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迫る関税戦争の時代、眠る投資チャンスとは(下)

皆さんこんにちは!アメリカ株式義塾です。今回のテーマは、アメリカの大統領選で大きな争点となっている”関税”です。

第1回では、アメリカの対外輸出を国ごとに分析しました。主要貿易相手国に対して、アメリカはほとんど貿易赤字ですが、オランダに対してのみ黒字となっていることを学びましたね。復習したい方はこちらのリンクからお読みいただけます。

それにしてもなぜ、アメリカは、世界的に見ても輸出に注力しているオランダとの貿易で黒字なのでしょうか。
早速みていきましょう!



オランダの秘密 

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アメリカ-オランダ貿易の構造は他のほとんどの国々と根本的に異なっており、そこには面白い理由があります。

オランダは本当に、本当に小さな国です。そして私たちには平和な田園風景と風車で有名ですね。先進国であることは確かですが、強大国かと言えばそうでもありません。世界大戦が起これば真っ先に叩かれる位置にあり、地理的に強大国になるのが難しい国です。

それでは、一体この風車とチューリップの国が何をしているのでしょうか。そして、なぜ世界輸出額ランキングで4位となり、毎年9,345億ドルの輸出をすることができるのでしょうか?

意外にもオランダは国の規模に対して私たちの想像以上に多様な商品を輸出しています。石油関連製品の比重が最も大きく、次に半導体製造装置(有名なあのASMLホールディングスが作るもの)、機械類、自動車、製薬とバイオ製品、そして乳製品、卵、肉類など…がすべて混ざり合った奇妙な輸出構造を持っています。

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さて、アメリカ-オランダ貿易の構造を見てみましょう。

(1) アメリカ → オランダの主要輸出品目と規模
・原油、天然ガス: 180億ドル
・医療機器: 54億ドル
・航空機部品: 2.5億ドル
・過去5年間の輸出規模は年率20%以上の成長

(2) オランダ → アメリカの主要輸出品目と規模
・精製された石油製品: 46億ドル
・ワクチン、医薬品材料: 22億ドル
・機械装置: 19億ドル
・過去5年間の輸出規模は年率24%以上の成長

さて、どうでしょうか。なにかが見えてきませんか。

輸入、輸出品目がアメリカの他の一般的な貿易相手国とは大きく異なり、貿易の規模は他のどのヨーロッパの国よりも速いペースで成長しています。しかも、アメリカにとって貿易黒字を見せる唯一の相手国がオランダであるため、特にトランプ氏はオランダに対して非常に好意的に思っていることでしょう。オランダには特別な”なにか”があるのではないでしょうか?

さて、今からその理由をお話しします。


アメリカ-オランダ間の他国と異なる関係性

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