ディエゴさん 夏の思い出Vol.1
気づけば3年連続で訪れている沖縄。おととしは、小浜島へ。昨年は、7月に沖縄本島、8月に石垣島と2回旅行し、今年は宮古島だ。毎年恒例、夫婦2人の旅行である。
宮古島へは今回が初。3泊4日の旅程は、ドライブしたり、海水浴をしたり、昼寝をしたりの気ままなものだ。唯一、予定らしきものは、2日目の午前中に申し込んである、体験ダイビングだ。
実は、私、15年以上も前にダイビングのライセンスは取っていたのだけれども、ライセンスをもっていない夫と一緒に参加するには、体験ダイビングじゃないと…、ということで、旅行に行った先々で、体験ダイビングに申し込み続け、結局は体験ダイビング専門の人になってしまった。もう1人で器具の手入れとか装着とかできそうにもない。
さて、今回のツアーの参加者は、私たち以外に、もう1組のご夫婦と、ディエゴさんという60歳のスペイン人の男性の5人だった。ディエゴさんは、バルセロナからご夫婦で旅行に来ていて、ダイビングをしない奥様は、別の場所で好きな事をして待っているのだそう。
私たちが、「バルセロナを訪れたことがあって、とってもお気に入りの場所なのだ」と伝えると、ニッコリとした。そして、「バルセロナも素晴らしいところだけど、海の中は、宮古島の方が素晴らしい」と言っていた。
ディエゴさんは、自分の英語が全て通じてなくても、こちらがカタコトの英語でときに日本語まじりで話していても、全く気にしてないようだった。
ダイビングの休憩時間には、ディエゴさんが、船の2階から海へダイブしたり(これって欧米の人あるあるな行動)、それを見た夫が触発されて、同じく2階からダイブ。そんな感じで彼を中心に、船の上の会話やアクションが広がる。
ダイビングが終わったあとは、「5分だけ船の周りを自由に泳いでいいか」と上手にスタッフにおねだり。「ディエゴさんの5分は長いなあ」とスタッフも笑いながら言っていた。
「もしよかったら、少し泳いできても大丈夫ですよ」なんて、ディエゴさんのおかげで我々にもボーナスタイムがもらえたりした。
おひとり様参加で完全アウェーなはずの彼が、1番自由にしていたのではないだろうか。
参加していたもう1組のご夫婦もフレンドリーなお二人だったけど、ディエゴさんが一番よくおしゃべりをしていたと思う。なんなら、インストラクターたちよりも、しゃべっていたんじゃないだろうか。
彼は、船の上から電話で奥様に交渉して、翌日も同じツアーに参加することにしたのだそうだ。
私たちは翌日、ダイビングの船が出発した港の近くの食堂でお昼ごはんを食べた。食べながら、「そろそろ、船がかえってくるころかな。ディエゴさん、乗っているかな」と夫。
港で食べた海鮮丼も、宮古そばも、宮古ブルーと言われる海の色も、夕陽も、みんなみんなよかったけれど。何年か経ってこの旅行を思い出すときには、ディエゴさんのことも、きっと思い出すよね。
ってうっかり、綺麗にまとめかけたけれど、現実はそれだけではなかった。
私たちが訪れたときの宮古島は、天気はいいけどわりと風が強めで。
「前日は、もっと風が強かった」と、インストラクターが言っていたとおり、前日までの風の影響で、海の中は見た目よりもうねっていたのだった。
1本目のダイビングが終わって、船に戻る瞬間、私の胸に急に違和感がやってきた。その違和感を私が受け止める前に、胃から勝手に「ごごごーっ」と音がし始めた。
ああ、久しぶりのリバース!悲しきリバースなのであった。
海の中ではお魚に夢中だったけど、うねりの中でいつの間にか酔ってしまったようだ。
「あ、ここは他のみなさんも戻られるので、できればあっち側で!」なんてインストラクターに言われてしまう。
ちゃんと、船の「あっち側」から海にやりましたよ、私。
「運動は苦手だけれど、これだけは出来る」と思っていたダイビング(でも、体験専門ダイバーだけどw)で、これはちょっと自信喪失な出来事だ。
リバースしたあとも、気持ち悪さが抜けない。とてもじゃないけど2本目に行けそうもなかったので、断念。楽しみにしていた青の洞窟へは、私1人だけ行けなかったのだ。
港までの戻りの船でまたリバースして迷惑かけちゃいけないな、と思って酔い止めを飲んでおくことにした。
その酔い止めは、むなしくも船上で1人留守番をしているときに、カプセルと同じ色の液体として、海にリバースされたのでした。飲まなきゃよかった...。
というトホホな思い出もある7月上旬の旅行のお話。ディエゴさんのインパクトのおかげで、だいぶそのトホホな記憶がうすまったのでした。
グラシアス!ディエゴさん
さて、最後に旅の思い出をはりつけて。
おしまい
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