見出し画像

ジャック・ザ・リッパー

2021.09.23

また加藤和樹さんが2役やるぞ!
Wキャストなのに、何故か全公演出演するぞ!?
理解不能、Wキャストとは?ってなる(めちゃくちゃリスペクト)。
あの方はマジで超人としか思えない。

そんな和樹さん見たさに、はじめての日生劇場。
おとぎばなしに出てくるお城のようなロビー。
劇場に入ると、まるで海の中のような。
珊瑚礁に覆われた、小さな秘密の空間みたい。
日常とは違う、異世界へと誘われたような感じが素敵だった。

開演前の物販でステッカーを買おうと注文したら、「どなたのでしょうか?」って言われて、「選べるんですか!?」って驚いた😳
確かにランダムとは書いてなかったけど、オタク世界ではランダムが当たり前だから、観劇の思い出に誰が来てくれるかな?って運試しのつもりだったで、まさか、、選べるとは、、、。
逆にそれで経済回るのかといらん心配したけど、優しい世界に感謝でしかない。ありがとうございます😭✨


開幕待ってたら、劇場アナウンスで和樹さんの声が流れてきて飛んだ。相変わらずのイケボ。なんで他の人たち冷静なんだ?私は驚きすぎて動揺を隠せないよ。


昼公演☀️
ダニエル:木村達成
アンダーソン:松下優也
ジャック:加藤和樹


まずはストーリーの全体を見るために、1番後ろの席で。
でも、実は間違えちゃったんだ。『ジャック・ザ・リッパー』という題名だから、ジャックの和樹さんを近い席で見ようと思ってたのに、逆で買ってしまった。
しかし、遠くても和樹ジャックの半端ない狂人さといったら!ものすごかった✨✨

達成くんのダニエルは、はじめての恋に一直線って感じ。とてもピュアにグロリアに愛を伝える。
グロリア見て「痛い!!」って、グロリアに見つめられるとドキドキが強くなって胸が痛くなる。そのシーンが可愛くて好き☺️
娼婦として偽りの愛を売ってたグロリアだから、最初は正気?ってなってたけど、ストレートなダニエルの想いが、娼婦の仮面を外させてくれて、1人の女性として、彼を愛した。♪もしかしたら のナンバーからの、アコースティックギターがジャカジャカなってダニエルの高揚感があふれるナンバーが本当幸せになる💓

でも、悲しいことに、2人の幸せは束の間で、
ジャックが希望を絶望へと変えてしまう。辛い。

事件を追うアンダーソン。
優也さん、歌上手い。コカイン中毒のやばい刑事だけど、その声質の高さから、アンダーソンの本来の姿、凶悪な事件を突き止めたい正義感だとかが見えてきた。そして、アンダーソンの優しさ、繊細さ、美しさ。この街が嫌いだと嘆く時、2幕で別れた元恋人のポリーを見つめる時。優しさに包まれました☺️💓

登場毎にキターー!!!ってなる和樹さん。
表情が良い、最高。一気に恐怖へと陥れる。
2幕でベースがベンベンと鳴り響くジャックのナンバーが好き。最後の杖を掲げて下す動作に合わせるように、地獄のーで⤴︎⤵︎に加えて、夜でしゃくりというのかこぶしというのか、専門的なものよくわからないけど濁らせるような音で、この夜がどんだけ人間の欲望にまみれてカオスなものかが現れてて最高だった。ブラボーだった👏😭

♪僕がジャックだ
雷が響いて、ジャックとダニエルが入れ替わったかのようになるのがやばい。和樹さんの怯えてるような表情と狂気じみた達成くんの対比。
また雷が響いて元に戻る。一瞬にして狂気に満ちた和樹さんに震えた。


ねっとりと人間の心の奥底に表れてる和樹ジャック。飢えた心に蜜を注いで虜にさせる。これで救われる、もうやめられない。暗闇のどんどん奥へと堕ちていく。
最初は目の前にいるジャックによって、恐怖の事件が繰り広げられているような感じだったけど、次第に切り裂きジャックは本当にいたのかな?って疑問がわいた。ジャックはダニエルの心の闇の現れなのかな?って思った。そしたら、パンフにもそのようなことが書かれてて、和樹ジャックまさにそれじゃん!!!ってまた震えた。

そこからあるシーンを思い出した。
市民が盗み、放火などといったニュースに飽き飽きして、切り裂きジャックの事件が入ると、なんて刺激的なんだと、恐怖と同時にスリルを楽しんでいる。その様が恐ろしかった。
ジャックが表れるたびに興奮してる私も同じ。
しかし、ジャックの手がどんどん街を襲うと、そんな殺人鬼を排除せよとも言う。
退屈な毎日に突然現れたスリルを楽しんでる、またはそれを讃えるかのようであったのに、ある時突然手のひらを返したようにする。
一人ひとりのこの感情が、1番恐ろしいのではないか?
自分が幸せでありたい。自分が良いようにしたい。自分を守りたい。大切なものを守りたい。そのためにはなんでもする。そんな心にも似ている。

ジャックは誰の心にも存在する。

あっという間に時間が経ってしまった。
普段同じ作品をマチソワするの体力的にやられるから避けてるんだけど、人物の心だとか、バラバラだった時系列も整理したいし、これは早く次見たい!!!ってなった。


