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Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew

2021 Summer Selection(7月12日〜8月29日)

橋本徹(SUBURBIA)を始めとする
「usen for Cafe Apres-midi」の選曲家17人が
それぞれのセレクトした音楽への思いを綴る
「Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew」

詳しい放送内容はこちら
D-03 usen for Cafe Apres-midi
http://music.usen.com/channel/d03/



橋本徹(「usen for Cafe Apres-midi」プロデューサー) Toru Hashimoto

「usen for Cafe Apres-midi」サマー・セレクションがスタートする7/12から、またしても緊急事態宣言発令となってしまった東京。愚かな政府の矛盾だらけの政策に翻弄されるつもりはないが、酒類の提供が売り上げの主力となっているカフェ・アプレミディも、8/22までの休業要請に応じることにした。夏がなくなってしまうなら、東京をはなれてみたいと、生まれて初めて思った2021年。それでも、かけがえのない限られた季節を、少しでも素敵な音楽で彩り輝かせることができたらと、心からの思いをこめて、今回もメロウ&グルーヴィーで心地よい楽曲を中心に、計34時間分を新たに選曲した。

月〜日を通してのTwilight-timeの特集は、2021年上半期のベスト・トラック400+10曲(曲目リストはこちらをご覧ください)をシャッフル・プレイ放送で。そのうちの大半を聴けるSpotifyプレイリスト「2021 First Half Best Tracks 400+10 selected by Toru Hashimoto (SUBURBIA)」も、近日中に公開される予定なので、ぜひ楽しみにしてほしい。
その他の時間帯は、いつものように選りすぐりのニュー・アライヴァルを惜しげもなく投入して。特に活躍してくれた32作のジャケットを掲載しておくので、その中身の素晴らしさにも触れていただけたら嬉しい。
個人的にNo.1アルバムを挙げるならやはり、2020年の年間ベスト・アルバムでもワン・トゥー・フィニッシュとなったSaultの新作『Nine』だろう。前回このコメント欄で大推薦したMustafaの『When Smoke Rises』に次いで、2021年の上半期ベスト・アルバムでも2位とした。
Saultの『Nine』が発表された6/25は稀に見る傑作リリース・ラッシュで、ハイエイタス・カイヨーテ〜タイラー・ザ・クリエイター〜フェイ・ウェブスターと最近の様々なジャンルでの愛聴作が目白押しだったが、このひと月半を振り返ってよく聴いていたなと思うのは、先行公開された3曲をすでに「usen for Cafe Apres-midi」でヘヴィー・プレイしてきたMndsgn.の『Rare Pleasure』、そのMndsgn.の「Camelblues」(べべウ・ジルベルト歌うテイ・トウワ「Technova」をサンプリング)のカヴァーも含むスイス・チューリッヒのSSW/マルチ奏者Colin Meckesの『Searching...』、ハングドラムの音色も印象的な“ワイドスクリーン・ミニマリスツ”を標榜する現行UKジャズの精鋭Portico Quartetの『Terrain』、幕開きを飾る「Santa Theresa」から絶品の南アフリカ・ヨハネスブルグのジャズ・ピアニストKeenan Meyerの美しいデビュー作『The Alchemy Of Living』(Seba Kaapstadでお馴染みの歌姫Zoë Modigaもフィーチャー)あたり。
やはりオープニングに置かれた「Kazum-zum-zum」から素晴らしすぎる文句なしの2021年上半期ベスト・リイシュー、アンゴラの至宝Mário Rui Silvaの2枚組編集盤『Stories From Another Time 1982-1988』も特筆しておこう。ここに挙げた32作の顔ぶれや選曲リストをご覧いただければわかるように、ブラジル〜アルゼンチン勢も相変わらず大充実。昨年末「ミュージック・マガジン」誌の年間ベスト・アルバム/ブラジル部門第1位に選ばれた、“アフロ・ブラジルの宝石”Luedji Lunaのセカンド『Bom Mesmo É Estar Debaixo D'Água 』が、ファースト『Um Corpo no Mundo』(こちらも秀逸な名作)に続いて、7/30にアプレミディ・レコーズから世界初のフィジカル・リリースとして日本盤CD化されることが決まったのも、グッド・ニュースだ。

2021 Summer 橋本

Sault『Nine』
Mndsgn.『Rare Pleasure』
Colin Meckes『Searching...』
Hiatus Kaiyote『Mood Valiant』
Lorde「Solar Power」
Clairo「Blouse」
Faye Webster『I Know I'm Funny haha』
Rosie Frater-Taylor『Bloom』
Tyler, The Creator『Call Me If You Get Lost』
Wesley Joseph『Ultramarine』
Portico Quartet『Terrain』
Emma-Jean Thackray『Yellow』
Greentea Peng『MAN MADE』
Loraine James『Reflection』
Jaubi feat. Latarnik & Tenderlonious『Nafs At Peace』
John Carroll Kirby『Septet』
Mind Maintenance『Mind Maintenance』
Kings Of Convenience『Peace Or Love』
Nicholas Krgovich『This Spring: Songs by Veda Hille』
Michael Mayo『Bones』
Dean Blunt『Black Metal 2』
V.A.『Modern Love』
António Zambujo『Voz E Violão』
Melim『Deixa Vir Do Coração』
Marisa Monte『Portas』
Ricardo Bacelar & Cainã Cavalcante『Paracosmo』
Renato Motha, Patricia Lobato & Mauricio Tizumba『Terreiro Zen』
Cande Y Paulo『Cande Y Paulo』
Alexis Tavella『Aguabembé』
Clara Presta『Pájara』
Keenan Meyer『The Alchemy Of Living』
Mário Rui Silva『Stories From Another Time 1982-1988』

