EVの時代はくるのか?〜EV技術の現状を網羅:自動運転技術〜第2回
EVの時代はくるのか?自動運転技術 第2回
皆さん、こんにちは!アメリカ株式義塾です。
今回の「自動運転技術特集」は全3回の連載になる予定です。前回は自動運転の仕組みを比較しながら学びました。今日のコンテンツでは、自動車メーカーが従来の方法では完全な自動運転を実現するのが難しい理由を一気に説明します。ぜひ最後までお読みください!
さて、今日は少し細かい話をします。 具体的には...。
将来の自動車産業の中心は自動運転。自動車の性能やパフォーマンス、燃費は二の次。
ほとんどの自動車メーカーは現在、その自動運転技術を半分以上実現することには成功したが、完全な自動運転を実現してゴールを達成するには大きな困難を経験している。
この困難を最初に解決する可能性の高い企業が未来の自動運転競争をリードする。
テスラ以外で、この困難の解決に向けた取り組みをしていて、成果をまもなく上げそうな企業を見つけることが重要!
これが今回の<自動運転技術特集>のポイントです。
打倒テスラを掲げた米EV企業
そのため、今日は、テスラ(TSLA)を除いたほとんどの電気自動車メーカーが自動運転の実現段階で直面している困難について説明することから始めます。
まず最初に、アメリカで自動運転技術の最前線に立つテスラを追い抜こうと市場に登場し、莫大な資金を研究開発に投入しているアメリカの電気自動車メーカーの自動運転技術の水準をまず見てみるべきです。テスラ以外のアメリカの電気自動車メーカーは何か特別な技術を持っているのでしょうか?
アメリカで生まれた電気自動車のスタートアップには、リヴィアン(RIVN)、ルシード(LCID)の他にカヌー(GOEV)とフィスカー(FSRN)があります。 このうち、フィスカーは上場廃止となりOTC市場でしか取引ができなくなり、カヌーも命が危うい状態です。
なんで?
開発段階から量産段階に至るまでの全般的な資金管理で失敗したのです。 今日明日にでも倒産しそうな企業は置いておき、電気自動車を生産して実際に販売しているリヴィアンとルシードの話を先にしましょう。 これらの企業は当然、自動運転機能も搭載しています。
リヴィアンとルシードの自動運転技術には特別なものがあるのか?
テスラに追いつこうと登場したリヴィアンとルシードの自動運転技術について深掘ります
見てみると、実際には他の自動車メーカーと同じ水準で、特に際立ったものはありません。
リヴィアンとルシードにはどのような自動運転技術が搭載されているのでしょうか? 第2、第3のテスラを自負する彼らの自動運転技術はテスラと何が違うのでしょうか?
リヴィアン(RIVN)
Driver+ システム
リヴィアンの自動運転システムはDriver+と呼ばれています。上記のリンクから見られるホームページでその性能を直接確認することができます。この中で最も重要なのは、ハイウェイアシスト(Highway Assist)、適応型クルーズコントロール(Adaptive Cruise Control)、レーンキープアシスト(Lane Keep Assist)です。
これが何を意味するのかと言うと、リヴィアンの自動運転技術は他の多くの自動車メーカーと全く同じということです。
さらに、自動運転の真髄である「ハンドルから手を離しても車が自動で走行する」という機能は高速道路でのみサポートされています。
ここで、重要な概念を二つ先に説明します。
い、、いきなり難しくなってきたぞ?
