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『fun time HOLIDAY ONLINE』 UNISON SQUARE GARDEN ライブ感想

先日、「UNISON SQUARE GARDEN presents『fun time HOLIDAY ONLINE』」が開催された。

いやはや、全く素晴らしいライブだった。
冗談抜きで、自分が今まで観たライブの中でも人生で1.2を争う対バンだったかも知れない。

確かに、ロックバンド達がそこに生きていた。

改めて自分は音楽が好きなのだと感じた。
その思いを、このライブ機会に寄せて書き連ねたい。
文章が長くなるため、本丸のユニゾンについて焦点を当てて感想を書く。

【セットリスト】

1.Invisible Sensation
2.さよならサマータイムマシン
3.Phantom Joke
4.カラクリカルカレ
5.世界はファンシー
6.kid,i like quartet
7.シュガーソングとビターステップ

以上の曲目なのだが、完璧だった。

M1で「高らかに」ロックバンドが「生きて欲しい!」とメッセージをロックバンドに、そして音楽に送る。
この曲はどこかでやるだろうと思っていたが、最初とは不意を突かれた。
まさに今回の配信ライブのテーマに沿った曲だろう。

以降は激しめのロックチューンが続く。
M2はロックサウンドとともに季節に合わせ夏の終わりを感じさせる曲を入れる。ちゃっかりしている。
カップリングをこのタイミングで聴けたことがうれしい。

そして最新シングルのM3。
歌唱も楽器も超絶技巧が求められる曲。
最新曲ということもあり、前回、前々回の配信ライブで行った際はボーカルの斎藤さんがライブを観てる側からしてもキツそうに感じたため、
この曲を入れたのはもしかして斎藤さんの要望なのかなという邪念を感じてしまった。
しかし、今まで聴いた中でも至上の演奏と歌唱だった。
リベンジのリベンジ、それにホームランで応えるのは凄いとしか言えない。
ちなみに自分がバンドやってた時代にこの曲を振られたらまず断る。
この曲を3人だけで成立させられる意味が分からない。(誉め言葉)

そしてM4。
正直配信ライブでやるかなと思ってた曲その一。
この流れで「あ、今日はとにかく攻めのセトリなんだ」と思った。
後にそんな浅い意図じゃないことに見事にやられたのだが。
メジャー1stの3分ロック。大好き。

からのこれもまたちゃっかり新曲M5。
今日のセトリのロックサウンドの流れを汲んでいるので全く浮ついている気がしない。むしろ簡単に媚びねえぞという意思しか感じない。
シュガーソングしかユニゾンを知らない人にこの曲を聴かせたらどうなるんだろう。
何とかアンド何とカーナ的なのを愛聴しているナウなヤングの1割くらいには届くのだろうか。

で、配信ライブでやるかなと思ってた曲その二M6。
先日の投票ランキングとの兼ね合いもあるが、満を持してのポップロック。ここから空気が陽の方に触れた気がする。
ここで自分は今回のユニゾンは単純にロックに攻めた曲をやりたいのではなく、「ロックバンド」が「感情を持って」しっかりと「生存」していることを自分たちの音楽で「証明」したいのだと解釈した。
音楽が、ロックバンドが「喜怒哀楽」を持って確かに生きている。
自分も好きな曲上位に入るこの曲が人気ランキングの71位という結果になったのは驚いたのだが、ある意味このライブで演奏されるべくして相成った何かのいたずらなのかもしれない。

そして最後を飾る大ヒットチューンM7。
ユニゾンのライブ、そしてこれまでの5時間に及ぶ8組のバンドの音楽を背負って幕を引く。
この曲自体が音楽の生存証明をテーマにしていることもあり、そしてその流れを今までの6曲で示されているため、
ただヒット曲をやる、といった浮ついた感じではなく
確固たる意志を持ってこの曲をやるんだ、という熱い気持ちを言葉ではなく音楽で届けてくる。セトリおじさん本当に凄い。
そして同時に、このfun timeのフィナーレを多幸感溢れるパーティで締める。
しかも演奏が終わった後MCや挨拶も無しに彼らが最後の音を鳴らしたと同時に配信終了。
潔い。音楽の力を信じ、そして実際に力がないとできない芸当だ。
実にカタルシス溢れる終わりだった。

振り返り、このタイミングでロックバンドがライブを演奏する、届ける意味、そして一つのテーマである「生存証明」を冠するに相応しい。
今回、彼らがこのライブをやる意味を良い音楽のみで示したのではないだろうか。

そしてちゃっかり新曲もやって新譜の販促もしている(笑)
しかしそれが全く嫌味や馴れ合いがなくバチバチな流れで聴かされるのだからセトリおじさんやっぱすげぇなと思った。

上記のテーマや昨今の世情的な流れもあるだろうが、
曲の好みとかそういう問題ではなく、今まで自分が彼らを目撃した中で最高のセトリだったと感じた。(ワンマンは除くとしてね)

さすがに権利的な意味などで円盤化は難しいだろうが、
ユニゾン部分だけでもライブCDとかでまたこれを聴く機会を貰えないだろうか。

曲調的にはゴリゴリの攻め曲ばかりが続くので、
ライトな層は正直あまり響かない可能性もあるかもだが、
ユニゾンの曲をがっつり追っているファン目線、また「ロック」バンドが好きな我らは土下座するしかないような構成だった。
我ながら引くほどにベタ褒め。

そして、今回このステージを創り上げてくれたユニゾンと
ゲスト7組のバンドに敬意を表したい。

勿論生で実際に音を味わうのが最上ではあるのだが、
それとはまた違う形での最上を提供してもらった、という意味で本当に素晴らしいライブだった。

間違いなく音楽は彼らロックバンドの中で生きているし、
同じく自分の中にも生きている。

それを証明してくれた5時間のfun timeではないだろうか。

彼らから貰ったこの音楽の灯を絶やさずに生きていこう。
そう思えたライブだった。

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