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無料公開!迫る関税戦争の時代、眠る投資チャンスとは(上)

皆さんこんにちは!アメリカ株式義塾です。

今回のテーマは”関税”。

先々週あったバイデン・トランプ氏の討論会。争点は「関税」でした。

もしトランプ氏の貿易紛争と関税の脅しの影響を100%受けない国が1つだけあるとしたら、皆さんは投資しますか?



大統領選と関税


2週間前、2024年の大統領選挙に向けたジョー・バイデン大統領とドナルド・トランプ前大統領の最初のテレビ討論会が開催されました。おそらく多くの方がハイライトくらいはチェックされたかとは思いますが、時間があるときにぜひ討論会全体を見ていただければと思い、ここに共有します。

私個人が見たところ、最も重要な争点は経済に対するトランプ氏とバイデン氏の見解の違いだと考えます。実際の議論は、建設的な話よりもお互いを非難し反論しあう内容が多かったのですが、

その中で印象に残ったのは関税についての話でした。

以下にその一部を取り上げてみます。読むのが面倒な方は太字の部分だけ読んでいただいても問題ありません!

(中略)
トランプ氏: もし私にあと4年、時間が与えられるのなら、私は最高の大統領になるでしょう。我々のような経済を作った者はいません。我々のように税金を減らした者はいません。それに対してバイデン氏は税金を4倍に増やそうとしています。彼はすべての人の税金を4倍に増やしたいのです。バイデン氏はトランプ減税が失効して、あなた方を含めたすべての人が4~5倍の税金を支払うことを望んでいます。これまでも、誰もこんなことはしませんでした。先ほど申し上げたように、税金を減らせば私たちはもっと多くの事業を行うことができます。アップルを始めとしたすべての会社は、我々の国にお金を再び持ち込みます。

バイデン氏: 彼の言っていることは実際には完全に間違っています。彼は関税を引き上げました。彼は関税の引き上げによって中産階級の人々の税金を直接引き上げるのと同じ効果をもたらしました。それに対して私は所得が40万ドル以下の人には決して税金を引き上げないと言いました。しかし、(トランプ氏の掲げる公約)この10%の関税では、トランプ氏はこの国に入ってくるすべてのものに対して関税を引き上げようとしているのです。トランプ氏のせいで中産階級は荒廃します。

(中略)

進行者: では、候補者が最後の訴えを発表する時間です。コイントスで事前に決定された通り、バイデン大統領から始めます。2分間です。

バイデン氏: 私たちはトランプ前大統領が彼の前回の任期中に残した大惨事からかなりの進展を遂げました。何よりも、公正な税制を整える必要があります。私はこの場の聴衆の中のあなた、あるいはこの討論を見守っているあなたにこう問いたいと思います。現在の税制が公正だと思いますか? トランプは連邦政府の赤字のために、事実上皆さんに課される税金を増やしました。第一に、彼がCOVID-19に不十分に対応したことで残した大失敗により、インフレが加速しました。そして彼は今、アメリカに入ってくるすべてのものに10%の関税を課すことによって、皆さんにさらに多くの税金を課そうとしています。
(中略)

バイデン氏がトランプ氏の経済政策を攻撃する際に主に使用するキーワードは「関税」です。当然のことながら、トランプ氏が公然と語っている関税の課税内容は我々の想像をはるかに超えるものだからです。

バイデン氏もまた、先手を打って各種の中国からの輸入品に対する関税を大幅に引き上げました。2024年の米国大統領選の結果がどうあれ、米中紛争はさらに激化するとみられており、関税は上がることはあっても下がることは期待できないでしょう。

CBS

特に今回、トランプ氏の関税に対する発言に全世界の人々の注目が集まっている理由は、トランプが10%引き上げようとしているこの関税が「アメリカに入ってくるすべての輸入品」に対するものだからです。具体的には、トランプ氏は、2024年11月に再選したらすぐにこの措置を取るつもりであり、アメリカの雇用を保護し、より収入を増やすことが目標だと述べました。

CBS

経済学者たちはすぐに、トランプ氏が本当にアメリカに入ってくるすべての輸入品に10%の関税を一律に課した場合、アメリカの各家庭が年間に追加で負担する費用がどれくらいになるかを計算しました。その結果はおおよそ1,500ドル程度です。12か月で割ると、月に120ドル以上の追加支出が発生することになります。

そこでふとこんなことを思いました。トランプ氏は、アメリカが対外貿易で赤字だと主張していますが、

アメリカは外国とのすべての貿易で常に損をしているのでしょうか?

