【短編小説】天邪鬼ノ恋
人間が嫌いだった。あいつらは回りくどい建て前や綺麗事ばかり吐いているから嫌いだ。世のため人のため?そんなのクソくらえ。みんなお金のために働いているだけだ。食って寝て性欲を満たして気持ちよくなってるだけだってのに。
俺はこの街で天邪鬼という妖怪をやっている。自分を種族名で語るのはちょっと変かもしれない。少なくとも人間にそう呼ばれるから、今はそういうことで通しておく。
一体どんな妖怪なのか?以前、自分について記された書物を読み漁ったことがあった。どの伝承もデタラメなものばかりだ