話し方で損する人得する人
言葉を制するものは人生を制する。
コミュニケーションが苦手で損をして過ごしてきた過去から一転、今ではコミュニケーションを仕事にし講演会までするようになった著者が言います。
話し方ひとつで人生は天国にも地獄にもなります、と。
あなたは彼女(奥さん)に「どっちの服がいいと思う?」と聞かれたらどう答えますか?
「どっちでもいい」「こっちがいいんじゃない?」「こうだからこっちがいいと思う」などがまず思いつきますね。
次の機会には本気のトーンで「うーん、どっちだろうねぇ」と言ってみてください。きっと得します。
上手に話すことばかりがいい話し方ではありません。でも本気で寄り添ってくれる話し方はいつでもいい話し方です。相手に本気でコミットするのです。
それでは一部抜粋して、ケースバイケースの話し方を見ていきます。
要点を抑えつつ、さらっと自分自身を振り返っていただければ幸いです。
ちなみに本書では幅広い年齢層を対象にしたアンケート結果も掲載されていて、客観的根拠も確認できます。
プライベート編
聞く姿勢を身に付ける
相手が話しているときは聞きに徹します。聞きながら思いついたこと挟むと損します。思いついたこと言うタイミングを計っていても損します。
聞きに徹するのです。話を遮ってしまえば話し手が気持ちよくありません。「うん、うん。」と聞くだけで話しやすい、あの人とは話が合うとまで感じてくれて得します。
「要するに」を封印する
ビジネスならともかく雑談の中では、話している人にとって共感の反対の印象を受けてしまうようです。まとめてしまうと結論になって話が終わってしまい損します。
聞いてほしい話がある人には、逆に広げましょう。理解してくれていると感じてくれて得します。
聞き終えてから質問する
質問はうまく使えれば話が弾みます。挟むタイミングは相手が話し終えてからにしてみましょう。話している途中、自分が思いついたタイミングで質問してしまうと相手の話のペースを奪うことになってしまい損します。
最後まで聞いた後に質問を入れ、相手の話を引き出してあげれば得します。
「よくあること」を封印する
愚痴や悩みを話す人は共感を求めています。打ち明けることで癒されたいのです。よくあることだよねと言ってしまうと、相手を無下にするのと同じで損します。
相手の悩みを一緒に考え共有すると得します。
テクニック1:悩み相談に、アドバイス・問いただすはNG
誰しも気づけば考えてしまうような悩みに対して、思いつきみたいなアイデアなんて言われたらイラっとします。理想はあくまで寄り添うことなのです。一緒に悩んで考えてあげてみましょう。
相談する時点で本当は答えが決まっているなんていいますが、カウンセリングの現場ですらあることなのだそうです。その既にある答えが相手の口から出るまで聞いてあげましょう。
沈黙を恐れない
リラックスしましょう。それだけで得します。過度に沈黙を恐れてしまうとそれは余裕のない人です。そうなると緊張は相手に伝わり損します。
自分にとっても相手にとっても心地よい会話とは、リラックスした会話なのです。
そもそもあなたが沈黙と思った時間は相手にとっては必要な間かもしれないし、すでに話したい内容があって頭の中でまとめているのかもしれないのです。いっそ沈黙になったらなったでいいやと受け入れられたら良いですね。
決めつけない
そもそも人には分からないものを恐れる性質があります。すると無理に枠組みに当てはめて納得しようとします。これを繰り返してしまうと当然損をします。「イケメンだから遊んでそう」などですね。特にネガティブな決めつけには気を付けましょう。
分からないものは「分からない」と言ってしまうと得します。
これはとても重要で、周りが始めた決めつけや悪口に巻き込まれそうなときも「さぁ、わかんない」と言えれば一緒になって妙なことを言わないで済みます。
自虐をやめる
「私は仕事が遅いから~~だよ」など。心理学でいうところのセルフハンディキャッピングです。予防線を張っておくことで傷つくことを避けています。しかし、その予防線を気にしているのはあなただけです。
相手に気を遣わせてしまっては損しますが、フラットにいれば良いのです。
自虐に見せかけた自慢をやめる
これ、驚くほど下心がばれています。めんどくさがられるとやっぱり損します。いっそはっきり「ほめて」と言ったほうが気持ち良いし面白いしかわいげもあり得します。
結局素直って強力な強みなのです。
誉め言葉を否定しない
誉め言葉は相手にとって、会話のきっかけだったり会話の潤滑油だったりします。せっかく褒めてくれているのに否定するのも申し訳ないです。
誉めてくれたら会話のきっかけと捉えて広げてみれば得します。
ちなみに筆者はこれ、目からうろこですぐ取り入れました。
誉め言葉にジャッジを入れない
「契約取れたんですね。先輩営業のセンスがありますね!」
どうでしょう?どの立場?ってやつです。純粋に「すごいです!」でいいのです。
あまり具体化しようとしても損しがちで、ストレートに感情表現すると得します。
理詰めになりすぎない
理屈でばかり考える人は利き腕だけを使って生きているようなものです。
ビジネスなどはもちろん論理は必要ですが、結局人間は感情の生き物です。
例えばトラブルが起こった相手に対して「〇〇すれば良い」となんでも解決しようとする姿勢は損します。そのトラブルが大変だったという感情を受け止めてあげられると得します。
誘いには「行きたいです」
返事・返信が遅い人は損します。次回も誘われやすくなるので、とりあえず即答したいところです。それが難しい場合は「行きたいです」とポジティブな姿勢を見せると得します。
