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「米国株式投資で必須の武器!SEC開示分析講座~ offeringまとめ!」

みなさん、こんにちは!
アメリカ株式義塾です。「米国株式投資で必須の武器!SEC開示分析講座」第11回を始めましょう。

第9回からは少し寄り道中。有償増資など皆さんに襲い掛かりうる”災害”について特集しています。

寄り道とはいえ、米国株投資家の皆さんが必ず理解しておくべき内容です。必ずチェックしておきましょう!



さてさて、本題に参ります。今回も有償増資のお話の続きです。
前回、企業が早急にお金を用意しなければならないとき取り得る方法が2つあると申し上げました。

軽く復習しておきましょう。

(1) 新しい株式を発行して株主からお金をもらう方法-有償増資

有償増資にはいくつかの種類があります。

ㆍ新株予約権無償割当(Rights offering)
・直接株式発行、ダイレクトオファリング(Direct offering)
・公募増資、パブリックオファリング(Public offering)

(2)お金を借りて、後で元本と利子を返済する方法 ー 会社債発行(Corporate bond)

ㆍ無保証社債(Non-guaranteed bond)
ㆍ保証付社債(Guaranteed bond)
ㆍ担保付社債(Mortgage bond)
ㆍ転換社債(Convertible bond, CB)
ㆍ新株引受権付社債(Bond with warrant, BW)
ㆍ交換社債(Exchangeable bond)

今回は、ほとんどの米国株式投資家の方々なら一度は痛い目をみたことのある、オファリングについてお話します。米国株式に投資する皆さんは、オファリングが、ただ天災地変のようなものだとご存知でしょう。

地震や台風、火山の爆発…のように目を開けてしっかり注意しておかなければならないものだとと理解されているかと思います。しかし大抵オファリングについて語られる時、直接株式発行、ダイレクトオファリング(Direct offering)と公募、パブリックオファリング(Public offering)は明確に区別されていません。

しかし、ダイレクトオファリングとパブリックオファリングには明らかな違いがあります。
皆さんの多くが、用語を混同して、ダイレクトオファリングとパブリックオファリングの違いについて誤って認識してしまっています。この回でしっかり理解しましょう。


いくつかの概念を最初に説明してから進みます。

・パブリックオファリング、公募(Public offering)=有償増資

・ダイレクトオファリング、直接株式発行(Direct offering)=状況により有償増資とは異なる意味を持つ

通常、「オファリング」は単なる有償増資と見なしても構いませんが、完全に同義というわけではありません。有償増資の場合、必ず総株式数が増加します。「有償(有料で)増資(資本金を増やす)」という漢字だけを見ても分かるかと思います。しかし、オファリングの場合、総株式数を増やさずに行う有償増資もあります。

ㆍ直接株式発行、ダイレクトオファリングの2つの意味

この部分はあまりにも誤った情報が多いため、アメリカの投資会社で証券のトレーディングの実務を担当している知人に問い合わせて正確に調べました。まず、アメリカで使われる「ダイレクトオファリング」という言葉には2つの意味があります。第一には、株式を新規発行するか、またはそうせずに未流通株(自己株式)をまとめて用意し、その株式を機関に一括で売り渡すことを指します。これをダイレクトオファリング(A)と呼びます。

もう一つは、有償増資をして、機関を挟まず直接株式を発行することです。これもダイレクトオファリングと呼ばれます。これをダイレクトオファリング(B)と名づけましょう。この反対の概念は、パブリックオファリングです。なお、アルファベットはこの説明の中で区別するためだけにつけたものです。

おそらく、「ダイレクトオファリングをすると総株式数が増えるのか、増えないのか」という質問に対する答えがまちまちなのは、この2つの意味を混同しているからなのだと思います。

何が言いたいのかよく分かりませんよね? これからもう一度説明します。
おそらくこの記事は、日本でアメリカ株のオファリングを扱う記事の中で最も詳しくて正確な記事だと思います。


公募増資、パブリックオファリング(Public offering)


先にパブリックオファリングを見ておきましょう。

パブリックオファリング(Public offering)は、 私たちが知っている有償増資と完全に同じ概念ですが、中間業者を介して行う有償増資のことです。
多くの会社は、有償増資を行う際に自由に株式を発行して市場にばら撒くのではなく、一般的な仲介業者(例えば投資銀行やブローカー・ディーラーなど)を介して発行します。これをパブリックオファリングと呼びます。もし、仲介業者を介さない場合は、前述のようにダイレクトオファリング(B)になります。
あ!その前にオファリングがどのように機能するかを説明する必要がありますね。

(1) オファリングの開始

オファリングは一日で終わるのではなく、数日ほど間隔をあけて開始と締め切りを発表します。

例えば、TELLが2021年8/3に発表した424B5、8-K公示にはこう出ています。 2021年8月3日に、TELLが一株あたり3ドルで普通株3,500万株分のパブリックオファリング(Public offering)を開始したという内容です。ところで、今回は、B. Riley Securities, Incという会社がこのオファリングの仲介業者の任務を担当するようです。こうした機能を担う会社は、しばしばUnderwriting companyと呼ばれます。

白カブ部長:仲介者を挟むと何が変わるの?

まず、アンダーライター(Underwriter)、すなわちB. Riley Securities、Incは、TELLが合計1.05億ドル規模のオファリングを安全に実行することを保証し、手続き全体をTELLの代わりに実行します。だから不動産契約する時に例えるなら、不動産会社のようなものなんです。

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