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日焼け止めは塗らないで

 暗くなるのが少しずつ早くなってきている気がする。今年も夏が終わるのか。だからなんだ、早く終わってしまえ! わたしはもう、夏にはうんざりだ。

 サンダルのヒモをかたどって日焼けした足の甲を撫でてみる。これも冬には元の色に戻るとわかっているので、いつも日焼け止めを塗らないでいた。それで夏の終わりになると、まだらな色の足がイヤになって後悔する。ここまでがお決まりなのだけれど、多分来年も日焼け止めは塗らない。

 あこがれの夏、畳のある部屋でべしゃりと寝転んで扇風機の風に前髪を揺らされるままにして、それから麦茶の入ったコップの中の氷がたてる音を聴いて、青々とした木々の姿と遠い白い入道雲を、目に焼きつくほど無意識に眺めたい。大きく深く息をすると和室のにおいがツンと鼻に染みて嬉しくなる夏。
 そんな夏を探しながら、フローリングに寝転んで冷房の風を享受する夏だった。

 次の夏は何をしようか、どこに行こうか、誰と過ごそうか、やっと夏が終わるのにもう次の夏のことを考える。とりあえず、夏のおもいでを振り返ってみる。

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ビルのない夕方
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きみと深夜公園
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海のみえる部屋
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こんな柄の服があれば着たいかもしれない

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