Dinner-time 土曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 日曜日0:00~10:00
Brunch-time 月曜日10:00~12:00
Brunch-time 火曜日10:00~12:00
Brunch-time 水曜日10:00~12:00
Brunch-time 木曜日10:00~12:00
特集 月曜日16:00~18:00
特集 火曜日16:00~18:00
特集 水曜日16:00~18:00
特集 木曜日16:00~18:00
特集 金曜日16:00~18:00
特集 土曜日16:00~18:00
特集 日曜日16:00~18:00



本多義明(「usen for Cafe Apres-midi」ディレクター) Yoshiaki Honda

Ginger Rootは、自分の中では、おぼろげに何となく好きなアーティストくらいの位置づけだったが、Acrophase Recordsから8/20リリースの新作EP『City Slicker』からの先行公開曲を聴いて、はっきりと大好きなアーティストに早変わりしてしまった。
橋本さんのおすすめもあって2曲目の先行カット「Loretta」を聴いてみたのだが、これがたまらく気持ちいい。こんな曲を聴きながら、夏のドライヴへと出かけたいですね。
MVもレトロで面白いので、URLのリンクを貼っておきます。よかったら観てみてください。
https://www.gingerrootmusic.com/

2021 Summer 本多

Ginger Root 『City Slicker』

Lunch-time~Tea-time 木曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 金曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 土曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 日曜日12:00~16:00



中村智昭 Tomoaki Nakamura

マリ共和国のコラ=アフリカン・ハープ奏者、バラケ・シソコの最新作。仏チェリストのヴァンサン・セガールと共に長年築いてきた静謐な音像はそのままに、サリフ・ケイタら多彩なヴォーカリストの参加が新鮮な印象を残すアルバム。今回のセレクションでは、フレンチ女性シンガーのCamilleが祈るように歌うその名も「Kora」 を、深夜0時台にセレクトしました。自然と湧き上がってきた、「ヴォリュームを絞って窓を開け放ち、虫の音を聴きながら」というイメージを、真夏の夜に皆さんと共有できたら嬉しいです。

2021 Summer 中村

Ballaké Sissoko『Djourou』

Dinner-time 月曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 火曜日0:00~2:00



添田和幸 Kazuyuki Soeta

豊作だった新作をたっぷりと詰め込んだ今年の夏選曲、ジャケットを掲載する28枚から3枚をピックアップ。去年のSummer Selectionに入れられずに悔しい思いをしたJason Mrazは「Good Old Daze」のブレイクのピアノが最高に気持ちよい極上のメロウ・ラヴァーズ。ハイチ大地震をきっかけに結成されたというバンドLakou MizikをフィーチャーしたJoseph Rayの新曲は今年のサマー・アンセム確実の多幸感に満ちた一曲。Terry Callierの『Occasional Rain』にインスパイアされたであろうジャケットが目を引くスイスのColin Meckesは新作も最高だったMndsgn.の名曲「Camelblues」をカヴァー。これからの活躍が楽しみなブライテスト・ホープです。

2021 Summer 添田

Jason Mraz『Look For The Good』
Lakou Mizik & Joseph Ray「Ogou (Pran Ka Mwen)」
Colin Meckes『Searching...』
Rita Payés & Elisabeth Roma『Como La Piel』
Yani Martinelli『Sweet Silence』
Nicholas Krgovich『This Spring: Songs by Veda Hille』
Tommy Jay Brownson『With Some Friends』
Soul Sugar『Excursions In Soul Reggae Funk & Dub』
Common Saints『Idol Eyes EP』
Booboo'zzz All Stars『Studio Reggae Bash, Vol. 2』
BI.BA『Experience』
The Loving Paupers『Lines + Dubs』
Durand Jones & The Indications『Private Space』
Lionel Boy『Lionel Boy』
YOÙN『BXD IN JAZZ』
Dreamer Boy『All The Ways We Are Together』
Portrait『Afro Trees』
Ben Browning『Until We Win』
Mndsgn.『Rare Pleasure』
POSY『Abroad EP』
Sam Wills『Breath』
Iyamah『Tough Love』
Mara TK『Bad Meditation』
Cande y Paulo『Cande y Paulo』
Arooj Aftab『Vulture Prince』
Raoul Vignal『Years In Marble』
Kinobe『The Voice Within』
Warren Hampshire『Language Of The Birds』

