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大切な書物のバックアップを始めた天皇

先日受験した京都検定にはどうやら合格できそうもないが、勉強したおかげで、ちょっと変わった(といっては失礼かもしれないが)天皇のことを勉強することができた。どんな天皇かというと

大切な書物のバックアップを始めた天皇

である。お名前は後西天皇(ごさいてんのう)。聞いたことがある人は少ないのではないだろうか。

後西天皇について

なんでも和歌や、古典への理解も深く茶道、華道、香道にも精通していたにもかかわらず「内裏などの炎上、地方の地震、水害などが多発したため、当時の人々は天皇の不徳を責め、これをきっかけに譲位に至った」というなかなか辛い思いをされた天皇のようである。

だからおそらく、それほど有名な天皇ではないのだと思う。でも、後西天皇は、内裏で火災があり、大切な書物がほとんど燃えてしまった後に、書物のバックアップを始めるのだ。具体的には

京都の公家や寺社に要請して精度の高い写本を作成し
別の場所に置くことによって亡失を防ごうとした

ということである。

書物を残すための工夫

ここですごいなと思うのは

単に元の状態に戻すではなく、別の場所に保管する

ということ。考えてみれば、今のように消防車もスプリンクラーもない時代。火事は基本的に制御できない。だからきっと

これは別の場所におくしかない

と気づいたのだと思う。今も大切なクラウドデータのバックアップは、東日本と西日本のサーバーにそれぞれ置かれると聞いたことがある。物理的に離しておくことが一番安全なのだ。この考え方、今では当たり前だけど

その先駆けは、後西天皇と言ってもいいかもしれない。

なぜか情報が少ない

この後西天皇がバックアップを始めた話は、Wikipediaの後西天皇の項目にも出てこない。この時整備されたバックアップ施設である「東山御文庫」の項目には出ているのだけど。

こんなマニアックな情報を学ぶことができるから、京都検定の勉強は何度落ちてもやめられないのだ。


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