用語がそう見えるだけで、全く難しいことはございません。
まず、レーンフォロイングアシスト(LFA)と
レーンキープアシスト(LKA)は全く異なるものです。
皆さんが車を購入する際にも役立つ知識ですが、多くの人が混同している内容なので、この機会にぜひ覚えておいてください。
まず、レーンフォロイングアシストは、上の写真の1番のように、車線の中央に線を引いたとして、車がこの線に沿って走るようにする機能です。一方、レーンキープアシストは2番のように、車が車線の境界線(白い点線の車線)を越えるたびにハンドルを少しずつ調整して車を内側に戻す機能です。
簡単に言えば、1番は「自分の車線を維持して走れ!」に該当し、2番は「隣の車線にはみ出さないようにしろ!」に該当することになります。
完全な自動運転は当然ながら1番の機能によってのみ可能になるのであって、2番の機能はあくまで補助的な役割に過ぎません。現代自動車グループを含め、多くの自動車メーカーは市販車において、高速道路では1番と2番の機能を両方使用できますが、一般道では2番だけが可能という技術的な限界を持っています。
これは、リヴィアンも同じです。高速道路では1番と2番、さらに前の車との距離を調整する適応型クルーズコントロールを組み合わせてある程度の自動運転を実現できますが、一般道では2番だけしかサポートしてくれないため、自動運転は不可能な段階です。これがDriver+システムの限界です。
テスラ(TSLA)
FSD
では、テスラはどうでしょうか?1番と2番の両方の機能が(一部ではありますが)一般道路でも可能です!これがまさにフルセルフドライビング、Full Self-Driving(FSD)技術です。ただし、これはテスラがその国の地図データと道路環境に関するデータをすべて持っているという前提の上で成り立ちます。
そのため、テスラがまだ十分に道路環境のデータを蓄積していない国、例えば日本では、オートパイロット(Autopilot)とFSDは完全とはいえません。
それでも高速道路に限定されることがなく、一般道でも使えるため、オートパイロットの汎用性は他の電気自動車メーカーよりもはるかに高いです。
ルシード・モータース(LCID)
DreamDriveと呼ばれます。
ルシードも同様です。 リヴィアンとほとんど変わらず、高速道路では消費者が求めるレベルの自動運転を素晴らしく提供してくれますが、一般道ではその機能を活用できません。
実情は
一つ秘密を明かすと、リヴィアンとルシードだけでなく、他のほとんどの自動車メーカーでも状況は大きく変わらないのが実情です。メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、現代自動車グループ、フォード、ゼネラル・モーターズ... どの企業も同じ状況です。どんな状況かと言いますと、次のようにまとめられます。
高速道路では、ブランドによってセンサーの感度に差はあるものの、どのブランドでも車線の中央を維持し、前の車との距離を調整しながら安定して自動運転できるようになっている。
一般道路では、実際にはレーンキープアシスト(隣の車線にはみ出さないようにする)程度の機能しか発揮できず、ほとんど意味がない。
結局求められているのは非常にシンプルです。
現在、テスラのFSDを除く他の自動車メーカーの自動運転技術では、高速道路に乗ってから降りるまでという特定区間でしか手を放した運転ができません。これは完全な自動運転とはいえませんよね。半端なものです。今、自動運転機能が搭載された車を運転している方なら誰でも実感されているはずです。
自動運転は未来の自動車技術の中心ではあるものの、すべての自動車メーカーの技術の現状をみてみると、高速道路ではどのメーカーもある程度優れた技術を持っている一方で、一般道に対する性能はまだ開発が必要な状態です。
白カブ部長:じゃあ、テスラを除いて考えると、頭一つ抜きんでているメーカーは特にないということですか?
その通りです。ですから、今のところリヴィアンやルシードのようなテスラに挑戦している電気自動車メーカーの自動運転技術は、結局どれも似たり寄ったりであり、バッテリーの性能や走行時の性能、デザイン、インテリアなどで勝負を決めるしかないのです。
なぜこのような限界があるのでしょうか?
第1回ではこの限界についてあまりに詳細に説明しなかったので、皆さんがその理由を完全に理解できるように、第2回ではさらに詳しく、追加の説明を用意しました!
一般道での自動運転技術の実現が非常に難しい理由
簡単に言えば、高速道路と環境が異なるからですが、正確な理由を知っておく必要があります。
法律や規制の問題など、定量化しにくいものはすべてスルーして、技術的な観点だけで話を進めます。最大の理由は環境の複雑さです。
高速道路では99.9%の車が(常識的に考えて)同じ方向に走っています。歩行者などは(普通は)いません。
だから、高速道路では並走する他の車との距離や車線だけを気にすればよいのです。一方、一般道は、はるかに複雑な環境にあります。例えば、歩行者、自転車に乗る人、駐車された車、犬、ドラゴン、ゴジラ…燃えながら道路に緊急着陸してくるヘリコプターなど(?)、多種多様な障害物が常に存在しています。
さすがにドラゴンやらはやってこないにしても、高速道路よりも一般道がはるかに障害物が多いことは容易に想像できますよね?もう少し読み進めてみましょう。
自動運転コンピュータ:どうしろってこと??!