Dinner-time 火曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 水曜日0:00~2:00



中上修作 Shusaku Nakagami

心理的にはとても開放的とはいえない、これまでにないサマー・シーズンが到来しました。太陽の輝きや雨の匂い、緑の青々しさは例年のまま私たちの心はどこかウワの空で、ムダに時間ばかりが過ぎるような感覚をおぼえます。

家にいる時間が長くなり、熱心なレコード・コレクターたちは以前に買ったのに聴いていなかった音盤に針を落とし、はたまた新しいクリーニング液を購入しては昼夜をとわずレコード磨きに精をだす方もおられるでしょう。内向きな精神状態のとき、没入できる遊びがあるのは嬉しいことです。

「おいしいお茶を淹れることができれば、その人はなんだってできるのさ」。モロッコの人たちは単純な作業の難しさ、奥深さを説きます。茶の愉しみは人を安らかにし、また相手の心も近くしてくれる。だからこそおいしい一杯のために心を砕き、今日も平和を招くためにお茶を淹れるのです。

さぁ音楽を聴きましょう。
おいしいお茶をのみましょう。

明日の自分のために。そして愛する人のために。

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Antonella Vitale & Andrea Beneventano Trio『Songs In My Heart』

Dinner-time 水曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 木曜日0:00~2:00



髙木慶太 Keita Takagi

まさかあのシェリー・ブラウンの新譜にこのタイミングで出会うとは夢にも思わず。また内容の素晴らしさにも驚きを禁じ得ず。レジェンドの新録にありがちな妙な若作りはここにはなく、そうかと言って顔だけ前を向いて歩は後ろに進むような焼き直しや自己模倣とも無縁。過不足なくアップデートされ、タイムリーでありつつタイムレスでもあるような、今の音にして変わらぬ声。

2021 Summer 高木

Sheree Brown『Messages From The Spirit...The Collective』

Dinner-time 木曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 金曜日0:00~2:00



FAT MASA

夏本番! と言いたいところですが、コロナ禍でいまいちスキッとしないので、曲だけは夏らしくいきたいと、Yuma HaraによるEarth, Wind & Fireの楽曲の中でも一番好きな曲である「Brazilian Rhyme」のグレイト・カヴァー! 先行してリリースされたシングルより、アルバム・ヴァージョンの方がより生演奏の雰囲気があって心地よく、ゲスト・ヴォーカルに大好きなHanah Spring、最高な布陣で内容が悪いわけないです。
早くライヴに行って大声出して合唱したり、かけ声かけたりして騒ぎたいです……(泣)。
今年の夏も辛抱の夏になりますが、くれぐれもご自愛くださいませ。

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Yuma Hara『Reality』

Brunch-time 金曜日10:00~12:00



三谷昌平 Shohei Mitani

今回のセレクションでキーとなった4曲をピックアップしてご紹介させていただきます。まずは名コンピ・シリーズのクルアンビン版『Late Night Tales: Khruangbin』にエクスクルーシヴ・トラックとして収録されたクルアンビンによるクール&ザ・ギャングの名曲「Summer Madness」のカヴァー。彼ららしいダビーでまさに夜に相応しい仕上がりとなっています。そしてデヴィッド・バーンのブロードウェイショウを映画化した『アメリカン・ユートピア』が話題のスパイク・リー監督の1990年作『モ'・ベター・ブルース』の挿入曲であり、実父ビル・リーが手掛けた「Mo' Better Blues」のKiaya Cashによるカヴァーです。原曲の良さをそのままに美しいスキャットが印象的な作品となっています。3曲目はジャズ・ピアニストのテイラー・アイグスティとギタリストのベッカ・スティーヴンズがグレッチェン・パーラトを迎えて制作したシングル「Play With Me」。グレッチェン・パーラトは最近、日本のドラマ挿入歌でもその美しいヴォーカルが話題となりましたので、興味のある方は多いのではないでしょうか。最後はここ日本でも人気の女性ヴォーカリスト、ステイシー・ケントによるビル・ウィザースの「Lovely Day」のカヴァーです。シンプルなアレンジに彼女のハートウォーミングなヴォーカルが心温まる素晴らしい作品となっています。ぜひ聴いてみてください。

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Khruangbin「Summer Madness」
Kiaya Cash「Mo' Better Blues」
Taylor Eigsti & Becca Stevens feat. Gretchen Parlato「Play With Me」
Stacey Kent「Lovely Day」