トランプ氏とバイデン氏の両者とも、「アメリカを偉大にする」ためには貿易黒字が重要なキーワードであることを知っているはずですが、アメリカはトランプ氏の言うように貿易においてはただの「お人好し」に過ぎないのでしょうか?

今回のコンテンツを作成するにあたり、この部分について考えましたが、資料を集めて勉強しているうちに本当に意外な結果を得ることができました!

トランプ氏が当選した場合、間違いなく世界中に波及する貿易紛争に巻き込まれることのない、100%自由な国、さらには利益を得ると予想される国が1つだけあったのです。そしてそれは私たちが全く予想していなかった国です。


アメリカ-世界貿易収支を5分で理解する 


ほとんどの世界の貿易輸出ランキングの上位国はアメリカに莫大な貿易赤字をもたらしています。

ただ一つの国を除いて… 。
そうです。この国が、今日のメインテーマなんです。

どこ?!
すぐに知りたい、みなさなのお気持ちは十分わかりますが、まず着々と分析していきましょう。

まずはアメリカのことを大まかに理解しましょう。

アメリカは世界中の製品をブラックホールのように吸い込む終着地です。中国とインドが圧倒的な人口を背景にその地位を狙っていますが、アメリカの4~5倍の人口を持っているとしても、一人当たりの購買力は1/4~1/5以下なので、その差は思っているよりも大きくありません。

・アメリカの一人当たりGDP: 76,330ドル
・中国の一人当たりGDP: 12,720ドル
・インドの一人当たりGDP: 2,410ドル

アメリカの一人当たりGDPは中国の6倍以上、インドの30倍以上です。したがって、人口の差を考慮しても依然として世界最大の消費国はアメリカだと言えるでしょう。

トランプ氏の10%の関税公約の実現には、非常に多くの壁が残っていることは確かですが、そのような複雑な要素はすべて無視して、今はただこの関税措置がもたらす結果だけを考えてみましょう。

関税は経済学と貿易学において非常に複雑な経済的波及効果をもたらす措置と見なされているため、世界の経済学者の間でも意見が分かれるテーマですし、私のような非専門家が一つのコンテンツで簡単に予測できるようなものでは決してありません。しかし、感覚的に捉えることはできます。


アメリカと各国の貿易収支

Bloomberg

まずはアメリカと中国の貿易を見てみます。非常に簡単に見てみると、アメリカと中国の貿易における輸出入の不均衡は非常に大きいです。中国はアメリカに売るものが山のようにあるのに対し、アメリカは中国に売るものがあまりありません。少なくとも4倍以上の規模の差があります。

ここでふとこんなことを思いました。今のトランプ氏の10%の関税は、中国だけでなく、アメリカに入る製品を作るすべての国のすべての産業に適用されるはずですが、他の国々の場合、アメリカとの貿易収支はどうなっているのでしょうか?これを調べるためには簡単なキーワードが必要です。「Global export ranking(世界輸出額ランキング)」という検索語ですね。

予想通り、世界で他国に自国産商品を最も多く輸出している国は中国です。その次がアメリカで、アメリカを除くと、ドイツ、オランダ、日本、イタリア、フランス、韓国が上位に上がっています。さて、次に何をすべきでしょうか?
そうです。

・アメリカ-対ドイツ貿易収支 
・アメリカ-対オランダ貿易収支
 ・アメリカ-対日本貿易収支 
・アメリカ-対イタリア貿易収支 
・アメリカ-対フランス貿易収支
 ・アメリカ-対韓国貿易収支

これらを簡単に見てみれば良いでしょう。先ほど見たアメリカの対中国貿易収支の場合、アメリカが中国から輸入する品目の金額がその逆よりも圧倒的に大きかったのですが、他の国々においても同様なのでしょうか?


