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【短編小説】Nullの犯行

伝染病の蔓延や経済不況に見舞われている昨今の日本で、とある窃盗事件が起きた。都心の小さなコンビニで、たまたま居合わせた店長によって犯人は捕えられた。いわゆる万引きの現行犯逮捕。現在この国では、年間八万人程度が万引きによって検挙されている。言い換えれば、日本のどこかでは毎日のように万引きが起きている。この話はそんな一つの事例から幕を開ける。 盗みを働いたのは十代後半ほどの少年。調べていくうち、他にもいくつかの窃盗事件や、もっと重い犯罪に関わっている可能性があった。しかし最終的

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    • 【小説】無価値な人を殺すセカイ序章

      西暦20XX年、世界は人口増加による食糧不足に陥っていた。各地で紛争が多発し、第三次世界大戦がすぐ一歩手前まで迫った頃。 各国の首脳会議にて、悪魔的提案が挙がることになった。 「無価値な人間を殺していったらどうだ?」 はじめは誰もが懐疑的で、鼻で笑うものもいたわけだが、それは会議を重ねるごとに現実味を帯び始めた。 「必要か?犯罪者、反社会勢力、病気で動けない老人、あるいは社会不適合者、ニートなんかも」 「後半はともかく、犯罪者は要らんな」 「いま各地で起きてる紛争

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      • 【短編小説】天邪鬼ノ恋

        人間が嫌いだった。あいつらは回りくどい建て前や綺麗事ばかり吐いているから嫌いだ。世のため人のため?そんなのクソくらえ。みんなお金のために働いているだけだ。食って寝て性欲を満たして気持ちよくなってるだけだってのに。 俺はこの街で天邪鬼という妖怪をやっている。自分を種族名で語るのはちょっと変かもしれない。少なくとも人間にそう呼ばれるから、今はそういうことで通しておく。 一体どんな妖怪なのか?以前、自分について記された書物を読み漁ったことがあった。どの伝承もデタラメなものばかりだ

        • 【短編小説】幼馴染と怪しいお薬の話

          シオリは品行方正で真面目な女子高生だ。学校で“それ”について注意喚起をされた時も、やるわけない、私には関係ない、とだけ思っていた。ニュースなんかで得た人並みの予備知識があり、大人たちがあまりに騒ぎ立てるものだから知っている、その程度の認識だった。 教室でみんなに配られたプリントの内容は、△△駅で出回っている怪しいお薬について。要するに気持ちよくなれるやつ。 「まー、誰もやらないとは思うが、駅で変なやつに話し掛けられても断るように」 担任からも念を押した注意喚起。 その

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