Dinner-time 金曜日18:00~22:00



渡辺裕介 Yusuke Watanabe

久々にシンガー・ソングライター大和田慧さんから連絡が来ました。
彼女は、ニューヨークで修行し、当地のセッション・メンバーで録音した「A Part Of Me」は、英語と日本語の違和感のない歌声とほんのりブラックなテイストの演奏であり、21世紀フリー・ソウルといってもよい存在。
そんな彼女から、レア・グルーヴ〜サバービア・リヴァイヴァル・バンドNautilasのゲスト・ヴォーカルとして7インチが出ますという連絡でした。
A面がマーク・マーフィーの「Empty Faces (Vera Cruz)」のカヴァー。
B面はテノーリオ・ジュニオルの「Neburosa」のカヴァー。
ちょうど私が、レコードだけにこだわって買っていた頃、吉本宏さんに出逢ってCDの現行ジャズの素晴らしさを教えてもらって急激に選曲の幅が広がった、2000年代半ばの日本のジャズindigo jam unitやSOIL & "PIMP" SESSIONSが輝いていたあのころの音を思い出す音質と演奏。
「usen for Cafe Apres-midi」の選曲を始めた頃、基本に戻らされたひとときでした。

最近1990年ぐらいに新鮮さを感じますが、2000年ぐらいは懐かしさを感じます。
私だけでしょうか?
JazzanovaやLondon Elektricityとか。ニコラ・コンテとか。
スヌーピー表紙の『relax』の内側のレコード・ジャケットは、買ったレコードには丸を付けて、我ながらの人生で、本物に出逢える感動に震えていた青春といっていい大切な時代。この数年が圧縮されつつも、忘れられないあの頃独特な音色。
旧作および歴史を知りながらレコードを買うだけでなく、今の音楽を手に取って何年後かに、改めて音楽の進化を楽しむ。
どっちも魅力的だから困ったもので。
そんな感覚を研ぎ澄ましながら埋もれたCDを1枚、押し入れ段ボールから発掘。Dorothy Leighの『A Second Chance』というアルバム。バーのショウで売られているようなジャケット・デザイン。だからこそ、素晴らしいはずだと2011年に買った記憶しかなかったが、あれ、これどこかで聴いたことあるなぁなんだっけ……おぉぉアリス・クラークの「Never Did I Stop Loving You」のスウィング・カヴァーじゃないか。ありそうなボサノヴァ〜レゲエ・カヴァーではない、彼女なりのアリス・クラーク感に感動しております。

やっとレコードが届いたブラジルかコロンビアのグループかと思ったらテキサスの女子4人コーラス・民族楽器を使いこなすグループLey Line。
このジャケット以上に太平洋~大西洋を南北に移動させる音楽の幅広い域。
何も違和感のない南北アメリカの伝統×ポピュラー音楽の融合およびザラザラ感は、夏の温度を下げる効果絶大です。

あとLonnie SmithがBeckの素晴らしいハモンド・カヴァー集を。TVのスポーツ番組でやたら使用される「Sexx Laws」の「俺様が実は原曲だ」と言っているぐらい見事なジャズ・ファンク。こんなカントリー・ブルース異端児が標的にされるジャズ・シーン。素晴らしいとしか言いようがないです。
次はトータスをお願いしたいです。

と身勝手なことを言いたくなる前が見えそうで見えない2021年の夏ですが、数年後に2020/2021のこの時代があったからこそ素晴らしい音楽がまた生まれたのでありますと言いたいですね。

2021 Summer 渡辺

Nautilas feat. Kei Owada「Empty Faces」
Dorothy Leigh『A Second Chance』
Ley Line『We Saw Blue』
Dr. Lonnie Smith『Boogaloo To Beck』

Dinner-time 金曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 土曜日0:00~2:00



富永珠梨 Juri Tominaga

ロサンゼルスを拠点に活動するSSW、クリスチャン・リー・ハトソンが、今年の3月にリリースしたEP2作品から、それぞれ1曲ずつを2021 Summer Selectionに選曲しました。蒼く透き通るような瑞々しいギターの音色に、すっと溶け込むクリスチャンのほんのり憂いを帯びた柔らかな歌声が、じんわりと心に染み入ります。「Just Like Heaven」の切なくも甘酸っぱいメロディーが、遠い夏の記憶を刺激するノスタルジックな空気を湛えた名曲(The Cureのカヴァーですね)。なんとなく「異色なセレクション」に思えたABBA「Dancing Queen」のカヴァーも、最高に爽やかで穏やかなグッド・フォーク・ソングに仕上がっています。これはとっても嬉しい誤算でした。うだるような真夏の午後に聴きたくなる、涼やかな空気に包まれた心安らぐアコースティック・サウンドです。ちなみに、2020年にリリースされた彼のデビュー・アルバム『Beginners』も、とても素晴らしい作品(こちらはどちらかと言うと秋冬にしっくりくるサウンド)ですので、よかったらそちらも併せてチェックしてみてくださいね。

2021 Summer ジュリ

Christian Lee Hutson『The Version Suicides, Vol.2』
Christian Lee Hutson『The Version Suicides, Vol.1』