まあ指示はよく分からなくてもとりあえず、白線で塗られた車線をたどるのなら十分できるんじゃないか?おや、それも難しいぞ。ほとんどの一般道はペイントもまちまちで、管理状態もひどい…。
これが一般道なんです。
ここまで読めば、一般道を含むすべての道路で高速道路のように完璧な自動運転を実現するために達成すべき条件を理解していただけたかと思います。
ちなみに、唐突ですが、ルシード(LCID)の自動運転システムで使われているセンサーは次のような構成です。「カメラ14個+レーダー(Radar)5個+サラウンドビューカメラ4個+超音波センサー+ライダ(LiDAR)」です。
他の自動車メーカーも構成については大差なく、「カメラ+レーダー+超音波センサー」の組み合わせを多く採用しています。ライダーは高価なのであまり採用されませんが、最近はルシードのようにライダーを採用するケースも増えています。
ではここで、一般道で、既存の自動車メーカーが大々的に採用している、または、採用する予定のレーダー(Radar)とライダー(LiDAR)が必然的に抱える弱点をお知らせします。 これは、事実上、これらの自動車メーカーが一般道で自動運転を実装できない主な理由でもあります。
(1) レーダー
レーダーの問題は、距離が遠くなるほど電波が広がってしまうため、解像度が低くなることです。 「物体がここにある」ということは検出できますが、物体の形と種類はほとんど区別できません。人や自転車、自動車、ドラゴン、ゴジラでさえもすべて、レーダーで見たらすべて同じ障害物になってしまいます。
白カブ部長: 物体が何か認識できなくても、結局障害物があるということには間違いないわけだし、ただ止まったり、よけたりできればいいんじゃないんですか?なぜ問題なんですか?
さすが!非常に重要な質問です。
一見、自動運転車は、障害物を区別しなくてもすべての障害物を単に検出して回避できさえすれば十分に思えるかもしれません。
しかし、一般道の道路環境では、歩行者、自転車、自動車などのさまざまな種類の障害物を区別する能力は、単純な障害物回避以上のさまざまな理由で重要です。なぜなら「行動パターンが異なるから」です。
一般道で自動運転を完璧に実現するためには、障害物が示す行動パターンを事前に予測する必要があります。例えば、歩行者は突然方向を変えたり止まったりすることがある一方で、自動車は比較的動きが鈍いです。自転車やオートバイは、時には歩行者のように行動し、時には車のように行動することがあるため、危険を予測しなければならない自動運転車にとっては非常に厄介です。
障害物が止まっているか動いているかによっても、取るべき行動が変わります。動いていない障害物(駐車している車)で、通過中に動く可能性が全くない障害物はただ避ければ良いのですが、いつでも動く可能性のある障害物(歩行者、自転車など)は注意深く監視し、いつでもすぐに停止できるよう準備することが必要です。
これらの理由からレーダーには、障害物の種類や行動パターンを全く区別できないという性能上の限界があります。
(2) ライダー
白カブ部長:じゃあ、レーザービームを撃って周辺環境の3Dマップを描くライダーを使ったらどうでしょう?
そうですね、ライダーを使うと、少なくとも「あれが車なのか、自転車なのか、それともドラゴンwなのか」くらいはわかるようになります。そして、距離測定の精度も大幅に上がります。
ただ、まだ、レーダーでもライダーでも克服できない致命的な欠点があります。ライダーは物体に電波を発射し、その反射を検出する仕組みであるため、仕組みの点ではレーダーと同じです。すなわち、物体の色や材質を区別できません。 つまり、信号機や道路標識、車線標識を解釈することは不可能です。上の色とりどりの写真は、ライダーで見える画面に色をつけただけなので実際には色などは区別できません。
また、悪天候の影響を受けると第1回でお話ししましたが、雪や雨が降ると水滴に光が反射してしまい、事実上無用の長物になってしまいます。
レーダーとライダーは、このような限界があるため、高速道路では問題なく使えますが、一般道での自動運転を実現する上で、事実上、ゲームチェンジャー(ゲームを決定的に変える技術)の役割を果たすことができません。
しかし、カメラビジョンは違います。カメラから得られる情報を解釈できる脳(=AI)さえあれば、カメラは雨が降っても見るべきものは全て見えますし、雪が降っても同様に全て見られます。標識や信号機だって、ただ撮影して読み取ればいいだけです。ただし、何度も申し上げましたが、それには脳が必要です。
自動車メーカーがレーダーとライダーにこだわり続ける理由
彼らだってもちろん、AIが進歩した現在ではカメラビジョンが最適解であることを知っています。しかし...
先に明確にしておきたいのは、未来の自動運転のパラダイムにおいて、レーダーとライダーが不要であると言っているわけではないということです。レーダーとライダーは既に高速道路でハンズフリー運転が可能なシステムを作るのに十分貢献しています。
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