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ハウスメーカーとデザインを考える(その2)

時間が空いてしまいましたが前回の
ハウスメーカーとデザインを考える(その1)の続きです。
では実際にハウスメーカーさんと工務店さんにどのように教えているのか、一緒に学んでいくのかについてです。



知る・見る / 考える / つくる をベースにする

0.知る

あくまで一般論だが、そもそも世の中にどんなデザインがあるかを知らないと、デザインすることは出来ない。我々の知覚(良いと思える感覚)は常に変化している。なのでその先端を探求している建築家がどのようなデザインをしているかを「知る」ことが勉強会の第一歩にしている。
圧倒的に設計者が建築家のデザインや、ほかのジャンルの良いデザインのものを知らなさ過ぎる。
なのでまずはどのような建築家がいて、どのようなデザインをしているかを説明することから始めた。前回書いた、真似をしやすい「モダン」、「和モダン」、「インダストリアル」のデザインタイプを中心に紹介していている。まずは好きな建築を知ることから始めていく。

1.見る


「知る」と同時に大切なことは「見る」ことだ。「見る」ことは一番楽しいし、楽である。百聞は一見に如かず。

普段の仕事の中で見ることは難しいかもしれないけど、休みの日に家族と一緒に見に行くことは簡単だ。なので近所の良いデザイン物件を紹介したりしている。
自分も最初は妻を連れていくと、妻が不機嫌になるかと思っていたが、だんだん建築の良さや面白さがわかってくるようになる。最初のきっかけとして、おしゃれなカフェや雑貨屋さんなどが併設している建築をお勧めする。子供を連れてデザインされた公園に行くのも楽しい。
見るときに滋賀県内でお勧めしているのは、言わずもがな「ラ・コリーナ」である。滋賀県に住む人ならほとんど行ったことがある(と思う)この建物は藤森照信氏の設計した建物だが(分類は真似のしにくいプリミティヴデザインだけど)、ブランディングや計画含め非常に勉強になる建物だ。

2.考える

次に大切なのは「考える」ことだ。
ただここで問題なのはほとんどの人が良いと思いながらも、なぜ良いのか、どんなところが取り入れられるかを考えていないことである。藤森さんの建物はかなり奇抜だが、要素で見るとハウスメーカーでも取り入れられる部分はたくさんある。
考えなければ同じものを見ても、何も得るものがないかもしれないし、人によって得れるものに大きく差がつくかもしれない。
とにかく考えること。
何がこのデザインを成立させているのか。ディテールがどうなっているのか。どのように実現させているのか。
有名デザイナーに高学歴が多いのも結局はこの「考える力」が強いからだとも思っている。考えることは習慣である行為だし、特に好きなものだと考えやすい。今からでも始められる。

3.つくる

最後に考えた後のアウトプットが非常に重要となる。
作らなければなにも意味がない。
有名建築家事務所が圧倒的に強い部分は考える力とつくる力である。学生時代に考えていた面白いデザインも実際現実的な条件で設計すると急にしぼんだりもよくあることだ。いかに良いデザインを実現させるか最も時間がかかる部分となっている。

そして時間がない中で設計しなければならない中、一番しやすい方法は「真似る」ことだ。
生物学的にももっともチンパンジーなどの霊長類と差をつけれるのがこの能力だ。まずは真似ることを意識してデザインを導入していく。ただ表面的に真似るのではなく、考えながら真似なければいけない。
お金持ちの豪邸で、古典的なヨーロッパのデザインを導入している例をたまに見るが、それがどうして安っぽく見えるのか?おそらく全く考えていないだろう。(施主自身の問題が多いのだけど。。。)

何をつくるのかは組織の軸をしっかり整えて、目指していかなければいけない。ハードのデザインよりも組織のデザインが重要にもなっている。

4.結び

以上をベースにデザインを取り組んでいかなければならない。
デザインの導入の際に一番大きな問題は、それを導入する組織体制がないこと。「時間がない」「お金がない」「そんなの出来ない」など多くの言葉を聞いてきたが、結局は何が出来るか考えていない。少しの改善から初めて行けば良いのに。ダメな組織や人は本当にこの視点がない。
なので、デザインコンサルの一歩目のゴールはまずはデザインの出来る人材を作ることに設定している。

またもう一つ大事な視点は、
「新しいものやことに常に目を向けること」
常に変化し続ける時代に、この視点がなくなれば衰退しかない。やっぱりこの視点をもっているのは若い人が多い会社だと思っている。というか身体的な若さよりも、この精神的な若さのほうが重要だ。

次回は実際にどんな勉強会をしているのかをお話しできればと。


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