Brunch-time 土曜日10:00~12:00



小林恭 Takashi Kobayashi

最近出会った素晴らしい音楽をメインにこのチャンネルと時間帯にあった選りすぐりの曲を4時間お届けします。
この夏の選曲の中から16枚のお気に入りをご紹介しています。
特に愛聴しているのは、Kings Of Convenienceが12年ぶりに発表したニュー・アルバム『Peace Or Love』です。今回はファースト・シングルの「Rocky Trail」を選曲していますが、1曲目からいきなり世界観に深く引き込まれた前作の感覚を思いおこすこのアルバムも本当に素晴らしいですね。
2人(今回はファイストを加えて3人の曲も)が歌い始めると魔法にかけられたようにリラックスした気分にさせてくれるアコースティックなポップ・ミュージック。
時代は大きく変わったけど、変わらない音楽は今に新鮮に聴こえました。みなさんもぜひ耳を傾けてください。ジャケットも素晴らしいのでフィジカルで聴くのもおすすめです。

2021 Summer 小林

Andris Mattson「Summer」
Brijean「Ocean (Sam Gendel Remix)」
edbl『edbl Beats, Vol.2』
Henri Salvador『Homme Studio』
Jack Page『The Days, Pt.2』
Julian Hartwell『Lyvelife』
Kings Of Convenience『Peace Or Love』
Marco Castello『Contenta Tu』
Mereba『AZEB』
Michael Mayo『Bones』
Mndsgn.『Rare Pleasure』
Muwosi『Of Compassion』
Pat Van Dyke『Hello, Summer』
Petit Biscuit『Sunset Lover (Remixes)』
Raf Rundell feat. Lias Saoudi「Ample Change」
Ze In The Clouds『Magical』

Dinner-time 土曜日18:00~22:00



ヒロチカーノ hirochikano

サマー・セレクションを代表する1曲として、このチャンネルの20周年を迎えるタイミングに合わせるかのように偶然出会ったアメリカ「Ventura Highway」の好カヴァーを紹介します。原曲へのオマージュを感じる哀愁あふれるヴォーカルに、フラメンコのパルマ(手拍子)と、抑制の効いた心地いいエレクトロ・グルーヴが掛け合わさったミラクルなアレンジは、パーティーのキラー・チューンとしてもお薦めです。僕らの選曲のアンセムとして長年愛聴してきた「Ventura Highway」は、これまでの選曲の中でも好カヴァーをいくつも紹介してきましたが、2021年の節目に偶然出会ったこの奇跡のトラックは、これからも進化し続ける「usen for Cafe Apres-midi」選曲の中に、またひとつ新しい風を吹き込んでくれることでしょう。

2021 Summer 野村_

Paco Versailles「Ventura Highway」

Brunch-time 日曜日10:00~12:00



吉本宏 Hiroshi Yoshimoto

真夏の白昼夢。80年代にイギリスのミッドランドで人知れず活動したFebruary Montaineの淡い蜃気楼のような歌。LAのピーキング・ライツによるダブ・ベースを重ねたリミックスは、いつの時代の音かわからない不思議な浮遊感を感じさせる。継娘のスージーが見つけた父のカセット・テープがここにレコードとして蘇った。

2021 Summer 吉本

February Montaine『Mount Nod』

Dinner-time 日曜日18:00~22:00



高橋孝治 Koji Takahashi

さて、季節はもう夏です。夏と言えばビーチ・ボーイズ。今回の選曲とは全く関係ありませんが、7/30に名盤『Sunflower』と『Surf’s Up』期の音源135曲を5CDに収録したボックス・セット『Feel Flows - The Sunflower & Surf's Up Sessions 1969-1971』が発売されるということで、ビーチ・ボーイズ関連のニュースでは久しぶりに興奮しております。しかし2017年にリリースされた『Sunshine Tomorrow』という『Wild Honey』と『Smiley Smile』期のレア音源集がフィジカルな形でリリースされているのに、『20/20』と『Friends』期のレア音源集である『Wake The World: The Friends Sessions』と『I Can Hear Music: The 20/20 Sessions』がダウンロードとストリーミングのみのリリースなので、まずはこちらを先にフィジカルな形でリリースしてほしかったですね。