貿易収支比較

アメリカ-対ドイツ貿易

statista

アメリカが輸入するドイツ産製品の規模は、ドイツが輸入するアメリカ産製品の規模よりも約1.5~1.7倍多いです。


アメリカ-対オランダ貿易

census.gov

アメリカは貿易黒字を出しています。アメリカがオランダに輸出するものの方が、輸入するものよりも多いですね!それもかなりの差があります。

このサイトはCensus.govというアメリカ政府の統計をまとめて掲載しているウェブサイトですが、これで見るのが一番便利です。他の国々も見てみましょう。


アメリカ-対日本貿易

census.gov

強力な円安を背景に、やはりアメリカは莫大な貿易赤字を出しています。日本の製品のアメリカへの輸出量が、その逆の2倍程度多いです。


アメリカ-対イタリア、フランス、韓国

census.gov
census.gov
census.gov

世界輸出額ランキングでそれぞれ6~8位にランクインしているイタリア、フランス、韓国の場合も状況は変わりません。これらの国との貿易においてもアメリカは引き続き貿易赤字を出しています。

そしてちょっとここで、もう一つチェックしておくべきことがあります。何をチェックすべきでしょうか?

白カブ部長

白カブ部長:中国、ドイツ、オランダ、日本、イタリア、フランス、韓国のGDPに占める輸出の割合をチェックすれば、これらの国がどれほどアメリカへの輸出に真剣であるかがわかるのではないでしょうか?

その通りです。早速みてみましょう。


早速!輸出依存度チェック

World Bank Open Data

ちょうど世界銀行が輸出依存度、すなわちGDPに対する輸出の割合(Exports of goods and services % of GDP)を提供しています。このリンクから資料を見てみましょう。この資料が正確であるとは限りませんし、測定方法によって値は異なるかもしれませんが、それでも世界銀行の統計が最も信頼できます。

・中国: 19.7%
・ドイツ: 47.1%
・オランダ: 85%
・日本: 21.5%
・イタリア: 35.1%
・フランス: 32.7%
・韓国: 44%

85%?!

日本と中国は20%程度で相対的に低い方に属しているのに対して、ドイツと韓国は45%程度で輸出が経済に占める割合がかなり大きいです。

ところが、オランダを見てください。オランダはなんと85%です!輸出の割合が高いドイツと韓国と比較しても、ほぼ2倍の数値であり、それほどオランダは経済を輸出に依存しています。

興味深いことに、「それにもかかわらず」オランダはアメリカとの貿易において、世界輸出額ランキングの上位7か国の中で唯一アメリカに貿易黒字をもたらしている国となっています
ここで、今まで見てきた内容をまとめてみます。

・世界で輸出を最も多く行っている国々が当然アメリカにも最も多く輸出していること

・そのような国々の例としては、中国、ドイツ、オランダ、日本、イタリア、フランス、韓国があること

・アメリカは残りの6か国に対しては貿易赤字を出しているが、ただ一カ国、オランダに対してだけは貿易黒字を出していること。すなわち、アメリカからオランダに流れる商品の方がその逆より多いということ 。

・おかしなことに、オランダは世界で最も強力に輸出に注力している国の一つであり、輸出額がGDPの90%近くであること。


さて、今回はここまで。

世界の主要な輸出大国とアメリカの貿易を見たところ、アメリカはオランダに対してだけ貿易黒字であること、それなのに、おかしなことにオランダは世界的に見ても輸出に注力している国であることがわかってきました。

次回はアメリカ-オランダ貿易の構造、そして貿易紛争に巻き込まれない国はいったいどこなのかお話しします。次回もお楽しみに!

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