アンコンシャス・バイアスを学ぶ
アンコンシャス・バイアスとは、「無意識の思い込み」のことです。
例えば、「あなたは九州出身だから焼酎が好きだよね」とか「私が失敗したのは上司のせいだ」といったことが挙げられます。確かに九州出身の方は焼酎が好きな人が他より多いかもしれません。失敗した責任は上司にもあるかもしれません。
ただし、目の前にいるその人も焼酎が好きとは限りません。失敗した責任が自分にもあるかもしれません。アンコンシャス・バイアスによる「決めつけ」によって、人間関係が悪化したり成長可能性が失われたりする場合があります。
「『アンコンシャス・バイアス』マネジメント 最高のリーダーは自分を信じない」では、どのようなアンコンシャス・バイアスがあるか、どうやって自分のアンコンシャス・バイアスに気がつくか、アンコンシャス・バイアスが悪影響を及ぼさないためにどう対処するか、を学ぶことができました。
アンコンシャス・バイアスとはなにか
なぜ人は「無意識の思い込み」をしてしまうのか?という問いに対して本書では以下のように書かれています。
要因のひとつとして確かに「自己防衛心」があると思いますが、もうひとつの要因としては、過去の経験や見聞きしたことの影響もあると思います。
上述の例で言うと、「あなたは九州出身だから焼酎が好きだよね」は過去の経験による思い込みだと思いますし、「私が失敗したのは上司のせいだ」というのは「自己防衛心」に基づくものの可能性が高そうです(以前本当に上司によって失敗していたら自己防衛心と過去の経験両方が原因かもしれません)。
「バイアス」という言葉にはネガティブな響きがあります(←これも私のバイアスかもしれない)が、アンコンシャス・バイアスがあること自体は悪いものではありません。
自己防衛心からくるアンコンシャス・バイアスがなければストレスを真正面に受け止めてしまい、精神的に大きなダメージを喰らう可能性があります。過去の経験や見聞きしたことによるアンコンシャス・バイアスは「その人独自のものの考え方・見方」になるため、大きな価値を持つ可能性があります。
ただし、アンコンシャス・バイアスがマイナスの作用を及ぼすこともあります。アンコンシャス(無意識)だからこそ、ネガティブに影響していることに気がつきにくいのが厄介です。
そのため、アンコンシャス・バイアスをコンシャス・バイアスに変換して、上手に付き合っていく必要性があります。
アンコンシャス・バイアスに気がつくには
アンコンシャス・バイアスに気がつくための方法として本書には以下の5つの方法が書かれています。
相手の非言語メッセージを意識する
アンコンシャス・バイアスを記録してみる
相手を意のままに操ろうとしない
感情を言葉にする
目的に立ち戻る
特に私は1つめの「相手の非言語メッセージを意識する」が重要だと思いました。組織のメンバーは、管理職の私に本音や本心を素直に口にすることが難しいときも多々あるでしょう。でも表情や反応には現れると思います。相手が口にしたことを聞いて満足せず、本当に言いたいこと・思っていることを知ろう・感じ取ろうとする姿勢が重要だと思いました。
アンコンシャス・バイアスに対処するために
アンコンシャス・バイアスに対処するために、8つのポイントが書かれています。
言われた相手の「心のあと味」に目を向ける
「なぜ」ではなく「何が大切?」と未来に向けた質問をする
「今・現実」を意識する
バイアスを意識的に上書きする
「プラス面」に意識を向ける
「セルフイメージ」を上書きする
「あともうひとつの情報は?」「別の情報は?」を意識する
新たな経験で上書きする
特に私が大切だと思ったのは「言われた相手の『心のあと味』に目を向ける」です。同じ言葉でも相手によって異なる(場合によっては真逆の)受け取り方をされるということです。例えば、以下の例です。
「若く見えますね」を褒め言葉として使ったつもりが、逆効果になる可能性があるのです。「良かれと思って言ったこと」「配慮して行ったこと」が相手を悲しませる可能性があるのです。私の場合、退職する先輩が喜ぶと思って盛大な送別会を開こうとしましたが、その先輩はそのような会が好きではなくやめてほしいと言われたことがありました。慮るのは大切なことですが、本人に確認できることは確認することを意識しようと思います。エンジニア界隈で「推測するな、計測せよ」と言われることがありますが、コミュニケーションでもあてはまりそうです。
バイアスに振り回されない組織にするために
アンコンシャス・バイアスに対処するために8つのポイントがありましたが、「無意識」のため対処は容易ではありません。対処するには周囲の人に指摘してもらうのが一番効果的だと思います。そのためにも大切なのは「心理的安全性」です。心理的安全性が低いと言いたいことがなかなか言えません。アンコンシャス・バイアスに気がつくためにも、「それってアンコンシャス・バイアスじゃないですか?」「その言葉ってこういう意味ですか?」「私は違う意見を持っていて・・・」と言える心理的安全性の高い組織を作っていきたいと思います。
終わりに
アンコンシャス・バイアスは日々生活しているとどんどん生まれていくものだと思います。だからこそ、コンシャス・バイアスに変換する取り組みは続けなければなりません。
巻末に15種類の代表的なアンコンシャス・バイアスがまとめられています。
忙しくても、定期的にせめて巻末を見返して、自分のアンコンシャス・バイアスに気がつく努力を続けます。
ぜひ一読をおすすめしたい本です。
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