本題の夏選曲ですが、まずはオクラホマ州出身のシンガー・ソングライターJosh Fudgeのメロウな「More To You」からスタート。そしてカリフォルニア州出身の三姉妹バンドHAIMがThundercatをフィーチャーした「3am」や、キングス・オブ・コンヴィニエンスの12年ぶりとなる4作目のオリジナル・アルバム『Peace Or Love』から先行リリースされた「Rocky Trail」などの話題曲を挟み、キングス・オブ・コンヴィニエンスと同郷のノルウェイで活動するBenediktの最新アルバム『Balcony Dream』収録の清楚なアコースティック・ナンバー「Old Friends」や、ミシガン州出身の 男性2人組によるデュオCal In Redの新曲「Zebra」、マンチェスターを拠点とするニコラス・ウッドのソロ・プロジェクト、Saccadesのセカンド・アルバム『Flowing Fades』収録のドリーム・ポップ「Day Dreamer」などをディナータイム前半にセレクト。
ディナータイム後半は、カナダのエクスペリメント・ソウル・バンド、Chiiild(チャイルド)のデビュー・アルバム『Hope For Sale』からのサード・シングル「Gone」や、ロサンゼルス出身の女性アーティスト、Maddie Jayの「CR78」、フランスのインディー・レーベル、ナイス・ガイズからリリースされたDook Walt Jr.のトワイライトなシンセ・ポップ・ナンバー「Don't U Think」、カナダのケベックで活動する男性2人組デュオ、ケミカル・クラブの最新作「Arm's Length」などをピックアップして構成しましたが、特に気に入っているのは、終盤に配置した韓国で活動していると思われるNekoという女性アーティストのとびきりメロウな「Wish」から、ミシガン州出身の女性アーティスト、マーリー・ファーガソンのニュー・プロジェクト、Marsfadeの「Do U Know What I Mean」、フランスはパリを拠点に活動するLaBlue & Astrønneの「Femme du Crépuscule」、そして一聴しただけでは女性アーティストかと思うほどのセクシーなファルセット・ヴォイスが魅力的な、アメリカはヴァージニア州出身のアーティスト、Stevedreezの「1-800-HIitmyline」へと繋げた流れです。

ミッドナイトからのセレクションは、自分の選曲ではおなじみとなったHiatusの4月にリリースされたニュー・アルバム『Distancer』のタイトル・ソングをイントロに、イギリスのノッティンガム出身のシンガー・ソングライターであるピーター・ホールの爽やかな風のようなアコースティック・ナンバー「Everything Is Fading Fast」に繋げてスタート。この作品はBeautiful Musicというレーベルからリリースされているのですが、友人のグラフィック・デザイナーである相馬章宏くんがこの作品をリミックスしてダンス・ナンバーに仕上げ、それを自身のサウンドクラウドにアップしたところ、レーベル・オーナーと本人がそのヴァージョンをとても気に入ったらしく、もしかしたらオムニバス・アルバムに収録されるかもしれないと連絡がありました(笑)。他にはオランダ出身のCas Erkelandによる音楽プロジェクト、 Calundéのこちらも爽やかな「Feathers」や、ニューヨークのアーティスト、JW Francisが8月にリリースを予定している新作アルバム『Wanderkid』より先行シングルとして発表された、言葉のループが心地よい「I Love You」などをアクセントに、アメリカはメリーランド州ボルティモア出身のアーティスト、Modern Nomadの「Hang On」や、ニューヨークのブルックリンで活動するQuelle Roxの「Liquor Rain」、そしてハリソン・リプトンがアレックス・シーゲルというアーティストをゲストに迎え発表した「Strawberryys」や、西オーストラリア州の州都であるパース出身のアーティスト、Swaine Delgadoの「F Me Up」といった、メロウでスウィートなミドル・ナンバーなどもピックアップしてみました。
ミッドナイト・セレクションの後半は、イギリスのリーズを拠点に活動するオルタナ・ポップ・アーティスト、 JWesternの5月にリリースされた新曲「Feel Like This」を筆頭に、サクラメント出身のインディー・フォーク・バンド、ベスト・ムーヴの「Invisible Sigh」や、カナダのドリーム・ポップ・バンド、Parks N’ Rec’sの「A Little Cruel」、オーストラリアはシドニー出身のアーティスト、Renwickの「No More Or Less」といった、クールなメロウ・サウンドを放つ作品を集め、その合間に“サタデイ・ナイト・ライヴ”などでお馴染みのコメディアン、カイル・ムーニーをフィーチャリングしたベニー・シングスの「Kids」や、カナダのブリティッシュコロンビア州の州都であるヴィクトリアで活動するBoy-ishの「Time Again」などのスウィートなダンス・ナンバーも織り込んで、構成してみました。

