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100年前、NTTはGAFAだった

とある建築展に出かけた時、いくつか「素敵なデザインの建物」を見つけたのだけど、実はそれらは全部「電信局」つまり電話局で、昔「逓信省」が建てたものであることがわかった。

例えば、上記の写真は「東京中央電信局」で、今みてもかっこよくて、非常にモダンなデザインだと思う。

逓信省は、今の郵便局とかNTTの前身の国の組織であり、当時普及し始めた「電話」のための施設を、最新の技術で建築していたのだ。残念ながら、その多くの建物が既に潰されていることがわかり、残念な気持ちで建築展を後にした。

それから何日かして、なんの気なしにネットニュースを見ていると、GAFAのオフィスの特集記事が偶然載っているのを目にした。ご存知の通り、玩具箱をひっくり返したような家具や、宇宙船の円盤のようなオフィスなどなど。とにかく遊び心に溢れ、最先端のデザインである。

そして、ぼくはなぜかこのオフィスを見ていて、建築展でみた「通信局」の建物と同じ雰囲気を感じた。

最初は何故かよくわからなかった。テイストもデザインも全く違う。それでも、その二つの建物を比べた時、ぼくの頭の中である一つの言葉が思い浮かんだのだ。

「NTTは100年前、GAFAだった」と。

ここ20年ほどで、世界中の人がインターネットを経由してつながるようになり、さらにこの数年で、そのための機器が手のひらに収まるようになってしまった。

まさに、革命の中にぼくらは生きていると感じているのだけど、よくよく考えてみたら、電話が登場した当時も、同じような状態だったのではないだろうか

突然、遠く離れた人と、直接話せるようになったのだ。インターネットの登場もすごいけれど、そもそも電気も何もなかった世界に、突然電話が現れたインパクトは相当なものだったのではないだろうか

そして、その革命的な機器を操っているのが「電信局」なのだ。そうであれば「電信局」の建物は、これまで誰もみたことがないような、おしゃれでモダンなデザインにする必要がある

まるでその建物自体で未来が感じられるくらいなものに。そう、まさに今のGAFAと同じである。

だから当時の設計士たちは、何よりも最先端で、モダンなデザインに挑戦したのではないだろうか。そして、きっと当時それをみた市井の人たちは、そのデザインに度肝を抜かれたに違いない。

今のぼくらがGAFAのオフィスに驚いているように。

そんな思いが感じられるほど、当時の「電信局」のデザインは素晴らしい。京都にはまだいくつか同時代のデザインの電信局の建物が残っているので、またタイミングを見ながら見に行こうと思う。

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