夜公演🌙
ダニエル:小野賢章
アンダーソン:加藤和樹
ジャック:堂珍嘉邦

観劇前はジャックを見る作品だと思ってたけど(どんな偏見)、アンダーソンもかなりの重要人物だと知ったから肉眼で見られる幸せ☺️💓

達成ダニエルは自らの愛の感情が結果的にグロリアを希望、そして絶望を味合わせてしまうことに、どどど、どうしよう!💦って感じもあったけど、賢章ダニエルはそのことに苦しむけど、どこまでも彼女を愛する気持ちが、優しさが、すごくあたたかった。そして、そのあたたかさが恐ろしいほどダニエルを狂わせたように感じた。
どこかの記事であった、和樹ジャックと賢章ダニエルが縦並びで叫ぶように歌ってる写真。賢章ダニエルが、マジで狂人の表情だから見てほしい。狂人と超人。この組み合わせも観たかった…。


和樹アンダーソン。かっこいい。
コカイン中毒の禁断症状と、必死にコカインを吸う姿やばい。目がいかれてる。好き。
ジャックを誘き寄せるために、1人の娼婦に協力してもらうんだけど、そこでポリーが浮かんで、刑事としてジャックを捕らえたい気持ちと、そんな危険なことにポリーを巻き込みたくないって気持ちの混在が最高。何度も思いとどまって、目印の赤い薔薇を買ったけど、ポリーがどんなことでも貴方なら答えはOKよ、ってまだ事件協力のこと話してないのに、でも自分をまた愛してくれた嬉しさだとか、でも何も知らない彼女に酷いことしたくないって、引き返そうとしたその時に、ポリーが赤い薔薇を見て自分へのプレゼントだと喜ぶ姿を見たアンダーソンの表情といったら!嬉しい、でも、、ってのが絶妙で。それがポリーの命に危険を及ぼすものだとしても彼女からその薔薇を取り上げることはできかった。
もし、2人でいる時間がもう少し長かったなら、、、。
作戦開始でポリーに愛の言葉を伝えることが出来ずに、刑事の顔になってしまうこの反射。仕事に囚われて、本当に大切なものを守れなかったアンダーソン。辛すぎる。
そこからのアンダーソンの行動も驚きの連発だし、ダニエルが死に、アンダーソン以外、事件の真相を知るもの全てが死んだ。
ダニエルが愛するグロリアをただただ救うために引き起こしたこれらの事件を世間が知ったら、市民がダニエルを同情することを、そして犠牲になった娼婦(特にポリー)は、ちっぽけ命としてぞんざいに扱われるだろうことを悟った。
アンダーソンが記した事件の報告書には、切り裂きジャックはわからなかったと事件を迷宮入りさせた。

そこで、アンダーソンの♪俺はこの街が嫌いだを思い出した。
〜人の涙見向きもせず通り過ぎる
抜け出せない 閉じ込められ 心殺す街〜
(このナンバーめっちゃ好き。てかどれも好き。)
事件を未解決にすることで、ポリーの命も人々に可哀想だと思わせることができるけど、アンダーソンだけはそこから抜け出すことができずに街に閉じ込められる。
2回目の観劇だから、よりアンダーソンに心を寄せることができてよかった。

堂珍ジャックはこの世ならぬ者感が怖かった。
冷酷で、圧倒的な強さで。近づいた時にはグワっと襲ってくる。ターゲットがこちらに来ることをジッと待ってる獣のようだった。

万里生モンローは欲望の塊。卑劣で、滑稽で、でも、それがまた人間らしくって。それが生きるための彼の選択だともわかるから。人間の汚いところを、ピュアに見せられてる感じだった。すごく嫌な役なんだけど、何故か心から憎めない。
タイプライター打った時はスリルミー思い出しちゃって、だって姿勢がいいもんだから、、ね。

この作品に出てくる女性陣、グロリアとポリーの生きる姿が本当にかっこよくて、May'nさんもエリアンナさんも素敵な歌声で魅了されました🥺

ダニエルもグロリアも。
アンダーソンとポリーも。
やっと見つけた希望が、一瞬に絶望へと変わる。
ジャックの恐怖は突然現れるものだ。
なんであの時にこうできなかったのだろう。
アンダーソンの場合なら、刑事としての自分よりも、アンダーソンとしてのひとりの人間として、ポリーに正直に向き合えたなら。愛を伝えることができたならば。

2回目見て、本当の切り裂きジャックは7年前に死んだとしか思えなかった。
再び切り裂きジャックが現れたと世間を騒がしたけど、それは7年前にジャックという人物に出会って、いけないことであるとは理解しつつも、彼の狂気に魅了されて、自らの野望のためにジャックを利用したダニエルでしかなかった。
やはりジャックは誰の心にも住みついてしまう。人間の自己中心的で残酷な心を具現化した存在。罪の象徴。

誰にだってなり得る。
ダニエルのように、道理に外れたことだとは分かっていても、愛する者のためには手段を選ばずに、狂気をおびることも。

アンダーソンのように、仕事に取り憑かれて本当の自分として生きられなくなることも。薬にすがらなきゃ不条理な世界を生きていけなくなることも。

グロリアのように、街から逃れられなくてただ希望を待つだけであることも。不条理な世界に立ち向かう勇気が出なくて、終わらせることもできない弱さも。絶望しかないこの世界で、自分のために誰かから注がれる優しさに甘えて、その人が間違った道を歩むを止めることもできないことも。

ポリーのように、生きるためには自分を殺して愛のないことをすることも。なけなしのお金ですら縋るようになることも。ちんけなお金のために、罵り嘲られることにも耐えなければならないことも。

モンローのように、意地汚くなって、自分の欲望にまみれていくことも。

フィクションのようだけど、元は実際あった話。
そして昔の話だけど、今の私にも語りかけてる。
面白かったなぁ〜。


この記事が参加している募集

舞台感想

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?