そしてここからはまたしても選曲とは全く関係のないお話をするのですが、ここ数か月の間に個人的なビッグ・ニュースが立て続けに舞い込んできたので、誰にも頼まれてはおりませんがご報告したいと思います(笑)。まずひとつは、かなり昔にこのコメント欄で書いたペイル・ファウンテンズがスペインのTV番組に出演したときのライヴ映像に関する件で、そのときは「Lavinia's Dream」の演奏シーンだけアップされていたので、これの完全版を観ることが夢だということを書きました。それからかなりの年月が経った今年の5月のある夜に、友人の相馬章宏くんから届いたメッセージを見て驚きました。なんとYouTubeに完全版の映像がアップされたとのことで、夜も遅く酔っぱらっていましたが、これはえらいことだと、動画を再生する前に正座をして画面に向かい、瞬きさえも忘れて番組の全貌を鑑賞したのです。
さらにビッグ・ニュースは続き、2000年代のオルタナ系のバンドでは一番好きなバンドと以前このコメント欄で書き、ミッドナイトからのセレクションで一度特集を組んだほど大好きなライフ・ウィズアウト・ビルディングスという、スタジオ・アルバムとライヴ・アルバムを1枚ずつリリースしただけで解散してしまったバンドに関しても、驚きの出来事がありました。彼らは2000年代に存在していたバンドにもかかわらず、今までライヴ映像がネットに上がったことは一度もなかった、自分の中では神秘的で神格化されたバンドでした。しかしペイル・ファウンテンズの幻の映像を発見した数日後に、彼らの地元であるグラスゴーで撮影された名曲「The Leanover」のライヴ映像がアップされているのを発見したのです(なんとアップしていたのがグラスゴーのネオアコ人脈の重鎮の一人であるBMX Banditsのダグラス・T. スチュワートでした)。さらに驚くことに別のYouTubeチャンネルで、XFMというラジオ局で行われたこちらも「The Leanover」のリハーサル・シーンとインタヴューが同時期にアップされ、ペイル・ファウンテンズのライヴ映像と同様に長年の夢であったライフ・ウィズアウト・ビルディングスの動く映像を観ることができたのです。
さらにさらに嬉しい出来事は続き(笑)、最近のコメントで毎度のように書いている吹き替え映画の件で、その存在を知ってからどうしても鑑賞したく、毎日毎日検索して探していた、第62回アカデミー賞で作品賞を含む4部門を受賞したハートウォーミングなコメディー・ドラマ、「ドライビング Miss デイジー」の1989年にNHKエンタープライズ社から発売されていたVHSテープだけに存在する日本語吹き替え版が某フリマ・アプリに出品されているのを発見し、念願かなって手に入れることができました。
いやはやこれだけ立て続けに夢のようなことが現実となってくれたので、その反動で悪いことが来てしまうのではないかと少々不安になりますが、よく考えてみると、この長く続くコロナ禍が悪夢のような出来事なので、その反動で良いことが起こったのだと考えるようにしておきます(笑)。

2021 Summer 高橋

Josh Fudge「More To You」
HAIM『Women In Music Pt. III』
Kings Of Convenience『Peace Or Love』
Benedikt『Balcony Dream』
Cal In Red「Zebra」
Saccades『Flowing Fades』
Chiiild「Gone」
Maddie Jay「CR78」
Dook Walt Jr.「Don’t U Think」
Chemical Club「Arm's Length」
Marsfade「Do U Know What I Mean」
LaBlue & Astrønne「Femme du Crépuscule」
Stevedreez「1-800-HIitmyline」
Hiatus『Distancer』
Peter Hall「There's Something Wrong With Everyone」
Calundé「Feathers」
JW Francis『Wonderkid』
Modern Nomad「Hang On」
Harrison Lipton feat. Alex Siegel「Strawberryys」
Swaine Delgado『Brushed』
JWestern「Feel Like This」
Best Move「Invisible Sigh」
Parks N’ Rec「A Little Cruel」
Boy-ish「Time Again」

Dinner-time 日曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 月曜日0:00~2:00



山本勇樹 Yuuki Yamamoto

毎年、楽しみな夏の選曲です。気持ちだけは前向きに、そして心がリフレッシュするような選曲を心がけました。太陽の輝きのように眩しいボサノヴァ~MPBを中心に、時折、爽やかな天気雨のようなジャズ・ヴォーカルをはさみながら、やはりこの季節らしいバレアリックやエレクトロニック・ミュージックもスパイス的に混ぜて、全体を組んでみました。あとは、昨年リリースしたbar buenos airesの夏コンピ『Verano』と、つい先日リリースされたばかりのQuiet Corner最新作『High Winds Orange Sky』からも、お気に入りをいくつか選んでいます。全体的には、きらきらとした海辺や、爽やかな潮風を感じていただけるような流れになったと思います。その中でもおすすめしたいのは、ブラジルのシンガー、ルカ・ムンダカの超久しぶりの新曲「Momento」です。ちょっぴり切ないメロディーとメロウなエレピやボサ・リズムが心地よくてリゾート感を演出してくれます。ぜひ、この夏のBGMとしてお楽しみください。

2021 Summer 山本

Luca Mundaca「Momento」

Lunch-time~Tea-time 月曜日12:00~16:00



武田誠 Makoto Takeda

アンビエントからニュー・ウェイヴまで世界の電子音楽を発掘する、“Good Mellows”シリーズでもお馴染みのオランダのレーベルMusic From Memoryから登場した、そのリイシュー・ラインナップとも違和感なく溶け込んでしまうようなパースペクティヴを描く新人ユニット、The Zenmennの『Enter The Zenmenn』。どこか80sジャパニーズ・アンビエント〜エキゾ的なテイストが時空を超えてメロディアスに漂泊する、そんな過去の音源が再評価をうける2021年に刻まれた、夏の風景とも融和した透明感あふれる素晴らしいアルバムでした。
コロナ禍の中おとずれた去年の夏と同様、今年も大手をふってこの季節を満喫することはできなさそうですが(酒までとりあげられて……)、カフェですごす静かな夏の午後を、避暑地の木陰での微睡みぐらい心地よいものへと音楽で誘えることができれば嬉しいですね。