ギャップについて
おとなしそうに見えてとてもよく笑い喋る人は面白いです。話題にもなるかもしれませんが、ギャップがないならそれは、裏表のない人とも言えます。近寄りやすい、付き合いやすいという長所になるので得します。無理にギャップを演出するとあざとくて損します。
オーバーリアクション
緊張してしまうとき、真面目過ぎる人などは大きなリアクションを取ってみましょう。嘘でもいいので、必要以上の相槌を打ったり、いつもより大きな声で笑ったりしてみてください。
そのアクションが緊張を取り払ってくれて得します。あまり縮こまると楽しめず損します。
会話のテクニック2:オウム返し
「実はサーフィンが趣味なんです」「サーフィン?」「えぇ、〇〇海岸に行くのですが・・」「〇〇海岸ですか」
相手の言葉を繰り返しているだけですが、驚くほど話しやすくなります。実は小難しいテクニックなんてなくてもスムーズに会話を展開させることができます。
会話のテクニック3:うなずく
ただ首を縦に振るだけです。意識してみるとわかりますが、これがあるだけで話し手の安心感は天と地の差です。一度実感してみてください。
仕事編
仕事のコミュニケーションでは、具体性を重視します。プライベートならあいまいさがあっても人間らしくて良いですが、仕事では切り替えて具体的であることに拘りましょう。得します。
自分で考えて逐一報告する
やたら細かな指示を求めてしまうと指示待ち人間でしかなく損します。それどころか面倒な人です。かと言って会社では勝手に動けばいいわけでもないです。
そこで、自分の案で動いて逐一報告すると得します。「こういう方向で進めています」「〇〇の件、~~しようと思いますがどうでしょうか?」としてみましょう。
シンプルに話す
長々とした前置は仕事中の相手の時間を奪い、損します。「〇〇の件でご相談があります。」などとシンプルに結論から話すと得します。
速くてマメな連絡
連絡さえしておけば相手は安心できます。特に言いにくいことほど早いほうが得します。都合の悪いことから逃げない人ですから。
相手にしてみれば、さんざん待たされたあげく悪い内容を聞かされれば、ダメージが大きくなりお互いに損します。
まず謝ってから理由を言う
何か失敗があったときは真っ先に非を認めると得します。相手の気持ちになればそのほうが後に続く理由も聞きやすいことは想像できることでしょう。いっそ相手に非があるトラブルでも先に謝ってしまいましょう。プライドを優先すると損します。大事なのはどちらが悪いかではなく、どう話すと得をするかです。
いいところを指摘する
誰かの仕事に対して修正してほしいことがあったとしてもまずはありがとうやいいねから入ると得します。いきなりダメ出しをされると誰でもやる気を失うので損します。ポジティブに接したほうがきっとあなたのために頑張ろうと思ってもらえるかもしれません。
専門用語を避ける
相手が知らない言葉を使いたがる人は要注意です。裏に知識のある自分をアピールしたいという意図があると思われると手痛く損します。必要な会話もなかなか進みません。
一方、専門用語を使わないほうが偉ぶらない、同じ目線で話してくれる人だと思ってもらえて得します。
相手の名前を入れて会話する
心理学でいうところのカクテルパーティ効果です。誰にとっても自分の名前は特別なもので、呼ぶだけで親密度が上がることがわかっています。
少しうるさいくらいに名前を挟んでみましょう、得しますから。
「あなたのためを思って」を封印する
これはほぼ嘘です。親や親友などあなたのためを思ってくれる人は使わない言葉なのです。説教をしたいけど利己的だからバレたくないのであなたのためと理由をすり替えて出てくる言葉だそうです。はっきり「私はこう思うよ」と言いましょう。少なくとも伝わりやすくはあります。
おめでたい人が最強の性格
しかられる度に傷ついて落ち込んでしまう人は損しています。段々と周りも声をかけづらくなっていきます。傷つきやすい人は仕事は仕事と割り切ってみましょう。あっけらかんとしていたほうが声を掛けやすくて得します。
あなたに説教をした人は、大体一週間もすれば忘れています。
途中経過も説明する
いきなり結論だけを話す人は損します。ある日いきなり「会社辞めてきた」と言われたらどうでしょう?唐突感がすごいです。では、「独立したいと思っている」と話してあったらどうでしょう。途中経過も話してあることが信頼の証でもあるので得します。
ちょっとした言い換えで得する
すみませんをありがとうに
お茶を出してもらって「すみません」席を譲ってもらって「すみません」と言っている人はありがとうに言い換えてみるときっと得をします。
誰だって謝られるより感謝されるほうが気持ちがいいはずです。
ちなみに筆者もこれはすぐに取り入れました。細かなミスの指摘は「教えてくれてありがとうございます」とするようにしてみました。
「だって、でも」を封印する
いわゆるD言葉というやつです。後に続く文章がまっとうであっても言い訳をしているように聞こえてしまい損します。「とはいえ、というのも」などに言い換えてみましょう。
「は?」を封印する
いつけんかになってもおかしくないくらい印象が悪く、無尽蔵に損します。「え?」「ん?」など毒気を抜いた表現に変えてみましょう。
コミュニケーションの世界には「伝わり方がすべて」という言い方があります。得をするというのは、話し方のおかげで人付き合いがうまくいくということです。逆に損をするというのは人間関係がぎくしゃくするということです。
話し方を選ぶ工夫ことには、一時の感情に流される楽さよりもきっと価値があると筆者は信じております。
刊行:2018年