は累計120万部売れたそうだ。
原題は長い→『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』。
2015年に公開された『映画 ビリギャル』(有村架純さん主演)はヒットし、中国でも人気だ。

このお話は、ギャルの成績が上がって慶応大学に合格したというだけの内容ではない。
そうであれば、国境を越えてこれほど多くの人の心を打つことはない。

1年で偏差値が40上がったというくらいの話は実は世の中に結構あるのだ。
どの国にもビリギャルはいるし、ビリギャル男もいる。
成績が上がる。それだけの話なら、人は泣いたりしない。

「ビリギャル」は、受験を乗り越える話というだけでなく、崩壊した家族が再生する物語。
子どもを信じ抜く子育ての話であり、夫婦関係と姉弟関係の話。
人間の成長の物語。

で、慶応大学を卒業した「ビリギャル」こと、小林さやかさんが、またビリになった。
34歳、初めての海外留学。
名門コロンビア教育大学院で「人間の学習」について学んでいる。

クラスメイトが2時間で読める文献を、2日かけて読んでいる。
授業が聞きとれない。言葉が通じないところからのスタート。
周りが笑っても、笑う理由がわからない。
英語がわからないのは、自分ひとりだという。

ビリギャルが、またビリになった。
たいへんに違いない。
ところが、なぜかビリになったことがうれしそうだ。
ビリとは、上に向かうスタート地点。

これは、「ビリギャル」と家族の、その後の物語。
『ビリギャルが、またビリになった日』
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000372239

#読書の秋2022

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