2021 Summer 武田

Moon Balloon「Half Measures」
Josh Gilligan『Go Around』
The Zenmenn『Enter The Zenmenn』
M Sage, Lake Mary, Chris Jusell & Patrick Shiroishi『Yamawarau』
Nicholas Krgovich『This Spring: Songs by Veda Hille』
Wearyland『Letters』
Abram Shook『Velvet Teeth』
Green-House「Peace Piece」

Lunch-time~Tea-time 火曜日12:00~16:00



waltzanova

Summer Selectionは、クリスマス同様ちょっと特別な気分で毎年選曲をしています。やっぱり夏休みが来るというのも大きいかもしれませんね。世界各地のプールが紹介されたクリストファー・ビーンランドの写真集『POOL』(先月日本版が出ました)を傍らに、心の中にホックニーの波紋が広がっていくような気分とともに曲を並べていきました。ティル・ブレナー&ボブ・ジェイムス『On Vacation』のリゾート気分たっぷりの表題曲は今セレクションのテーマのような役割を果たしていますが、リリースは昨年の秋だったので、オン・シーズンで取り上げられて嬉しいですね。

今回のハイライトのひとつは、スティーヴィー・ワンダー・インスパイアのパートです。ジリアン・マーゴ「Power Flower」、サンズ・オブ・ザ・ジェイムス「Love's In Need Of Love Today」(不滅の名盤『Songs In The Key Of Life 』のオープニングを飾っていた曲ですね)という2曲のナイス・カヴァー、疾走感にあふれたオレンジ・レックス・カウンティーの「Sunflower」、そしてマイケル・マヨの「20/20」と、スティーヴィーの音楽性を連想させる2曲を並べ、夏の始まりにぴったりのムードを醸せたかと思います。マイケル・マヨはかつてBlue NoteのA&Rを務めていたイーライ・ウルフがプロデュースを手がける新星。彼自身も影響を受けたというボビー・マクファーリン、あるいはTake 6を僕は連想しましたが、そこにネオ・ソウル的な艶っぽいフィーリングが加わっているのが魅力的で、デビュー・アルバム『Bones』もリリース以来ヘヴィー・ローテイションしています。

レオ・シドランの新作アルバム『The Art Of Conversation』に収められていた「世間知らずの歌」という邦題でも知られる「Song For A Sucker Like You」もナイス・カヴァーでした。リズムがブレイクビーツ風になっているのがチャーミングです。父親であるベン・シドランのヴァージョンはカフェ・アプレミディ・コンピ・シリーズの『Marine』に収録されていましたね。MVで、お父さんの写真と「The Weekend Starts Now」という文字がプリントされたTシャツを着ているのも微笑ましいです。

キングス・オブ・コンヴィニエンス12年ぶりの新作『Peace Or Love』も「usen for Cafe Apres-midi」的には外せないですね。彼らについては僕以上に適任の紹介者がたくさんいると思いつつも、アルバムの仕上がりが予想以上に素晴らしかったこともあり、やはり触れておこうと決めました。ふとしたときに流れていると心落ちつく、上質のリネン・シャツのような作品だと思います。方向性はまったく違いますが、タイトルもカッコいいサンズ・オブ・ケメットの『Black To The Future』も力作でした。カリビアン~アフリカン~ダブ色の強いジャズ・サウンドは、やはりUKならではですよね。夏のマイ定番、タジ・マハール『Music Keeps Me Together』収録のトロピカルな「My Ancestor」につなげ、レイジーな午後の雰囲気を演出してみましたが、どうでしょうか。

オープニング・クラシックのモーツァルト「Clarinet Concerto In A Major, K. 622(クラリネット協奏曲 イ長調)」は、最近彼の作品の素晴らしさに遅まきながら気づいたことがきっかけです。僕のクラシックに関する好みは、基本的にフランス近代とバッハを中心としたものだったのですが、少しずつロマン派や古典派にも手を広げていった結果、Spotifyでモーツァルトの作品も紹介されるようになり、その魅力にハマったというわけです。夏の昼下がりにまどろみながら聴けばそこは天国かと錯覚してしまうような、モーツァルト晩年の清澄な傑作です。

残念ながら今年の夏も遠出は難しそうですが、パナマ帽やサングラス、ショートパンツにサンダルなどをしっかり準備して、来たるべきロング・ホット・サマーをお迎えください。もちろん、気持ちのよい音楽とよく冷えた飲み物もお忘れなく。

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Sabine Meyer, Berliner Philharmoniker & Claudio Abbado『Mozart: Klarinettenkonzert / Debussy: Première Rapsodie / Takemitsu: Fantasma/Cantos』
Till Brönner & Bob James『On Vacation』
Michael Mayo『Bones』
Leo Sidran『The Art Of Conversation』
Kings Of Convenience『Peace Or Love』
Carlos Niño & Friends『More Energy Fields, Current』
Sons Of Kemet『Black To The Future』
Vex Ruffin『Emilio』

Lunch-time~Tea-time 水曜日12:00~16:00

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